第7マッチ

リリアとマエが、周りから見たらそれはもう威風堂々と

貫禄がありすぎる程に並んでマエの本拠地に向かって歩いていた。


そして目的地の方から素早い忍者走りでこちらへ向かってくる連中が来た。


「あの子達はねー、城に仕えている護衛部隊さ」

マエがリリアにそう説明した。

「そうなのね、でももう敵も居ないようだし何するの?」

リリアが少し疑問交じりで聞く。

「ほら、少し建物も壊れたろ?それに襲われて少なからず傷付いた民もいる」

「あ!どれのケアって訳ね!」

「そう、正解」

マエがリリアにニコっと笑顔を向ける。


ササササッ

向かってくる連中の一人がリリアとマエの目の前で止まりひざまずいた。

「マエ様!これより被害状況の報告をいたします!」

「いいよいいよ、この目で確かめたからね」

「それにしてもマエ様、わざわざ貴方様が向かわずとも、拙者達で事を済ますのは出来たのですが…」

「ハッハ、分かってるよ、でも今回は特別なお客さんが来てるからね」

マエがすっと手をリリアの方へ向ける

「これは挨拶が遅れまして失礼致しました!お噂は聞いてます!」

「あ、あはは、どうもー」

少し照れくさそうに返事を返すリリア。

「先ほどはありがとうございました!国の者みんなの代表として心からお礼申し上げます!」

深々とお辞儀をした。

「いやいや、そんな大した事してないってー、それよりみんなが無事で何よりだよー」

「そう言って頂き安心致しました、国を出た後の道中も何卒、お気をつけ下さいませ」

「さ、もういいだろ、まだ仕事が残ってるだろ?」

「ハハー!これにて失礼いたします!」

また深々とお辞儀をすると、スッと素早い動きで消えていった。


「いきなりすまなかったね、彼らが居るからこの国の留守を安心して頼めるんだよ」

「すごい優秀そうな部下だったわね、私のセコンドに欲しいくらいだわ」

「セコンド?そうか、君の力の源だね」

「そう!プロレスよ!人生捧げてたんだから!」

「ハハハ、それは頼もしいな」

「またいつか元の世界に戻れたら、またベルト取り返してやるんだから!」

リリアがグッとガッツポーズを決める。



ほどなくして、リリアとマエは馬鹿デカい城の最上階に辿り着いた。

「すごい絢爛豪華な部屋なのねー、お姫様気分よ」

「少しの時間だけど、ゆっくりくつろいで行ってね」

「ありがとー!ご飯もおいしそーーー!」

「じゃあ食べながらでいいから聞いてくれるかな?これからの事を」

「そういえば神とか自称してたじいさんに昔話を聞いたくらいだから、現状がどうなってるとかイマイチよく分からなかったわ」

「そうか、神に会ってたんだね、てことはあのじいさん…もう居ないのか…」

「お?やっぱ知り合いだった?」

「そうだね、僕たちが代々産まれた時から側に寄り添ってくれたよ」

「それは、つらいわね…」

「ううん、これでやっと肩の荷が下りたんじゃないかな?」

「そ、そんなもんなのね、それで話って?」


「そうだね、最近ってもここ数年の間、国外でしか見られなかった魔獣共が国内に召喚されるようになったんだ、これは宣戦復刻と言ってもいい…

そして、今まで獣型しか現れなかった魔獣が人型になって姿を現すようになった。

更にここからでも分かる、遥か遠くだけど、とてつもない悪い魔力も感じ取れるね。

それはもう神から聞いてるかな?

情けないけど、あいつらは僕一人で敵うような相手じゃない…

そして、国外には広大な大地が広がってるだろ?外は治安なんか無いに等しい、誰も住処として使ってない自然も余りあるけど、今は盗賊で溢れてるんだ。

一筋縄じゃいかない盗賊もいるけど、君の手には及ばないかな。それに魔獣も気配を消してるだけでこちら側の大地に居る事は分かってる、段々と支配されて行くのも時間の問題かな」

「敵は魔獣側だけじゃないって事ね、そして他の仲間を集める道中、厄介ごとに巻き込まれる可能性が大きいと…」

「そっ!話が早いね」

「でも国が手薄になっても大丈夫なの?だったら一気に国を攻めた方が楽な気もするけど…」

「それは僕も思ったんだ、ただ、相手の狙いはまず僕たち」

「大きい戦力を潰すのが優先って事なのね」

「僕が外出した際には国に人型魔獣が現れる事は無かった、けど、僕の周りには現れた。

それに、国に現れる獣型魔獣ははどうやら指示を100%理解できないみたいなんだ、つまり知能が低い…」

「なら、人型は操られながら指示された行動を把握しつつ動いてるって訳ね」

「そう、だから人型は僕を確実に狙ってこれるんだ」

「でもなんでそれが分かったの?」

「僕の国に優秀なメンタル系の魔法を操る者が居てね、それで考えを読み取れたんだ」

「それは確実ね、そういえばマエの魔力ってのは?」

「僕に宿る2匹の蛇さ」

「2匹?さっき1匹しか出てこなかったじゃない?」

「じゃあ紹介するね、黒丸、白丸、こちら様がこれから旅する仲間だよ」


ズルズルっとマエの服の中で動く気配がする。

はだけた部分から見える2匹の蛇の入れ墨が、胸元、背中を這いずり、やがて手先まで動いてきた。

右手の甲に黒い蛇の頭が、左手の甲には白い蛇の頭が。

やがて分離するように頭が手から浮かび上がり、実体になる。

「「初めましてリリア様、わたくし達がマエ様に仕える守護神です」」


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覆面レスラー女子高生、転生先で物理最強 明徳 四走 @th_akitoku

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