第4話押しかけるなよ……

「ねぇ、最近付き合い悪くない?私の誘いより優先するモノってあったけ、たすくに?」

「以前と変わんないと思うけど……てか、デートは?恋人持ちの葵が俺に——」

「それとこれは関係ないでしょ。どうなの?答えなさいよ」

デート、恋人持ちという言葉に目付きの鋭さが増す。

「まあ、あるよ……俺が誘っても断ること、多いじゃんか……葵だって。誘ってくるのだって、彼に断られたときばっかじゃん」

「うっ……そ、それは」

指摘され、呻き声が小さく漏れて、狼狽える彼女。

先ほどまでの威勢がなくなる。

「……ご、ごめん、たすく。でも……」

謝り、俯く彼女。

「彼とはうまくいってないの、葵?」

「そんなんじゃ……なく、て。迫ってごめん……たすく」

「そう……えっ?あぁ、うん……」

ダイニングテーブルを挟み、向かい合う玖倉くそう葵は、啜り泣き出す。


ゴールデンウィーク初日の早朝——7時半に俺の自宅に押しかけ、朝食をよばれた幼馴染の玖倉葵だった。

彼女に新條のことは話していない。

彼女とあいつからクラスの親睦会に参加しないかと誘われてなければ、新條との関係は築けていなかった。


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