ご馳走様。
「誠に残念ですが。佐々木くんが電車に轢かれて亡くなりました」
HRで先生が言った言葉をベランダで聞く。私に彼を失った悲しみはない。
彼は私を助けてくれた。
私に命をくれた。
私に寿命をくれた。
これは彼の寿命だからきっと私の中で生きている。これは私が望んだことであり彼が望んだことでもある。
ポケットの中から一輪の花を取り出す。
「『タツナミソウ』。花言葉は【私の命を捧げます】」
「君が私に命をくれると知ってとても嬉しかったよ」
私は自分の中の彼に話す。着信がしたのでベランダから屋上に跳ぶ。誰かと思うと死神仲間だった。
「どう?寿命は手に入れた?」
「男子高校生のを手に入れたからこの先80年くらいは大丈夫かな」
今は人生100年時代と言うらしい。それくらいは彼も生きれたはずだろう。
「結構な良物件あったんだね。相当寿命を吸収できたんじゃない?で、いつくらいに帰って来れそう?」
「まだ少しやることがあるけど明日には帰れると思うよ」
「はーい、また明日待ってるよ」
そう言って電話が切られる。私は教室に生徒がいなくなるのを待って彼の机に置かれている花瓶に『白のダリア』と『カンパニュラ』を入れて、一応水を入れ替えた。
やることが終わったから屋上から飛び立ち友達の元に帰る。思い出話がたくさんあるからいっぱい話したいな。
彼の最初の塩対応とか2回目の告白の話とか。
私は夜通し飛び、死神の友達のところに辿り着いた。
久しぶりに会ったため彼女と軽くハグをする。スキンシップの様なことだ。
その瞬間私は灰になって死んだ。死因は寿命がなくなったことだった。
シレネ 神楽岡 ラミア @lqmyi
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