封印

「よし!分離は成功した……!あとはこの魔石を封印するだけだ!」

自分の足元では魔石に再び戻ったアウグイドがおのれおのれ!などと言ってカタカタ揺れている。

『そいつを封印するにはちとお前たちには見せれぬ方法で封印せねばならぬ……。少し神殿跡の下で待っててくれないかのぉ?』

僕たちは了承して、めちゃくちゃになってしまった神殿跡の床の上を歩き、壊れた階段を下った。

やっと終わったという疲れ、それから開放感が大きかった。

思えば疑似冥界を出てから少し仮眠を取った位でしっかり休めてなかったなぁ。

僕は芝生の上に横になり、雲が晴れた青空を眺める。

「やっと……少し自由にできるのか……。」

僕は気付けば脱力のせいか眠っていた。

目を覚ませば僕は芝生に一人だった。

「あれ!?みんなどこ行ったんだ!?」

辺りを見回すと、神殿の方で焚き木の光が見える。

「なんで起こしてくれなかったんだよ……。もう星が眩しい時間じゃないか……。」

僕はぼんやりとそう呟きながらゆっくりと階段を登る。

「あ!ハルくんやっと起きたんだね……!いっくら突いても起きなかったからジュデボラさんが魔法で魔獣避けかけてくれてたんだよ……!もう勇者さんたちも封印を終えて消えちゃったからね……。」

「そっか……。ごめんな、ジュデボラ。戦い終わった後なのにそんなことさせちゃって……。」

「大丈夫!一番頑張ってたのはハルくんなんだし!」

一番頑張った。その言葉はなぜか頭の中でふわふわと浮かんだままだった。

「それは……、違うんじゃないかな。みんな頑張ったよ。全員の力があってこその勝利だったと思うよ。一人でも欠けてたら勝てなかったと思うんだ。」

「それはそうかもね。それと、ハルくん。疲れてお腹も空いただろう?今日はここで星でも見ながらゆっくり食事をしようじゃないか。」

そう言ってウェイアンさんが持ってきたのは大量の肉、野菜、そしてパン。

「こんな量の食料……どこから……!」

「王様からだよ。感謝の印だってさ。多すぎてヘリで運ぶのにも一苦労したよ。」

ダイスケさん曰くビブリッジのギルドからの討伐感謝の品らしい。

「やっと終わり。私しばらく盾振りたくない……。」

ラーイーダは疲労しきっているのかさっきから椅子にもたれかかりながら愚痴を吐いている。

「おい、ハル!」

ガスパオロがこっちへ歩いてくる。

「なんですか?」

「完敗だ。」

「へ?」

「完敗だっつてんだろ……。お前は最後まで戦う術を持っていた。俺はそんなもの持ち合わせてなかった。今まで散々言ったりしてたが今はお前の方が強い!だが、俺も負けないからな!」

「あぁ!今度は正々堂々正面から勝負したいな!」

「もちろんだ!」

星々と月が照らす神殿の跡地で少年少女、それから青年たちが談笑しながら一晩を過ごしていた。

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転生した少年はドロップした粗悪品と精製(クラフト)スキルで生きる〜素材とイメージさえあれば何でも作れるのに何故か追放されました〜 ぽてぃ カクヨム金のたまご選出 @potty9828

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