若き天才医師の実験室…

たから聖

第1話若き天才医師。

脳内チップをカプセルにつめ込み…とある産婦人科で若い妊婦に飲ませ続ける医師。名前はC.フォード。 お目覚めは…いつものスムージーと葉巻だ。CDを片手に自分好みにアレンジし始める。その音楽は手術中に流すBGM…フォードの気分を高揚させるものである。 フォードはコーヒーを沸かしカルテを眺めた。ため息をついて…『コイツにするか、』とターゲットを絞り出した。若くて可愛い、なかなかいいDNAを持っている。フォードは武者震いをして… 『アーハハハっ!』と一人診察室で不気味に笑っていた。 その頃…ターゲットにされたとも知らずに、妊婦が日差しの強い中あくせく歩いてきた。その妊婦はフォードにうっすら恋心を抱いていた。 『コンコン!』ノックをすると…フォードが色っぽい目付きで出迎えた。 『先生…?先生が開発されたカプセルを頂けると伺いまして…ホントに私で…いいの?』 二重の目と透き通る肌…髪は艶々で人魚の様な美しい妊婦。 フォードは…くるっと椅子を向けてこういった。『今回は君に決めたんだ。滅多に無いよ?僕がカプセルをあげるなんてね…』 さぁ。と言わんばかりに…フォードは小さな紙袋を妊婦に渡した。 『先生…今度はいつ?』フォードは何も言わず、にっこりと微笑んで扉を閉めた。 妊婦はフォードに渡されたカプセルとやらを不思議そうに眺めていた。 『どうしたものかしら?お腹のベイビーには影響ないかしら?』 人魚の様な妊婦は病院へその紙袋を急いで持っていった。病院の待合室では優しい看護婦さんと…世間話をしていた。『あ!』と…妊婦はその紙袋を落としてしまった。看護婦はその瞬間…サーっと顔が青ざめ笑顔が消えた。看護婦は妊婦に慌てて問いただしたのだ。人魚の様な妊婦は『フォード先生に…私がいいって選ばれたの♪なにかしらね?』 と嬉しそうに話していた。看護婦は愕然とし『の…飲んだ…?飲んだの?どうなの!』 看護婦はゆさゆさと肩をふっていた。 『え…?まだだけど。え…?』妊婦は急に怖くなった。 その頃病院長がフォードに電話を急いでかけていた。『君!無免許医師だろ?辞めてくれないか!僕の娘なんだけどな!』 『一体何人にこのカプセル飲ませた!どうなんだ!』病院長は怒り狂い ドーン!と椅子を蹴り飛ばし、電話口からフォードに罵声を浴びせた!娘は父親の怒り具合に…おののいてしまっていた。人魚の様な娘は…『真相は?私はどうなるの?最後にフォード先生と逢って話がしたい!』と父親に懇願した。 父親は車を出しフォード邸に2人で向かった。 その頃…フォードはカプセルを飲み…血を吐いていた。悔しさや怒りで握りこぶしで…ドーン!とボタンを押した。フォードのBGMが流れ出した。 【まさか…僕が。】 血を吐きたおしメスを自分の太ももめがけて思い切り刺した。フォードは消毒液の棚を、拳で殴り付け…ライターを放り投げた。 ガシャーーン!という音とともにフォード邸は炎につつまれた。 フォード邸からはイカれたBGMが、大音量で流れていた。フォード邸に着いた父親と娘はお互いの手を握りしめ…フォードの最後を見ていた。 【無免許地獄医師死す】全米のトップニュースとして流れた。被害者多数…慰謝料ままならず。 病院長はインタビューには答えなかった。ただ、ただ娘は恐怖におののいていた。父親の病院で… 24時間体制で看護されていた。 【脳内チップベイビーホルマリン漬け】 産婦人科とは… 病院とは… 命を救うか? それでも命を断ってしまうのか?病院長は…空を見上げていた。 親として、深い悲しみ に襲われ…涙を流していた。 娘は恐怖におののきすぎて精神的に…おかしくなってしまった。フォードのあの甘いマスクがこびりついて怖かった。 振り払っても…振り払っても、フォードベイビーのホルマリン漬けが、泣いているかの様だった。 ~続く~

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