クリスマス SS -学生の一幕-
岡田公明
SS
-クリスマス SS-
公園前、今回は初のデートである
時刻は現在午後5時後半
尚、現在一時間待っているところである。
所謂、雪の降るホワイトクリスマスの街の中で、噴水の前佇んでいた。
正直言って、失敗したと少し思っている。
何故なら、噴水の前はあまりに寒すぎると着いてから気づいたのだ。
初めは良かった...
~一時間前~
僕は家に居た...
時刻は、4時すぎ
今回は、付き合って初のデート
付き合って、1か月
いや、あまりに遅いことには気づいていたけれど、自分から誘うことにおっくうになっていたところ
彼女に、
『クリスマス、もしよかったらデートに行かない...?』
少し低い身長によって、自然と上目遣いになる。
少し長い髪が、目にかかり描き分けた隙間から目が見えて、目が合うのだ。
『は、はい!!是非!』
と、なんとも情けない返事をしてしまった。
それが、つい先週のことである。
しかし、なんとも、朝起きて、ぼーっとして
風呂に入り、心配になり昼寝をして、未だに四時である。
「あ、もしかしたら...」
そう、彼女が早く来てしまう可能性もある。
そうだ、おそらく早く来てしまうことがある
待ち合わせ場所は、千草駅駅前
待ち合わせの名所であり、噴水が近くにあり、クリスマスには装飾がある
そんな、スポットである。
自宅から、約10分程度でつくが、もしかしたら電車が止まるかもしれない
そうなってしまったら...よくない
待っている間にナンパでもされたら
ーーーーーーー
『ねぇ、嬢ちゃん 今から、ちょっとお茶飲みにいかない?』
目の前には、いかつい男がいる、軽く髪を染めていて、ちゃらちゃらとした男二名
そして、その先には彼女が...
『え、いや人を待っていて...』
否違う!
『いや、彼氏を待っていて』
『えぇ、いいじゃん そんな待たせる彼氏なんて、ほっといて
ちょっとだけだから、ちょっとだけ』
男が彼女の手首をつかむ
『あ、待ってください 誰か!誰か助けて!』
ここですかさず
『あぁ、待ったかい あの、この子俺の連れなんで』と
イケメンが登場
『あぁ、こいつが連れなら仕方ない』
となってしまい、僕が出る幕なく...
『やぁ、大丈夫だったかい』
『あぁ、はい ありがとうございます』
とおそらく目にハートを浮かべた彼女が僕以外の人に振り向いてしまうかもしれない
そうなってしまったら、一体僕は...
『あぁ、待ったごめん待たせちゃって...』
『あぁ、いや いいよ』
と少し気まずそうな顔を見せてきて
『あれ、なんかあった?』
『うぅん、なんでもないところで、私たち別れない?』
『え?』
彼女の頬は赤く染まる、目には少しの涙
『な、なにがダメだったかな?』
『いや、違うの...』
ーーーーーー
この先は、想像したくないが
考えれば、考えるほど裏目に出てくる
それは、辛い、嫌絶対に現実にしたくはない
これまで、彼女がいなかった分 今を大事にして
後悔はしたくないのだ。
絶対に
ならば、動こう今すぐに
財布、カバン、靴をセットする
その前に、歯磨きをしないと
しゃこしゃこと歯を磨く
しかし、その速度はいつも通りで、しっかりとケアは怠らない
ワックスを頭に付けるか悩んだが、そんなことをしてもあまりよくないとはなんとなく思う
失敗すればダサいし、髪は軽く整えた。
匂いのある香水のようなものは、好みもあるし
付けていない。
それでも、風呂には入っているし、
ある程度清潔、まぁいつもよりは随分と整っている
背伸びせず、少しおしゃれなカーディガンをはおり
最強の陣形で、くちゅくちゅぺをかました。
よし、出発しよう。
靴を履く、靴ひもは結んだ
ポケットには、財布 かばんにはスマホ スマホにはピタパが入っている
完璧である
さぁ、家を出る
戸締り完璧 鍵を閉め、扉をがしゃがしゃ
冬もころ合いになると、日は自然と早く落ちるが
西の空に太陽がいて、少し雲によって光が遮られているのが見える空
なんだか、少し清清しい気分で
気持ちも弾む
もしかしたら、昨年までの孤独感が払しょくされたからかもしれない
否、そんなことを考えてはいけない
そうだ、私は純粋でなければ!
きっと、彼女に見限られる
なんて、ちょっと矛盾した気持ちを抱えている
肌寒く感じるが、どこかのお店に入るのであれば、この程度でいいだろうという感じで
軽い服を着てきたが、現時点で少し後悔 そして、この時は忘れていた、待ち時間について...
それで、無事に到着、駅まで歩く道には、たくさんのカップルがいて
それを横目で見つつ、電車に乗る、何本かの駅を通り過ぎ千草駅へ
日はいつの間にか落ちていて、
当然、駅の近くには様々なペアの人たちがいた。
ツリーはすでに光っていて、噴水も同様に光っていて
それがなんともきれいで、これだけで少し満足してしまう
しかし、そんなことよりも、彼女のことを考える
どんな服で来るのだろうか
どんな髪型?どんなメイク?
普段見たことのないような雰囲気かもしれないし
逆に普段の様子でデートがしてみたい気持ちもある
ナチュラルな感じのメイクも似合うし、きっと大人っぽいメイクも似合うだろうと思う
どんな雰囲気でも、それが醸し出す空気感が、このクリスマスを彩ることは間違いがない
そんなこんなで、一時間以上も早く待ち合わせに到着
それで現在に至る彼女は、おそらく待ち合わせ十分前くらいにくると思う
噴水前の風にあおられ、それによって水を煽られ
スマホを弄りつつ少し歩いてみたりして、過ごした長い一時間
それでも、待ち続けた
全ては、彼女とのデートのためである(?)
しかし、こんな早くに来たが
もしかしたら、街中でナンパをされているかもしれない
ラブコメの展開としてはべただがあり得る
すかさず助けることができるのではないだろうか
なんて考えていると
「あっ!」
彼女の声が聞こえた
すかさず後ろに首を切り替える
すると、僕に気づいた彼女が少し急ぎ目に走っているのが見える
小柄なこともあり、それがさらに愛らしさを...なんて言ってる場合ではない
すかさずこちらもはしって、彼女の方へと向かう
「はぁはぁ...お待たせ待った?」
「いや、全然」
肩で息をする彼女にクールに返事を決めた
「いや、嘘。だって、肩に行き積もってるもん」
ふふっといった、感じで笑い
肩の雪を落としてくれた。
「いつから待ってたの?」
小首をかしげて、尋ねてくる
ここは正直に言うべきか
はい←
いいえ
しかし、正直に言うと引かれる可能性も...
「正直に言うと一時間前から、舞い上がってしまって...」
と正直に告げた。
「ええ、一時間前から?すぐどこかのお店に入ろ
体冷えちゃってると思うし。」
と、手を引っ張り歩き始める
って、手!?
え、マジでここで手を繋いじゃうのさらっと
どうやってつなごうかな?
あ、ここはさらっと繋いでエスコートとかするのかな
もしかしたら、緊張してできないとか忘れちゃうかもしれない
なんて、考えていたのにその時間が無駄になるほど
さらっと彼女は手をつなぐ
その顔は真剣で、この子は本当にやさしいんだなとどこか他人ごとに考えた。
クリスマスの道には人通りが多く
街は、普段よりも歩きづらい
ぶつかれば、誰かの縁を、もしくは自分の縁を切ってしまいそうで
そんな、空気がある
その何かを切ってしまわないように。
見失ってしまわないように、きっと手を繋ぐんだろう
高いビルや低いお店があるなか、スターバックスコーヒーが見えかかってきた。
人がいてこんではいるが、外のガラスから見えるテーブル席に空きがあり
そこに入る。
二人で座る席を取る
そして、ここで、彼女が気づくのだ。
「あ、手繋いじゃったね」と
いや、繋いじゃったよぉぉぉ!!
と叫びたい気持ちを抑える
流石にこれは気持ちが悪い
そして、彼女のはにかむ顔が可愛い
なんか、照れている様子に、こちらも頬が赤くなるのを感じる
目が合う、少し決まづい空気が生まれる
それが甘く感じる
あぁ、これが これがきっとリア充爆発しろの空気なんだと
我ながら実感した。
あれは、意図して非リア充に対して、見せつけるテロ攻撃だと思っていたが
きっと無意識的に起こる不意の事故の一環なのかもしれない
そして、今これをかもしだしている自分もまたそのリア充に含まれることに高揚感が生まれた。
「そうだね」
さぁ、ここで一言の返事
もっとなんかないのか、俺!重要なところだぞ!
と内心では強気でも、実際に強気に出れない情けない男なのでは決してない
ただ、今はちょっと心臓がバクバクして、頭がろくに回らず
緊張して喉から声が出にくいだけに過ぎない。
生理現象なので仕方ないんだ
そうだ、きっと
なんて、言い訳をしてる間に
「じゃあ、何かたのもっか、温かい物だよね?」
「う、うん」
と、机にカーディガンを羽織る
これをすることで、キープするという効果があるのだ。
腰には、カバンをぽっけには、財布を
装備品はこちらに持ち変え
そして、自然と手をつな...げず
少し手がかすれた、それがなんだか気まずくて
さっきのように自然な感じに、または強引な感じに手をつなぎたかったけど
案外うまくいかないらしい
それでも、この空気感も嬉しくって
そんな自分が少し不思議になる。
列に並ぶ。
普段は長い時間であっても、何故か話をしていないのに
早く進んでいる気がする。
その沈黙が実は気まずい物じゃなくて、お互い緊張しているのだと
なんとなく肌で感じているからかもしれない。
何か話したいけど、なにを話したらいいのか
自分の語彙が嫌になる
「あ、あの」
「ん?」
よっしゃ!勇気をもって話しかけた
彼女、こちらを見て、軽く首を傾げる
そして、今日の服装を見た。
ヤバい カワイイ
さっきまで、なんだかんだでしっかりと服装を見れていなかったが
服装について何か話をしようと思ったのが良くなかった
そこに居たのは、天使だった。
天使の羽衣ともいえる、白い羽織
スラっとした足の上から見える ハイソックスというのだろうか
そして、その中も白い服で、統一されていて
もこもこっとした感じの印象もあるが
小柄なこともあり。
それが可愛らしさに相乗効果をもたらしていた
そう、天使の具現化である生き物がそこにはいたのだ。
そして、そのせいで、軽く時間が止まる。
この沈黙はまずい。
脳がそう言っていて
「今日の服装「次のお客様」ですね」
と、見事に店員さんの呼び出しとかぶさる
こんなことあるのかよ!
「はーい」
彼女は、聞こえていたのだろうか
わからないけれど、とりあえず、おみせを回すことを優先しないといけない。
ここで、僕はカフェオレを頼み、彼女は季節限定のフラペチーノを注文する
少し待つ時間があるが
その間に頭を整理しないといけない。
さっき失敗したということに気づいていた。
いや、もしかしたら伝わっている
どっちだろう。
「それで、さっき何か言おうとしてなかった?」
ニマっとした笑みを浮かべる
「もしかして、聞こえてた?」
「うーん?」
聞こえなかったふりをする。もしかしたら、聞こえてなかったもしれない。
「あの、今日の服「○○番のお客様」」
「あぁ、呼ばれちゃったね」
「う、うん」
なんて、不運なんだ。
いや、これは幸運なのか?もしかして言わない方がいいのかもしれない
だけど
「今日の服かわいいね」
「ッ」
取りに行こうとしていて、それは後ろ姿だったが
耳が赤くなっているのがわかる
もしかして、照れているのだろうか?
「照れてる?」
「うぅん」
声が怪しいでも
そこは、追及しない。
何故なら僕の顔も今恐らく見せられないから。
そこからは、順調に進んだ。
スタバで落ち着き
そのあとショッピングした。
服に関しては分からないけど
アクセサリーを見たり、プレゼントをしたり
本屋さんに入っては、この本おもしろそうとか
何気ない話をした
その時間は心地よかった。
そして、夕食になる。
夕食はどこがいいと聞いた。
彼女は牛丼がいいといった。
「え?そんなのでいいの?」
それは、あまりに失礼だったけど
もっと特別なものを何か違うものを求めていると思っていたから
それは、予想とは違っていた。
「うん。日常を彼氏と過ごすのが特別なのかなって思うんだ」
その時の笑顔はまぶしかった。
そこで食べた牛丼はいつもよりおいしかった。
駅に着く
「今日はありがとう 楽しかったよ」
「うん、こちらこそ」
「そ、それじゃあね」
「う、うん」
彼女はもじもじする
何か、物足りないみたいに
求めるみたいに
「ん?」
彼女はこちらに来る
背伸びをする
そして、合わさった
「じゃあ、またね」
手を振って去る
ただ、呆然と眺める
雪が降っていた
彼女はその雪の中に消えてゆく
イルミネーションが光る
その背に去る彼女はまぶしかった。
クリスマス SS -学生の一幕- 岡田公明 @oka1098
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