4-51 死人の森の断章3 寝取られ王
「生きることはどうしてこんなにも辛いのか。王の地位など捨て去り、お前のように暮らすことができたならどんなに良いだろう。なあ、我が友ウォレスよ」
オルヴァはどこか病的な口調で呟いた。
そこは王宮の中にある噴水と庭木が十字に配列された美しい庭園である。
特徴的なのは、小さな畑が存在していることだ。
畑の隣、庭園の片隅に、煌びやかな王宮内に相応しからぬ小屋が建っている。
小屋の中にはぼろを纏い、やせ細った老人がひっそりと暮らしており、こうして時に王と語らうことを許可されていた。
いわゆる宮廷付き隠者であるウォレスは、普段は世捨て人としてひっそりと中庭で暮らしながら、時に王の助言者としてオルヴァを支えていた。
日々の疲れからこの場所を訪れたオルヴァ王に、隠者ウォレスはこう言った。
「王よ。それは甘えです」
「あ、甘えなのか」
オルヴァは気の置けない相手であるウォレスにそんな風に強い口調で非難されるとは思っていなかったので、衝撃を受けたような表情になった。
もとより線の細い青年である。瞳の中で十字の輝きが減じていき、顔も俯きがちになると、端整な容貌は単に陰気な印象によって塗りつぶされてしまう。
「陛下は実際に最下層の暮らしを強いられても同じ事を言えますかな? 貴方様が君臨されているその地位は、万人が命を投げ出しても得られないものでございます。それを自ら捨てようなどとは片腹痛い。失礼ながら王は心が軟弱に過ぎる」
追い打ちをかける隠者の言葉に、オルヴァは頭を押さえながら呻いた。
「しかし、日々が辛いのだ。不安なのだ。この恐れはどうしようもない。どのような富、どのような喜びもこの苦しみを癒してくれることはないのではないかと考えると、私はもう耐えられない。なあウォレス。こうした気鬱に効くようなまじないや秘薬などはないものだろうか」
「まじないや薬に頼ろうというその態度こそがまさしく甘えなのです。ご自身の力のみで切り抜けてこその強者。そもそも王の資格とは――ぐぇ」
突然、隠者は喋るのを止めた。
というよりも、途絶えさせられたのだ。
王に厳しい言葉を掛け続けようとした隠者の首に、強靱な縄が絡みついて、きつく締め上げているのだった。
伸び放題になった隠者の髪の毛と髭が、まるで蛇や長虫のように自ら動いて、老人の首に巻き付いたのである。
隠者ウォレスは泡を吹き、目をぐるりと裏返らせていく。
驚いたオルヴァが声を掛けようとすると、
「陛下、陛下」
がくり、と直角に首を曲げた老人が、白目を剥いたまま口を開いた。だらしなく開かれた口から涎が垂れていくが、言葉は淀みなく吐き出されていく。
「陛下には儂がいるではございませんか。陛下は一人ではありません。信じ合える友が、仲間がいれば出来ないことなどなにもありません。よくこの儂に相談してくれました。我々が培ってきた絆さえあれば、もう心配することなどありませんよ。ほら、気持ちを分かち合えば不安などたちどころに消え去ったでしょう?」
明らかに正気を失った顔のまま、早口で捲し立てる老人。
オルヴァは気圧されて、しどろもどろになりながらも、どうにかして言葉を返そうとした。
「い、いや、私が言っているのはそういうことではなくてだな」
「おお! ではきっとまだまだ心を通じ合わせる必要がありますな。なあに、大丈夫です。腹を割って話し合いましょう。陛下が胸襟を開いて儂に何もかもを打ち明けて下されば、解消できぬ不安などありません」
老人は親しげに身を寄せて、オルヴァの肩を何度か叩いた。
この相手とは親しい仲だったが、このように馴れ馴れしくされた経験は無かったので、オルヴァは戸惑ってしまう。
「その、別にお前を信頼していないわけではなく、どう説明すれば良いのか」
「大丈夫です! 時間をかけて話し合えば、人は必ずわかり合えます! おおそうだ、陛下、私の胸に手を当ててみて下さい。心臓の鼓動が聞こえるでしょう? 我々はみな同じように生きているのです」
「え、あの、ああ、うん」
「そうでしょう! わかっていただけましたか! 世の中の大抵の問題は、実は大した問題ではないのです! どうですか、これが心を分かち合うということです。人はこんなにも容易くわかり合える。身分や考え方の差など些細なこと。人類は皆、大いなる母から生まれた子供たちですからな!」
勢い良く血の混じった唾を吐き出しながら喋り倒す隠者ウォレスの身体が、突然力を失って倒れていく。
だが寸前で停止し、上から糸か何かで吊り上げられるようにして立ち上がって行く。力を失った頭部はへし折れていたが、がくりと持ち上がる。
かくかくと顎が無理矢理動いて、「仲間」とか「絆」とかそういった単語のみを吐き出し続けていった。その口から、涎で濡れた長い髪の毛が出てきたのを見てオルヴァは驚いてその場にへたり込む。
と、王は掌に何か違和感を覚えて、片手を持ち上げた。
手の中には、長い髪が皮膚にこびり付くようにしてびっしりと収まっていた。
それは異様に軟らかく、指で触ると粘液と共にどろりと溶けていく。
見ると、ありとあらゆる色彩と質感の髪の毛がそこら中に散乱していた。
オルヴァは悲鳴を上げてその場から逃げ出した。
その日以来、王が中庭に近付く事は無かった。
心の支えを失った王は、日々の祭礼を繰り返す度にやせ細り、憔悴していく。
そんなある日の事、王は妻を迎えることになった。
何故か傷だらけで、知らされていたよりもずっと遅れて到着したものの、まだ年若い妃はとても美しかった。
キシャルという名の王妃は、打撲と裂傷で満身創痍となりながらも柔らかな微笑みを王に向けた。オルヴァはこの上なく幸せな気持ちになった。
「こんなに美しい妻を娶ることができた私は幸せだ――ああ、しかし幸福と愛は燃え上がった炎のようなもの。いずれ灰となる定めに違いない。永続する想いなどあるものか! 愛の誓いなどいずれブレイスヴァに食らい尽くされるものに過ぎないのだ。愛だけではない、この世の全てはブレイスヴァによって食い尽くされる定めにある。ああ、なんとこの世界の儚いことか!」
オルヴァが大仰な身振りと共に長い台詞を捲し立てると、それに応じてキシャルもまた手を振って言葉を返そうとする。
そんな少女に、どこからともなく無数の悪口雑言が降り注ぎ、窓から花瓶が落ち、大理石の柱が倒れ、ありとあらゆる暴力が襲いかかる。
そうした不条理に耐えながら、キシャルは言葉を紡ぐ。
「陛下、どうかお気を確かに。私が傍におります」
「やめろ、軽々しい慰めなど聞きたくない! 所詮マシュラム人のお前には、私の気持ちなど理解できないのだ!」
「はい、私には陛下のお気持ちはわかりません」
錯乱寸前のオルヴァを、キシャルはしかと見据えて言葉を繋いでいく。
強い眼差しを向けられた男は、生来の気の弱さゆえに狼狽えた。
「私はどうあっても貴方様の苦しみを知ることはできず、受け止めることはおろか分かち合うことすらできません。貴方様の苦しみは、懊悩は、悲嘆は、全て貴方様だけのものだからです」
ですから、とキシャルはそこでぐっと身を乗り出して、王の衣に縋り付いて言った。視線は強いが、焦点がぶれている。灰色の瞳はオルヴァを見ているようでいて、彼を通してもっと別のものを見ているようだった。
「私にできるのは、貴方様の苦しみを肯定することだけ。人が抱いた喜びや苦しみ、あらゆる感覚の質はその人の中にしか存在できないし、例え同じ言葉で括られていたとしても、理解し合えたように思えたとしても、そんなものは言葉の上にしか存在しない幻想に過ぎません。人の想いは、魂は、決して共有できない」
たとえば、とキシャルは顔の右半分を手で覆った。
その手が降ろされると、美しい少女の顔が見るも無惨に腐り落ちていく。
「私が
ぼとりぼとりと肉が落ちていく。四方から飛来する突風や晴天の霹靂でその身を崩壊させていきながらも、キシャルは言葉を止めない。
「
キシャルは、何か遠くに存在するものを憎むように言葉を紡いだ。
――言葉を紡ぐ。そうした行為すら、彼女にとっては忌まわしいものだったのだろうか。唇が腐り落ちて、喉が抉れた後。
オルヴァの心に響いたのは、まじないによる音の無い意思そのものだった。
――『人はわかり合える』などという甘い言葉に、どうか耳を貸さないで。
――私たちはどうしようもなく『違う』のですから。
――だから私は、人の痛みと苦悩を赦します。
――それだけが絶対的な他者にできるただ一つのことだから。
キシャルは何かを憎むように、そうオルヴァに伝えた。
気付けば、オルヴァの髪が異様なまでに伸びて、キシャルの身体に蔦のように這ってきている。少女は骨だけになった腕を伸ばし、王の全身を引き裂いた。
絡みついた大量の髪の毛が白い指によって取り除かれ、オルヴァの肉体が幻であったかのようにかき消えていった。
少女が骨だけの手で顔と喉を覆い隠す。一瞬後には元通りの生身が現れて、肉声が発せられた。
「お遊びはここまで。文字だけの劇など、私には退屈過ぎます。どうせなら、血と肉と骨を賭けて挑んできなさいな――それとも臆したの、器無き僣主よ。本物の女王に挑んで負けるのが怖いから出てこられないというわけ。『がらくたの紛い物』である事実が露見したら、困るものね?」
沈黙が、世界を支配した。
次の瞬間。
血のように赤い頭髪が生きているかのように地面を這ってキシャルに近付くと、その眼前で持ち上がって人の形をとった。
赤毛の塊から青い血が溢れ出し、急速に固まっていく。
「しつこい。内実を伴わない呪文が、私は嫌い――あら?」
キシャルはわずかに目を見開いた。
赤毛と青い血によって構成されたどろどろの塊の中に、生身の左腕が混ざっていたからである。
流体の動きに従って、その左腕は人体のあるべき場所に収まった。
やがて不気味な人の形は色を宿し、先程までとほぼ違わぬオルヴァが現れる。
ただひとつ違っていたのは、剥き出しの左腕。
それは病的に線の細い王には不釣り合いで、拳は固く握られていた。
キシャルは、薄く微笑んだ。
「やっと来てくれましたね。けど、それは目障りだわ」
奇妙な左腕には、大量の赤毛が絡みついていた。
忌々しげにそれを見て、少女は目を細める。
「続きと参りましょう、陛下?」
倒れてきた柱を片手で粉砕しながら、キシャルは不敵な笑みを浮かべて言った。
次々と倒壊してくる柱、ひび割れた天井から建材が落下し、見事な筒型の
迫り来る大質量を軽やかに躱して、キシャルはオルヴァに言った。
「さあ、私をつかまえてごらんなさい。愛するものを失う恐怖に抗う手段は、いつだって一つだけ。自らの手で相手を掻き抱くこと」
瓦礫の雨を避けながら、舞うようにステップを踏んで遠ざかっていくキシャル。
オルヴァは左腕を伸ばして、それから身体の方がついてこないことに苛立つように眉を寄せて、それから左腕に引きずられるような奇妙な動きで走り出す。
逃げるキシャルを追いかけるオルヴァ。
頭上からは瓦礫が、足下からは動く髪の毛が、それぞれ少女を追いかけるが、それらが軽やかな歩みを邪魔することはもはやできなかった。
楽しそうに笑いながら踊る少女の姿に、陰鬱なオルヴァの表情にも次第に色が戻っていった。左手を伸ばす度に、絡みついた赤毛は解けて拘束が解かれていく。
崩れゆく栄華の象徴を背景に、二人はお互いだけを気にしながら追いかけっこを続けた。左手が求めるたびに少女はそれを巧みに躱し、少女が自ら身を寄せると逆に男は怯えたように手を引いてしまう。
そんな時間を過ごしているうちに、いつしか宮殿はただの瓦礫の山と化してしまっていた。大量の髪の毛もまたその下で埋もれている。
邪魔するものはもはや無い。
自由になった左手が、少女に届きかけたその時。
瓦礫の下、どうしてかその一ヶ所だけが無事だった中庭の小屋から、みすぼらしい姿の老人が現れる。
隠者は手に黒い本を持っており、それを開くと何事かもごもごと呟き始めた。
すると、瓦礫の山が光り輝き始めた。
「ウォレス=グレンデルヒ! 一体何を――」
キシャルが言うよりも早く、言葉が世界を書き換えた。
「『地位の断章』は領域と空間、そして場面すら掌握する。
世界が、元通りの整然とした宮中に変貌する。
更には王と王妃の位置関係すら変化してしまっており、隠者ウォレスと並んで立つオルヴァは居丈高な口調で眼下に跪く少女に命令した。
その後頭部に、老人の指が深々と突き刺さっている。
「おお我が妻よ、お前が真に貞淑であるかどうか、試させて貰うぞ。私はこれから東部国境へ赴き、憎きテフィド=ラームの侵攻を食い止めねばならぬ! 私が戦場であの忌々しく肥え太ったまあるいハリモグラどもを墓穴に送っている間、お前が不貞を働かぬならばそれで良し。もし私を裏切ったなら、私はこれよりあらゆる女の地位を今より低いものとし、二度と夫の意思に逆らえぬようにする。良いな?」
「陛下、では代わりにお願いがございます。勝負や約束事は、対価や罰則があってこそでしょう? それともまさか、誇り高き男の中の男であらせられる方が、敗北を怖れるのですか?」
キシャルは即座にそう言い返して、一方的に要求を押しつけられるだけの状況を覆して見せた。
ウォレスの表情が憎々しげに歪んだ。すぐ傍で虚ろな表情をしているオルヴァの左手が素早く動いて、後頭部の老人の腕を掴んで引き剥がしたのだ。
「良いだろう。申してみるがよい」
「では、私が自らの誠実さを証明できたあかつきには、隠者殿が持つその『地位の断章』を所望します。己の心にある内なる法のみで振る舞いを律することができるのであれば、極端な法で抑え付ける必要など無いはずでしょう?」
「――許可しよう」
オルヴァはそう言ってその場を去っていった。
後に残されたキシャルは薄く笑み、ウォレスは顔を顰めた。
老人はキシャルに向かって酷薄に言い捨てた。
「結末などわかり切っている。『女の愛というものは、 見たり、触ったりすることによって燃やし続けていなければ、どれほども続かないのである』からな」
王は戦地へと赴き、長年いがみ合ってきたテフィド=ラーム、後世でラフディと呼ばれる国との戦いを繰り広げる。時代が下り、他国が仲裁に入って同盟を結ぶようになるまでにはまだ長い時間がかかる。領土侵犯に軍事演習といった挑発行為を両国が頻繁に行い、小規模な争いは常態化しているのだった。
オルヴァは王宮に残してきたキシャルが誰かの腕に抱かれている事を想像し、狂乱した。妻の名を呼び、慟哭しながら腕の一振りで千の軍勢を吹き飛ばすその姿から、人は彼を【寝取られ王】の異名で呼び、恐れたという。
オルヴァは戦いが終わると真っ先に妻のもとへ向かい、彼女が不貞を働いていないことを知り安堵すると即座に戦場へと舞い戻っていった。
どれだけそのようなやり取りを繰り返して、妻を疑い続けても状況は変わらなかった。少女はただただ静かに夫の帰りを待ち続けた。
ところで戦地で過ごす時間が長くなり、身を綺麗に整えておく余裕が無くなったオルヴァの髪は、長く伸びていた。
それは彼の全身にまとわりつき、ついには左腕の全てを完全に覆い隠すまでになってしまっていた。
オルヴァはあるとき、王宮に帰還するとキシャルの所ではなく中庭に赴いた。
そして、隠者ウォレスにこう命じた。
「このままでは、私は妻を信じなくてはならなくなってしまう。そうすれば、私は彼女が失われるかも知れないという終わらない恐怖に苛まされ続けることになるだろう。そんな苦痛は耐え難い。我が友よ、どうか彼女を裏切らせてくれ」
虚ろな目をしたまま、口の端から涎を垂らしたオルヴァはそう言って、口をカタ、カタ、と人形のように鳴らした。
隠者ウォレスは快諾した。
「わかりました。全てお任せ下さい。見事彼女を誘惑してご覧にいれましょうぞ」
老人は腕に覚えがある屈強な男たちを集め、更には諸国から高名なまじない使いたちを呼び寄せ、最後に大量の武器を揃えた。
そうしてキシャルの寝室に襲撃をかけると、まず無数の呪いを少女の身に浴びせかけた。
キシャルはそれらを全て一睨みで打ち破ったが、続いて投擲された様々な武器が少女の全身を切り裂いていき、更には一斉に突き出された槍がその小柄な身体を貫いた。槍衾が持ち上げられ、寝間着を引き裂かれ肌も露わな血まみれの少女は晒しものにされてしまう。
そこにオルヴァが帰って来る。
隠者ウォレスが、
「王よ、こやつは恥知らずにも我らを誘惑してきたのです。全てこの女が悪い!」
と叫び、屈強な男たちがそれぞれ同意した。
王はその光景を見て激怒した。
「私以外の男に身を貫かれる事を許したな、この売女めが!」
額に青筋を浮かべて唾を吐くオルヴァを見て、キシャルは血の気を失った。
口を開こうとするが、「言い訳など聞きたくもない」という叫びによって少女の言葉は打ち消されてしまう。
「やはり裏切ったではないか! ああ、やはり私が正しかった! 女など信じられない! こいつらが囁く愛など所詮は虚言なのだ! 空虚で薄っぺらな、吹けば飛ぶような代物にすぎぬ! 永遠の絆などと言った所で、それも全てブレイスヴァによって食い尽くされて、ああ、ああ! 空に、空にブレイスヴァが!」
この世に絶望したオルヴァの瞳に、十字の輝きが宿った。
頭上を仰いだ王の目から光が昇っていき、王宮を貫いて雲に突き刺さる。
一瞬の沈黙。
直後、大地が鳴動し、嵐が荒れ狂った。
河川が氾濫し、王宮はまたしても崩壊していく。
太陽と月は黒く染まり、想定しうるありとあらゆる天変地異が人の営みをいとも容易く破壊する。
槍の拘束から逃れ、血まみれで倒れたキシャルは、それを見てしまう。
王の絶望と恐怖に引きずられるようにして現れた、おぞましい恐怖そのものを。
腐臭と共に、空から黒蛇が舞い降りた。
喇叭が吹き鳴らされ、破滅の流星が大地に降り注ぐ。
カシュラムは滅亡した。
炎は九日九晩に渡って王国を焼き尽くし、巨大な黒蛇が人々を喰らった。怪物たちが這いずった後からは漆黒の
「あー♪ あー♪ あー♪」
調子の外れた少女の声が、炎上する都に響いた。
少女のように見えた顔は、よく見れば無数の
「皆殺し、皆殺し――わたくしの目の前に存在するものは全て、全て、ぐつぐつ煮込んで美味しく料理して、綺麗に盛りつけした後で捨てましょう。生きとし生けるものは、このレストロオセが歪に意味を壊して差し上げます」
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