第3話距離が近い
「ねぇってばぁっっ!!黙ってないで何とか言ってよ、たっくぅんっ!」
うぅぅ......そう言われても。
俺の腕に両腕をがっちり絡めながら胸を押し付け、声を荒らげる新條。
「......とぉー。声量を抑えてほしいぃなぁ......なんて──」
「ごめん......そうじゃなくてぇっ!」
即座に謝ったかと思えば、調子を戻し声を荒らげる彼女。
「近いってことっ!なっちゃんの距離......」
今の状況に堪えきれなくなり、なくなく白状した俺だった。
「もしかしなくても欲情してるの?可愛いたぁくぅ~んだなぁ~......って、冗談だって冗談。ごめんって!そんな顔しないでよぅ......」
表情がゆるみ、にやけながらからかってきた彼女だったが、俺の僅かな表情の変化に気付き謝りながら涙を浮かべる。
「泣かなくても......ごめん。泣かせるつもりなんて......」
ずるい......本当にずるいよ、
「わかってるくせに怖い顔するんだもん、たぁくん......」
涙でうるうるさせた上目遣いで見詰めてくる彼女。
「あぁ~もうぅ......からかってくるから軽く仕返ししただけなのにぃ~......調子狂わされっぱなしだよ、ここのところ。ずるいって......」
「えぇ~そんなことないよぅ~っ、たぁくんっ!」
ぷくぅっとリスのように頬を膨らまし、言い返してくる彼女。
下校した俺と彼女は、俺の自宅で──それも俺の自室のベッドでいちゃついていた。
はたから見れば、そう解釈する。
だが、実際は異なり──恋人同士のいちゃつきではなく、趣味の合う男女が遊んでいるだけのことだ。
秘密を共有する関係に至った俺らは、いつしか放課後に二人で遊ぶことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます