夜空に夢を…願いを…

諸星梓紗

聖なる夜の星空に夢を…願いを…



このお話はクリスマス仕様の

サンプルのようなものです。

本編とはあまり関係がないような

そんな気も致します。

よろしくお願い致します( . .)"



はらはらと舞う雪。

切り株に積もる雪を払い、座った。

小高い丘にひとり。

目の前にはきらきらした街並みが広がっている。

イルミネーションも相まっていつもより明るい。

黄金に輝く街並みからより生命を感じる。

今日は12月24日。

世の人々は家族と…恋人と…大切な人と……

ホワイトクリスマスを満喫しているのだろう。

寂しいなんて感情は湧かない。

独りじゃない。

ひとりじゃないから。

夜空を見上げる。

無数の星々。

その中で一際強い光を放つ三つの星。

ベテルギウス、シリウス…そして……

東の空に輝く大切な星。

お兄ちゃん…あのね……




私の大好きなこと。

それは部屋の窓から見える景色を眺めること。

1番好きなのは空。

天気、季節の変化で様々な顔を魅せる…

そんな空を眺める時間が一番幸福な時間。

このベットが私の居場所だから。

この部屋が私の全てだから。


―コンコン


遠慮がちなノックの音。

そっと開く扉。

私の兄であるリオンが入ってきた。

何も言わずそっとベットに腰かける。

それがいつもの日課だった。

部屋から出ることが出来ない私にとって

外の世界と私を繋いでくれる唯一の存在。

それが兄。

そんな兄はよく星の話をしてくれた。

私が一番興味を示していたものだからであろう。

お気に入りの星座は『いっかくじゅう座』

美しく賢く…知性のある……そんな存在。

憧れで…目標で…夢だった。


「いつか一角獣に触れてみたい…」


驚く兄。

声に出していたなんて気づかなかった。

ごめんなさい。

そう言おうと口を開こうとした私の…

私の頭を優しく撫でてくれた。


「いつか兄ちゃんが…

兄ちゃんがこの丘に連れてってやるから」


優しい兄の言葉に心があったかくなる。


「お兄ちゃん…」


ありがとう

そう言いたかったのだけれど…

言えなかった。




…つめたっ


上を見ていたからか目に雪が飛び込んできた。

お兄ちゃん…

連れてってくれるって言ってたじゃん。

一緒に行ってくれるんじゃなかったの…


―キラリ


強い光を放つプロキオン。

冬の大三角の東の星。

眩い光に目の前が真っ白になる。

すると…

大好きな声がした。


『目印…だから

あのシリウスのようには輝けないけど

他の星より近く…そして明るく輝き続けるから

おまえの大好きなユニコーンのそばで…

おまえのずっと近くで見守っているから…』


お兄ちゃんの…ばか……


『ありがとう』


いつかあなたに届けるから…

大好きないっかっくじゅう座に

届くようにと夢見て…

伝えられなかったこの言葉を

あなたに伝えられるようにと願って…



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