第23話 チンギスの大中軍の進軍1(@ザルヌーク):ダーニシュマンドの野心1
人物紹介
モンゴル側
チンギス・カン:モンゴル帝国の君主
ジェベ:チンギスの臣。四狗の一人。ベスト氏族。
スベエテイ・バアトル:チンギスの臣。四狗の一人。ウリャンカイ氏族。
ダイル:オゴデイ家の臣。コンゴタン氏族
ダーニシュマンド・ハージブ:チンギスの臣。ホラズム出身の文官
人物紹介終了
オトラルを発したチンギスの大中軍は凍結したシルダリヤ川を渡河して、南へと、ソグドの地へと進軍する。
事前に入手した情報では、上述の2大都城、サマルカンドとブハーラー、いずれにも進軍可能ということであった。チンギスはブハーラーを先に攻めることを選択した。
挟撃に対する配慮のゆえだった。ブハーラーを攻めておる状況で、サマルカンドから大軍が来た方が、野戦が得意なモンゴル軍としては、対応が容易と考えたのである。
ブハーラーの周囲に兵を配して、そこからの出撃軍をはばみつつ、サマルカンドからの大軍には野戦で応じる。
他面、これはサマルカンドの軍勢――ブハーラーより明らかに多いとの情報が得られておった。およそ倍するほどとさえ――を引きずり出す作戦でもあった。
大軍と聞くサマルカンドに対して攻城戦を仕掛けるよりは、野戦で決戦する方がチンギスにとっては、当然望ましかったのである。また、なればこそ、それに備えて、かの遠き地よりこれだけの軍勢を率いて来たと言えよう。
チンギスは、これより前にスルターンの迎撃軍を誘い出そうとして、サイラームに大軍を留め、待った。ブハーラー攻めの選択は、その作戦の延長上にあったのである。
チンギスは、オトラルへ向かった時と同様に、やはり
――コンゴタン氏族のダイル千人隊に
――次にスベエテイの万人隊を、
――その次にジェベの万人隊を発し、
――進軍途上にての敵との遭遇に備えつつ進んだ。
シルダリヤ渡河後の最初の城市ザルヌーク。諸史料にては、オトラルへと行き来する者たちが、最後に(もしくは最初に)1泊すると伝えているので、それほど離れていないと想われる。もしくはここは川の渡しであったのかもしれない。
そのザルヌークに対しては、チンギスは配下のダーニシュマンド・ハージブを派遣し、説得を試みさせた。
この者は住民の身の安全と財産の保全を約束し――もし違約あれば己が首をもって代えると誓約することで――説得に成功した。
ブハーラー攻撃に備えて若者たちが徴兵され、更に本丸と城壁が打ち壊された他は、モンゴル軍は破壊も略奪も暴虐もなさなかった。
チンギスはこのザルヌークにトルコ語で『天命城』とわざわざ冠した。そして、ブハーラーへの進軍途上にて次の如くの宣伝工作を行い、降伏を勧告することになる。
『天命城たるザルヌークの例に
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