プロローグ
はらはらと舞う雪。
わたしの足元には、葉っぱ達のカーペット。
白くおめかしした彼らはとても可愛らしい。
こっちだよ〜
はやくっはやくっ♪
賑やかにでもスマートに…
入口へとエスコートしてくれる。
しばく進むと立派な木の橋がお出迎え。
太めの木で出来た素敵なアーチ。
手すりには氷のつぶが煌いて…
雪の結晶カスタマイズ。
冬仕様の豪華で素敵な装飾。
橋の下からは水音が…。
可愛らしいメロディーラインに
揺れる木々のメロディーノート。
素敵な甘美なマリアージュ。
帰るんだ。
帰れるんだ。
もうすぐ。
わたしの…
わたしだけのーーーーー。
ただいま。
わたしのお気に入りの場所。
切り株に積もる雪を払い、座った。
わたしのお気に入りの特等席。
小高い丘にひとりきり。
周りの木々や草花を眺める…
飛んできて羽を休めてる鳥たちを観察する…
せっせと物を運ぶありの手伝いをする…
ここでゆっくりのんびりする…
このひとときがお気に入り。
生きてるっていちばん感じられる場所だから。
あなたにいちばん近づける唯一の方法だから。
あの''私''とは違うと再確認することができるから。
閉じていた目を開ける。
目の前にはきらきらした街並みが広がっている。
今の時間帯の人々は…
夕ご飯を食べているのかな。
テレビを楽しんでいるのかな。
会話を楽しんでいるのかも。
家族と…恋人と…大切な人と……
誰かと一緒に住んでいる人々。
何気ないあたりまえの時間を生きているのだろう。
暖かな家々の明かりが
無数にちらばり、
集まって……。
黄金に輝く街並み。
力強くて儚く美しい。
生命を感じるんだ。
寂しいなんて感情は湧かない。
独りじゃない。
ひとりじゃないから。
夜空を見上げる。
無数の星々。
その中で一際強い光を放つ三つの星。
冬の大三角。
ベテルギウス、シリウス…
そして……
東の空に輝く大切な星。
お兄ちゃん…
あのね……!
夜空に夢を…願いを… 諸星梓紗 @31azusa12
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