02

 星の光が、綺麗だった。この暑さのなかで、涼しげな光を漂わせている。


「星が綺麗だあ」


 彼女が街を眺めているので、声に出して彼女に言ってみる。どうやら星の光よりも街明里のほうが、彼女の好みらしい。


「なんで街が明るいのに星が見えるんだろうね?」


 彼女が、分かりません不思議ですねみたいな顔をする。特殊蛍光を開発して、それを街中に配して。そして普通の光が与える影響を町並みそのもので遮断して。いろいろあったし、いろいろやった。大変だった。そんなものより、わたしはあの、星のほうが好み。だから街中でも星が見られるようにした。それだけ。


「あつい」


 夏の夜だから、暑いは暑い。街中を少し歩いただけでも、それなりに暑い。それでも、この街の暑さはどこか、やさしかった。これも、コンクリートが熱を遮断しているから。足元のアスファルトは雨を吸収するし、実はぶつかってくるものに対して弾力がある。開発よりも実証のほうが大変だったというか、完成したときはわたし自身わけわかんなかった。


 まあ、いいや。彼女が普通に街を歩いてくれれば、それで。

 そんなことより。


「アイス買って帰ろう?」


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街の灯りと星 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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