ストーリーを確認しました。
お昼休みになってすぐ、教養科の教室に行くと、エステルとピオーネ嬢が弁当を持って待ち構えていた。どうやら殿下たちにつかまらないよう、僕たちが迎えに来たらすぐに教室を出られるようにしていたらしい。
よほど関わりたくないのだろうと思うと、『前回』のエステルとあまりに違うので少しおかしくなった。
「ポテスタース、
研究室についてみんなでお弁当を食べていると、パラクセノス師がふいに話を切り出した。ちょうど良いので今のうちにみんなと情報共有してしまおう。
「はい。ゆうべ夢に出てきてくださったんですよ。結局たいしたことは聞けなかったんですが」
「ほう?」
「なんでも、神様というのはむやみやたらと姿を現したり力をふるったりしてはいけないらしくって。作った世界に頻繁に干渉してしまうと、そこで生きているものたちの主体性が損なわれて世界そのものの存在意義が薄れてしまうのだとか」
「なるほど」
「というわけで、基本的に僕たちの意志と力で何とかしなきゃいけないそうです」
「つまり
ものすごく嫌そうにパラクセノス師。
「そうなりますね。更に言うなら、
「うわ、面倒な」
「適当なところで飽きて放り出してもらうのが一番でしょうが」
「ある程度ゲームのストーリーをなぞりつつ、この展開つまんない!!って思わせるのが無難ではないでしょうか」
げんなりした様子のパラクセノス師にコニーが冷静に返すと、エステルがおずおずと提案してくれた。
そういえばゲームの設定について大雑把に書き出してもらったけど、きちんとストーリーを教えてもらってなかったような。
「なるほど、一理あるよね。ちなみにゲームのストーリーってどうなってるの?」
「誰のルートに入っているかでも多少変わってくるんですが……基本的にはヒロインが攻略対象者の誰かと親しくなって一緒に行動しているうちに、何らかの形で大規模な犯罪計画を知ってしまうんですよ。対象者によって卒業記念パーティーでの爆破テロだったり、暗殺だったりと違うんですが」
「実に物騒だな」
「どのルートでも、黒幕にアハシュロス公爵家がいることが判明して、その結果公爵家はお取りつぶしになるんです」
大真面目に言うエステルだが、そう女神に都合よくいくだろうか。
「現実的に考えて無理だろう。公爵閣下もアハシュロス公女も複数の国の継承権持ってるし」
「取りつぶしだの国外追放だのって言い出したら、ダルマチアやスルビャとの緩衝地帯になってる公爵領が独立するか、あちらの国に併合されるだけでしょうね」
口々に言う先生とコニー。
「いずれにせよ、ダルマチアあたりが激怒してそれを口実にまた戦争ふっかけてきそうですが」
嘆息するコニーが気づかわし気な視線を送ってきた。
「なんだかどこかで見たような手口だよね。小細工で北の方で小競り合いさせておいて……って。これ、本当に
南部の山岳地帯に潜んで破壊工作を行っている隣国エルダの独立派組織
今回の『主犯』が
よく奴らの襲撃に遭うタシトゥルヌ侯爵領やカプシュティチェ子爵領に人を送って調べてみた方が良いかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます