第5話好きなのは違う人だった

はぁーまさかNが額田のNだとは。勘違いも甚だしい。俺なんてなにもない奴を好きになるはずないよな。これだけ長くいたのになにもアクション起こさなかったんだから。すぐに分かるはずなのにな。うかれてまるで滑稽だ。胸が張りけそうなくらい痛む。


ああ、俺は可憐のことが好きだったんたな。今さら気づいても遅いが。もっと早く気づいていればこうはならなかったかもしれない。いや後悔してももう遅いか。


協力か、付き合うための恋のキューピットになってほしいってことだよな。可憐と額田が満面の笑みで手を繋いで俺に見せない笑顔で貝和をして、キスをして、ああ胸が痛い。そんなのは耐えられない。俺は断ろうと可憐の方を見た。


下唇を噛み締めながら下を向いている。きっといろんなアピールをしてきたが、意味をなさなかったんだろう。つまりこれが最終手段ってことだ。可憐はこう見えてプライドは結構高い。だから人にあまりお願いはしない。その可憐がお願いをしてきたんだ。私情を挟んで断るのは可憐の悲しげな顔を見たくない。俺は決意をした。可憐の幸せのために動こうと。


「いいぞ俺ができる範囲で協力をする。だけど結果までは保証しないからな」


額田は今は誰とも付き合わない的なことを聞いたことがある。理由は知らないが。だけど夏蓮に悲しい顔はさせたくない。その壁を越えてやる。心は痛いが。


「本当ありがとう!」


気持ちが昂ったのか俺に夏蓮は抱きついてきた。柔らかいものが当たってるよ。これが胸か。なんともいないほど夢心地だ。だごこんなところを見られたら関知が押されるから止める。


「落ち着け可憐当たってるから」


すると可憐は自分のやっていることに気づいたのか、顔をゆでダコのように真っ赤にしながらばっと離れた。もうちょい胸の感触を楽しめば良かったかもしれない。


「はぁーそいうのは額田と仲良くなってからやれよ?俺じゃなかったら勘違いしてるぞ」


まぁもう好きでなんだが、だこ可憐は額田が好きだから振られるだけだが。


「うん、気をつけるよ」


「それじゃ遅いし帰るか」


俺はベンチから立ち上がり、涙でそうなのを我慢しながら可憐と一緒に家に向かった。こうなさやってとなりを歩けるのもいつまでなんだろう。可憐が本気を出せば額田を落とすことは可能だろう。今この瞬間を噛み締めて置くか。


可憐を家に送った後、向かいの家に帰った。靴を脱具とすぐに玄関に上がり、階段を登り自室にこもった。そして、ベッドにた折れ込むんだ。


まさか、可憐の好きな人が文武両道の見本のような額田を好きだったとはな。俺じゃ叶わない。あんなにイケメンなのに、誰にでも優しく俺も友人としてみてくれている。それにあんなに完璧だと額田に対する嫉妬心もわかない。


はぁ高校に入る前に告白しておけば良かったな。そうすればもしかしたらこうはならなかったかもしれない。いや幼馴染みとしてしか見られてないからそれはないか。


考えても悲しくなるだけだから、テレビでも見て気分転換するか。あ、アイス買ってくるのショックを受けて忘れていた。はぁーとりあえず買いに行くか。俺は財布をもって家をでようとすると希が不安そうな顔で俺を見ていた。そんなに酷い顔してるのか?


「ごめんな希アイス買ってくるの忘れたから今から買ってくる」


すると希は俺の行く手を阻み、心配そうな顔で俺の顔を覗き込んだ。


「お兄ちゃん告白じゃないことで呼び出されたの?それとも罰ゲームだったのかな。そうだとしたら例え可憐さんても容赦しないよ」


希は怒気のはらんだ声と、怒りのこもった目をしていた。過去に俺罰ゲームで告白されたことがある。そん時は興奮したが、プラカードを持った女子と男が飛び出してあんたを席になるわけないじゃんと言われ、そのあと俺がにやにやした表情の写真を黒板に張られみんなの笑い者になったな。ふっ俺はみんなを笑わすことのできる天才か。なんか思い出したら悲しくなってきた。


「俺の好きな人がな、俺の友達を好きで協力してほしいと言われたんだ」


そう言うと希は驚嘆した顔になった。何か予想外のことでも驚いたのか?俺は脅かせることもできるらしい。これで俺も人気者だね!実際はこんなでにん気になれれば楽なんだけどなぁー。


「可憐さんのことか」


小声で呟いた。どうやら希にはお見通しだったらしい。


「なんで可憐だって分かったんだ?」


「可憐さんを見る目が他の女子と見る目が違ったからだよ。他の女子は足ばっか見て、興奮してるような感じだったからね。あれはキモいと思うからやめた方がいいと思うよ」


キモく感じていたのか。女子は視線に敏感だと言うし他の女子にも同じように思われてるかもしれない。今度はチラ見する程度にしておこう。見ないというのはない。そこに足があれば見るのが男だ。


「お兄ちゃん辛かったね」


悲痛な表情をして、腕を伸ばして俺の頭を希の胸で包み込んだ。本来なら興奮するところだが、今の俺にはそんな元気はなかった。俺はその優しさで今まで我慢してきたものが溢れだした。




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