2008年のキミへ。

はっと気がつくと、2022年だった。


今日も散らかった部屋で目を覚まし、祖父の形見の机の上のノートパソコンを起動する。子供部屋だ。


「荒唐無稽な話だ。ただ、刺激的な物語を書きたかったのか?設定やキャラクターの感情は、この机の上のように、とっ散らかっている。とっ散らかって、埃をかぶっている。絡んだスパゲッティ。僕の人生と一緒だ」


物語を終えることができなかった。あるいは、物語の結末というのは、僕自身、この部屋だったのかもしれない。壁一枚向こうには、世界が広がっている。あの頃に夢見た未来というのは、連続していたかは、分からない。


2008年は、2011年よりも前。だから、あの震災のことは、物語に影響していない。


2008年は、2019年よりも前。だから、新型コロナウイルスも、物語に影響していない。


2008年は、2022年よりも前。だから、ロシアによるウクライナ侵略も、物語に影響していない。



今、書き出すとしたら、震災のダメージや、あるいは、新型コロナウイルスにより、【松茸】が小さくなったり、【相撲愛残滓】の数が減ったり、そういう話も書くに違いない。だけど、2008年にそれらのことは、予想できるはずもなく、『地球【松茸】』の世界は、2009年に人類が滅亡に瀕したという設定になっている。


はてなグループの終了により、物語世界を終えることができなかった。最終話の構想は、当時から、今この瞬間も頭の中に入っている。なぜ、書かなかったかと言えば、書いてもインターネットの反響がないことを恐れていたからかもしれない。


【角界】で再開しようと思ったのだけど、【コンプライアンス】に抵触した。オリジナルを公開しながら、推敲したニューバージョンも公開しようと思ったが、その夢も潰えた。頭に残った断片を記してみようと思う。


井の頭公園から発掘された地球【松茸】と、別場所で発掘された地球【松茸袋】が合体し、人類が脱出するための【松茸】ロケットが完成する。


全人類が乗れるサイズではないはずだ。西に向かって【八艘飛び】する予言が失敗した訳だから、【松茸】ロケットで地球を引張り、公転を早めるとか、そんな計画なのかもしれない。


だけど、当時考えていたのは、とにかく【松茸】ロケットの打ち上げに成功すれば、人類は救われる……という構想だった。


【松茸】ロケットは、それまでに登場した【どすこい独り相撲力士】達が搭乗する予定だった。操縦士は、ロシア人宇宙飛行士。【八艘飛び】アルピニストは、ロケットに乗れなかったような気がする。


成瀬川直人の無限のシャドー【どすこい独り相撲】は、地球【松茸袋】のエンジンの駆動に使われ、全【どすこい独り相撲力士】の力で【松茸】ロケットは、地球の重力の軛(くびき)を脱するはずだったが、大山田増男の予言通り、失敗に終わる。


結果、巨大隕石アダムの衝突は避けられず、人類は滅亡に瀕する。【松茸】ロケットに関わり死亡した【どすこい独り相撲力士】達とロシア人宇宙飛行士の妻である黒髪犬子は、神により天界に引き上げられ、新たな神々となる。その後の地球を見守ることとなる。


人類は滅亡しなかった。しかし、人類を存続させるために、柾亀精一郎の研究結果である「男性【松茸】化技術」により、男は子孫を反映させるための目的として、【松茸】、食料、建材となる世界になり、それが「男の壁、肉豆腐、女の楽園」で描かれた世界である。


荒野に打ち捨てられた【松茸】ロケットの残骸。その【松茸番頭】に座る一人の女神。お姉様とジーニーが暮らす、ドーム型都市を眺める黒髪犬子の後ろ姿で、この物語は閉じる。



次回予告。


【角界】よりも、コンプライアンスが易しいWebサービス。あるいは、自費出版の形などを借りて、この物語を完結まで描こうかと思います。


完成に向けて、先述した震災やコロナに関わる物語も追加された、【角界】公開用に推敲したバージョンもあります。


地球【松茸】も含めた【相撲浪漫】短編集『じっくりことこと煮込んだ【相撲浪漫】』みたいなタイトル案も思い浮かびました。


【角界】での『徹底したコンプライアンス』は、ここで終了ですが、私の【相撲浪漫】は、まだまだ続きます。



【カクヨムで「DATE: 03/16/2022」にコンプライアンスに準じて修正し、公開しました。】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

徹底した【コンプライアンス】 ナカノ実験室 @yarukimedesu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ