4-65 死人の森の断章8 calling




 寒い。

 肺腑から吐き出した空気が外気に触れた端から凍り付いて行くのではないか。そんなことを思ってしまうほどその場所の気温は低かった。

 このままだと、凍えて死んでしまう。


 闇の中、去来したのは単純極まりない死の恐怖。


 縋るように求める。光を、熱を、何かの感触を。

 すると、彼方に光が見えた。

 現れたかすかな希望に縋り付く。そして、掴んだ。


 【知識】と【生存】という二つの輝きが、この世界の上下を隔てる壁を破壊して、勝利を掴む為に伸ばされた手に栄光をたぐり寄せる。

 そして。

 『私』は、悪夢から浮上する。

 

 受け入れがたいと私は恐れて、向こうの方も私を邪魔だと疎ましがって、それでも私たちは一つなのだと理解していたから、一つになっても迷い続けていた。

 お互いがお互いを排除しようと自分の内側で醜い争いを続けながら、これはきっと間違いなのだという確信だけは共有していたのだ。

 

 彼女は私を間違っていると言う。

 ありのままの苦しみだけが彼のほんとうなのだと否定する。

 けれど、彼が望む自らの在り方は、そうではないのだと私は反論した。

 あらゆる感情を凍らせて、心を静謐で満たすことが彼の望み。

 たとえその在り方が歪んでいても、それを受け入れると私は決めている。


 彼が、私の全てを信じて委ねてくれているのと同じように。

 なによりも、彼が望まないものは全て、私が受け止めて感じ続けているのだ。私がこうして本当の彼を奪い続けている限り、彼が望む今の在り方と、彼が恐れるありのままの姿とは並存できる。


 彼の苦しみはここにある。

 その苦しみを、その懊悩を愛するのなら、それは私が全て代わりに受け持とう。

 

 ――それでも私は、彼を独り占めにしたいのです。


 私たちは一人だ。ならそれは同じ事。

 あなたが望む本当の彼は、私の心の中に生きている。だからどうか、私と妹が望み、彼自身も望んでいる偽られた在り方を否定しないで。

 祈り、願い、叫び、果てしなく戦った。

 それは心の中の闘争。

 自己と対峙して、過去と向き合い、前世の宿業に抗い続ける転生者に課せられた宿命だった。


 停滞した状況を打開したのは、天から落ちてきた二冊の本。

 八冊目――私が前世の記憶を基にして書き記した冥道の幼姫の物語。

 ブラックボックスだった八冊目は、繰り返される再演の果てに永劫の牢獄に閉じ込められた私が九冊目を書き記し、これまで全ての世界を包括する上位の世界を構築するという世界構築の呪術だ。

 

 外部性である七冊目が言理の妖精として紀元槍に刻まれてしまった今、それと繋がった八冊の本もまた紀元槍と繋がった制御盤に他ならない。

 冥道の幼姫が遺した九冊の本とは、すなわち私が有する紀元槍の制御盤、雪華掌の分割体である九氷晶の翻案にして異説。

 神話類型的に、この二つは共通の位置にある。


 失われた【氷槍】を除いた八つを制御出来る私は、同様に八冊の死人の森の断章をはじめから再現することができた。どうにか書き上げることができたのは、妹に恥ずかしいと言われてしまったちょっと夢のような自己投影気味の小説や、ゲームをそのまま物語に直したような稚拙な書き物を続けて慣れていたからだろう。まだまだ自信があるとは言えないけれど、いつか大切な人たちに読んで貰いたいと強く思う。それは、生還への強い意思となった。


 仕掛けた布石が、時空と世界の上下という壁を乗り越えてこの閉塞した状況を打開していく。私は【知識】を。向き合う彼女は【生存】を手にして、相容れないながらも、折り合える妥協点を探り合った。

 誰よりも強く共感できる点が一つ。


 ――シナモリ・アキラを救い出す。


 そのためならば、私たちは一時的に共闘できる。

 合意が形成されれば、あとは足並みを揃えて戦いを始めるだけ。

 神と竜とを敵に回そうと、足が竦むことなどけして無い。

 そうだ。

 たとえ神であろうと、私の歩みを止める事などできはしない。


 私は神に挑む女王。

 私は竜を殺す魔女。

 気紛れな妖精の神に挑み、残酷な鋼の三角錐を下し、雄々しき深海の悪夢を従属させる、この身は姉妹きっての神殺し。


 その始まりは、罰を司る堕ちた巨人を貪り喰ったことなのだと、確かに記憶に刻まれている。ならば、まだ起きていないことであってもそれは可能なのだ。


 この身は、この世界のあるべき理を覆すためにある。

 生まれ落ち、死に落ちる。

 重力に引かれていく流星のように。

 明るく闇を照らして儚く燃え散る松明のように。

 巡る巡る生死の循環。回る回る燃焼の系。


 世界予報が本日の運命をお知らせします。不可逆に膨張を続けた果てに、三千世界は火竜の舌の上で燃え尽きることでしょう。

 決まり切って飽き飽きしている、それこそが竜の秩序。

 その先に待つ空白を神々は欲望している。世界の更新、新世界の秩序を。


 目の前の春は確かにまぶしいけれど、恐ろしくもある。けれど冬の眠気に耐えかねて、死んだように微睡むことだって尊いのだと信じている。それが醜くても、受け入れてくれると言ってくれた人がいるから。


 でも、ただの停滞は退屈だ。

 だから、私が望む新しい世界は、前へと進む春だけでもその場に留まり続ける冬だけでも駄目なのだと、そう思うのだ。


 冬は死。春は生。

 銀の森の魔女は冬の中、悠久の時を過ごし続けた。

 氷が溶け出して、春が来るときを恐れながら、待ち望みながら。

 世界の終わりを拒絶して、火竜を封じて世界を凍らせる。


 死人の森の女王は冥道の果てで、知らない誰かを待ち続けた。

 いつか誰かが、自分の――私たちの恐れを取り除いてくれることを期待し続けて。それが儚い夢想で、都合のいい夢物語だと知りながら。

 それでも、残酷な火竜の秩序を、何もかもが悲劇で終わってしまう世界の終わりを、定められた最果てを認めないと抗い続ける。


 私たちの決意はたったひとつ、ありふれた子供のわがままだ。

 女王だなんて我ながら滑稽極まりない。結局の所、私たちは世界を誤魔化しているだけの、小さく幼い箱庭のお姫様なのだとわかっている。


 あるべき死を拒絶し、この世に生まれ落ちた者と冥道より再生した者との境界を破壊しよう。燃えさかる白い時間流、生から死へと飛翔する火竜の翼翅を凍らせて、この世の果てに放逐してしまおう。今はまだ不完全でも、この冬の中で待ち続ければ、いつかは決して相容れない春と手を取り合うことだってできるはずだから。運命は春と冬が手を繋ぐことを許さないだろうけど、もしも誰かが間に入って両方の手を繋いでくれたのなら、不可能は可能になると、いつか私はそんな都合のいい予感を抱いたはずだ。


 足りないものが何か、私はずっと忘れていた。

 私の世界に映る、鏡写しの妹と。

 届かない手を繋がせてくれた、私たちの媒介者。


 ああ、だから私は、私を受け入れることができなかったのだ。邪視者であるにも関わらず、自らの世界を構築することが出来なかった本当の理由もまた、認めて受け入れる。彼はそれを約束してくれたのだ。


 全てを赦し、委ねてくれる。見えない繋がり、暖かな熱。喜び、苦しみ、悲しみ、戸惑い、怒りに愛情。全ての感情が凍れる牙を通じて伝わってくる。それこそが私たちを束縛する絶対遵守の呪いなのだと、私は遅まきながらようやく気付くことができた。この契約がある限り、私の道行きを阻む者など、もう何も無い。


「第二浄界――【コキュートス】」


 そして私は、目を見開いた。

 世界の全ては、この凍れる瞳の中にある。

 私たちは――俺は、世界を認識した。

 まずは高みから見下ろす視点。俺を含めたキャラクターたちが動き回るゲーム盤の世界。それから、俺というキャラクターの目を通して見た一人称の視点。より巨視的な状況を把握することも可能だが、今のところはそれは省いておき、二つの視点を切り替えながらプレイするのが妥当な所だ。蜂蜜色の少女を抱きしめて、黒衣の怪人たちを振り切っていく。凍結させた触手が一斉に砕け散った。俺/私の腕の中で、少女が柔らかく微笑んだ。光の粒子となって、俺を構成する幻の中に溶けていく。俺たちはひどく曖昧な存在で、だからこそ重なり合うことだって可能だ。


 続けて周囲から圧倒的な猛攻。息も吐かせぬ殺意の嵐。私は仮想のゲームパッドを瞬時に構築して両手の指を叩きつける。時すら置き去りにする連打連打連打連打、スティックが縦横無尽に動いてありとあらゆる攻撃を紙一重で回避。それ自体が踏み込みであり反撃の前動作だった。発勁用意。凍結の掌打が霊媒の一人を吹き飛ばし、手刀の一閃でカーティスの群れが薙ぎ払われる。


 俺はゲームというものがあまり得意では無い。前にコルセスカと一緒にやったときも足を引っ張ることが多かった。練習のし甲斐があっていいと思うけれど、ひとまずは私が主導権を握ることにしよう。俺は全てを委ねて、私が全てを受け入れる。クリアになっていく意思が一つの方向を向いた。私たちは、今ひとつだ。



 浄界とは、己の世界観を世界に押しつけて、思うとおりの世界を構築する邪視の奥義だ。それは天地を創造し、果ては人を生み出すという神の業に他ならない。

 このゼオーティアは、紀元槍の、そして槍神の浄界であり、スキリシアはマロゾロンドの浄界と言える。紀神と呼ばれる古き神は、そこに呪文や使い魔、杖といった呪術を組み合わせて自然や文明、人や社会などを構築する。ディティールに凝り出すと、最終的には四大系統全ての能力が必要とされる。それが世界創造という最高位の呪術。


 私に言わせれば、神とはゲームのプレイヤーで、人とはゲームの主人公だ。

 それは、役者と役の関係にも似ていた。

 役割を演じる遊戯ロールプレイングゲームという形になぞらえて、シナモリアキラという操作可能キャラクターをコルセスカというプレイヤーが神の視点から操り、同時に主人公と一体化してゲームの中に没入していく。


(陛下、よくご無事で)



(セスカ! 良かった! やっと会えたよ!)


 左腕の中で、喜びの声が上がる。 

 私たちは、氷の手でそっと左手に触れた。冷たかっただろうかと思って少しだけ後悔したけれど――そんな後悔は不要だ、俺とトリシューラはお前の冷たさに寄り添えるって、知っているだろう。境界の曖昧になった自分自身に言い聞かせた。心は冷えて、思考はこの上なく冴え渡っていた。ああ、今ならなんだってできそうだ。いいや、きっとできる。


(そうだよ! だって、セスカとシューラはアキラくんのご主人様だもの!)


 ちびシューラの力強い断言に、凍っているはずの胸に暖かなものを感じさせられた。彼女がいてくれることが、私たちにとっての救いだと思えた。

 お互いがお互いに、定められた制約の文言を口にする。打ち合わせるまでもない。前例は既にあり、俺とトリシューラでならできると実証済みだ。ならば私たちに出来ないはずがない。なにより俺は、今まで役として役者たちに演じられてきた曖昧な存在だ。ゆえにできる。確信よりも揺るぎない、それは知識だった。

 今までの再演の旅路は、この瞬間の為にあったのだと確信する。


ヒエロス――」


 私が願い。


「――ガモス


 俺が受け止める。

 そうして、コルセスカの浄界【コキュートス】が新しい秩序を創世する。

 氷血コールドゲームのコルセスカ。凍り付いた生命ゲーム、絶対の裁定者による運命の停止。召命コーリング――霊媒であるアキラにとって、器たるこの身に降ろす神はプレイヤーであるコルセスカに他ならない。神に導かれ、アキラは自らの為すべきことを知る。【冬の魔女】、【擬人化の魔女】、【神話の魔女】。それらの名前に宿る呪力に重ねてあと三つ。【銀の森の魔女】、【死人の森の女王】、そして【冥道の幼姫】という名前がそこに連なり、六つの名が一つとなってアキラの中に入り込んでくる。


 二重憑依デュアルポゼッション

 俺がコルセスカを受け入れ、私は前世の記憶を受け止める。

 三重となった意思がシナモリアキラの内側で渦を巻き、それは螺旋状のエネルギーとなって前へと進んでいく。


「秩序を乱す不逞の輩――」


 構えを取るフィレクティ。その身に竜を宿した転生者の動きは、しかし私にとって欠伸が出るものだった。何故なら、その遙か先を私は既に見てしまっている。

 鎧袖一触。相手の掌打を軽くいなして腹部に一撃。両手を開くように前後に掌を叩きつける。地を這うような片足が前に滑り、身を低く屈んだ状態から相手の背後に回り込んでそのまま撓めた膝を伸ばしてタックル。相手の体勢を崩したところに背中へと双掌を放つ。前のめりに倒れたフィレクティは、自分が一瞬で敗北したことが信じられずに呆然とする。


「十年早いんですよっ!」


 うっかり勝手にアキラの口を借りて叫んでしまったが、まあいいだろう。実際はそれよりも遙かに時間を重ねなければ、ラズリ・ジャッフハリムの現在には届かないだろうけど。


「任せました、カッサリオ」


 続いて、セレクティが構えを取る。召喚の呪文。開かれた呪文円陣が扉となり、角と見紛うばかりの雄々しい門歯を持った四本脚のイッカクが出現する。

 こちらの胸元までしかない体高を見て俺は意外に思ったが、私は思い出す。王獣カッサリオは、この時代はまだ小さな幼獣なのだ。それでも超強力な邪視の衝撃波は侮れない。カッサリオの牙は、気圧や温度を感知する感覚器であり、砲身でもある。先端が轟音を響かせる。


 放たれた不可視の破壊を、右手の【氷腕】で停止させた。

 一瞬だけ拮抗するが、圧し負けて弾き飛ばされる。壁に叩きつけられて肺と腹腔から息を吐き出した。以前、私がカッサリオの衝撃波を止められなかったように、凍結停止の邪視ではカッサリオの破壊の確信は止められないのだ。


 続く第二波が発射されようとしたその時。

 その場に乱入する者がいた。

 乱舞する薔薇がカーティスたちを駆逐して、荒れ狂う巨人の幻肢が神々を吹き飛ばす。同じ次元の力とはいえ、それを使いこなして格上の存在を薙ぎ倒していくような怪物は俺の知る限り一人しかいない。


「来てやったぞ、カーティス! さあ決着の時だ!」


 吸血鬼の王を片端から叩き潰していくパーン・ガレニス・クロウサーは今日も出鱈目に高みから全てを睥睨する。神を見下ろすのが当たり前だと考えられるこの男は、超次元の存在が居並ぶこの場にあってさえ浮いていた。


「何をやっているミシャルヒ。お前の居場所はそこではないだろう」


 カーティスの傍で迷いを抱えた表情のまま、目を伏せる幽鬼レイスが一人。

 煮え切らない態度に、我慢するということを知らないパーンが言い放つ。


「ならば、その自由を縛る神を打ち倒し、お前を奪うだけだ。そこで待っていろ。今、お前が誰のものかを教えてやる」


「ふああああああああ」


 何故かフィレクティが白目を剥いて失神した。

 妹が何らかの攻撃を受けたと勘違いしたセレクティが、カッサリオに乱入者への攻撃を指示。衝撃波が空へと向かう。

 パーンは巨人の幻肢でそれを受けるが、絶対停止の力すら打ち破る破壊の渦は巨大な右腕を引き裂いていった。しかし。


「単調な」


 パーンは形の無い腕を柔らかく変化させて、カッサリオの邪視の軌道を逸らしていた。のみならず、独特な波動の歩法で瞬時に間合いを詰めると、邪視者の認識の死角に潜り込むという対邪視者戦闘の高等技法を駆使して奇襲を成功させる。側面から立て続けに波動を撃ち込まれたカッサリオが悲鳴を上げて吹き飛ばされた。



「は、力だけが取り柄のうすのろが。ベフォニスといい、俺の相手とするにはいささか役者が足りていないな」


 幼いカッサリオは目の端に涙を溜めながらも立ち上がり、愚直に突進をしてはあっけなくパーンに打ちのめされてしまう。耐久力が高いためにかろうじて生きてはいるが、このままでは命を落とすだろう。立て続けの失敗で弱気になったのか、後退したカッサリオが主人の指示を仰ごうとする。だが、主の視線は厳しい。 


「カッサリオ。わたくしは『任せた』と言ったはず。王獣を名乗るのであれば、その誇りを示しなさい」


 カッサリオはその言葉で奮起するが、単調に衝撃波を放って突撃を繰り返すことしかできない。幼い獣の、それが限界だった。セレクティは何故か幸せそうな表情で痙攣している妹と自らの使い魔を交互に見て、引き際だと判断したらしい。フィレクティを運ぶようにカッサリオに命じて撤退する。パーンもまたカーティスとの戦いに気を取られて追うようなことはしない。小さく唸るカッサリオに、セレクティが声をかける。


「悔しいですか。ならばそれをばねに更なる高みを目指しなさい。考える事を止めた時、貴方は意思無き機械人形に成り下がる。自ら決定し、自ら最善を模索する、賢明なしもべをわたくしは欲します」


 去っていくセレクティたち。そっかーあのカッサリオにも未熟な幼年時代があったんだなー美味しかったですごちそうさまでした。などと考えている場合ではなく、私たちは最後の敵と対峙する。結局の所、この戦いはそこに行き着くのだ。


「私は未来を幻視する。それが俺たちの見たい世界で、あるべき未来の形だ。私は六王を率いてヒュールサスを救い、俺はカインと話してくるよ。かつての私に対する答えはまだ出せませんけれど、現代を生きる者たちと折り合うことは、どうにかできそうですから。だから俺の、私たちの邪魔をするな」

 

 混ざり合う視座。混線する意思。重なり合う心が一つになって、揺らぐ声と姿が世界を幻惑していく。

 凍り付く右腕が、何よりも確かな重みで目の前の障害に叩きつけられる。

 

「発勁用意!」


「はっきよい!」


 同時に響き渡る声。

 迫り来る巨体に威圧されないよう、三人称の視点からアキラを操作する私は、幻のボタンに指先を添えた。

 対戦相手は地上きっての超人ゲーマー、グレンデルヒ・ライニンサル。

 使用キャラはゾーイ・アキラ。重量級パワータイプ。相性は最悪。

 それでも、私のアキラが最強だ。

 凍れる指先が神速で動く。刹那の読み合いを左右するのはキャラ性能ではなく、プレイヤーの技術と経験、そして才能。

 ここで、今までの私という全てが試される。

 心が震える。重なり合った感情は、一体誰のものなのか、それすらどうでもいい。ただ、目の前の相手を乗り越えたいという衝動がそこにある。

 勝利の栄光、それだけが欲しい。


 ――さあ、それでは私の舞台ゲームを始めよう。



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