悲壮する自身の“負い目”を、優しく包んでくれる空間がここにある
- ★★★ Excellent!!!
ひた隠しにしてきた、主人公の抱える世界に対する“負い目”。
人によってそれは、誇りになったり、強さになったり、ともすれば武器になったりもする。
でも主人公にとっては、それは紛れもなく、どう逆立ちしても“負い目”でしかない。
その隠してきた“負い目”が世界に向けて零れ落ちてしまった時、主人公は、日常の中にあまりに自然に溶け込んで、本当はかけがえのないものだった、失われていく優しさを知る。
“落としたスープパスタは拾えない”けれど、落とすことなく手に残った温かさは、読者の胸に何かを残すはず。