17話

「海だ〜」

 結衣が両手を上げて叫んでいる

「結衣、いきなり走るな、日焼け止めは塗ったか?」

「え〜、めんどくさい」

 こいつ、そんなこと言ってたら、あと後、後悔するぞ

「結衣ちゃん、日焼け止めは、ちゃんと塗らないとダメですよ」

「は〜い」

 結衣は、香澄の言う事はよく聞くな。さぁさて、なぜ、海にいるんだと、プールではなかったのかと・・・少し遡ろう

「ただいま〜」

 母さんが帰ってきた、少し酔ってる気がする

「母さん、お酒飲んできた?」

「当たり前よ」

「プールはどうなった?」

「そうね、普通のプールと旅館付きの海どっちがいい?」

 ん?旅館付きの海、何そんなのあるの?

「旅館付きの海!?、私はそれがいい」

 結衣がすぐ、話に飛びついた

「そんなのが、あるんですね。少し気になります」

 香澄も気になっているようだ、そりゃぁ、気になるよね、俺も気になるもん

「私の友達がね、やっててね、一部屋なら、無料で貸してくれるらしいのよ」

「一部屋?」

「そう、一部屋、しかも料理付きよ、太っ腹ね、ほんと」

 一部屋まじで?結衣はまだしも、香澄がいるんだぞ?

「一部屋は、まずくないか?」

「お兄ちゃん、嫌なの?」

「いやそう言うわけじゃ・・・」

「私はいいですよ、私たち恋人ですから」

「見せつけてくれるね、これは、お酒が進むわね」

 母さんがニコニコしながら、お酒を飲んでいる、まだ飲むのかこの人は

「相変わらず、二人は甘々だね、甘すぎる気もするけど・・・」

 何いってんだ?、でもまぁ、香澄がかわいい、それだけはよくわかる

「てか、どっちにするんだ?」

「私は海がいい」

 やっぱり、結衣はそっちを選んだか

「香澄はどうする?」

「私も海がいいです」

「らしいぞ、母さん・・・まじかこの人寝てる」

 そこで寝るの?、この人は本当に適当だな

「俺は、母さんを運んでくる、片付けは頼んだ」

「わかりました」

「かしこま」

「香澄、片付けありがとう」

「私は?」

「お前は、サボってるだろ」

 なんで、ソファの上でゲームしながら言えるんだ?

「結衣といい、母さんといい、ほんまに適当だな」

 と言うことがあった。母さんの友達まじで感謝

「お義姉ちゃんが塗ってよ」

「いいですよ」

「香澄、そこまでしなくても」

「背中かが塗りにくいですから、しょうがないですよ」

「確かにそうだな」

 香澄が、頬を赤く染めながら、こちらを見てくる

「どうかしたか?」

「その、私には司くんな塗ってくれませんか?」

「えっ・・・」

「ダメですか?」

 こんなの、断れるわけ無いだろ

「わかった、いいぞ」

「はいっ、よかったです」

「お義姉ちゃんたち、私がいるに忘れてない?」

 結衣よ、空気を読んでくれ

「さぁ、結衣ちゃん、日焼け止めを塗りますよ」

「はーい」

 結衣はされるがままになっていた、うん、めっちゃ、おとなしかった

「では、お願いします」

「お、おう」

 香澄が、背中を見せる形で、寝そべった。自分の手に日焼け止めをつけて・・・

「ひゃっ」

「ど、どうした」

「いきなりだったので、びっくりして」

 塗る前に、声をかけた方が、よかったな

「塗るぞ」

「は、はい」

 香澄の肌は、すべすべしていた

「香澄、大丈夫そうか?」

「はい、大丈夫です」

 なるべく意識しないように、塗り進めていく

「お姉ちゃん、お兄ちゃん、早く〜」

 結衣が、待ちきれなくなったようだ

「よし、これくらいかな」

「司くんは、塗ったのですか?」

「当たり前よ」

 香澄は、なぜだか不満そうだった

「どうした?」

「なんでもないです」

「は〜や〜く〜」

「わかったから、香澄、行こうか」

「そうですね」

 何かを忘れていたような・・・、あっ、そういえば、香澄、泳げないじゃん


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転校生が昔の友達でネットのフレンドだった @arupha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る