第168話(総裁選・後)円高・株安
世界の反応は、株価に顕著に表れていた。決選投票発表直前に株価が高壱新総理誕生と見込み上昇。それが金融増税をやると言う石庭に決まった途端に一挙に真っ逆さまの急落。円も3~4円高値に動いた。直前に空売り推奨情報が流れるおまけつき。
まさに「your shock、石庭ショック」。
ネットでは「日本終わった」がトレンド入りする。正しくは「自民党、終わった」だがネットでは誇張が当たり前だから仕方がない。隣国のように国民の借金が国家予算を遥かに超えるとか、公務員に給与が払えないどころか国家に投資せよと返金を促すようなことはない。
週明け更に株価が荒れる予想がなされている。さらに中酷や露西亜は石庭が提唱する「アジア版NATOの提唱者が指導者になった」と警戒を強めている。米国も戦争を引き起こすトリガーになる新たな問題だととアジア版NATOに反対している。
石庭は思っていた。「どうすればいいんだ。なぜ、自分が勝った?何が起こった?」と。寝耳に水だったのは石庭本人だった。
今度は国民の審判を受ける。「ありえないことが起きた」「自民党議員はいかれているのか」と自民党支持者はもやもやした気分を晴らせないでいた。演説会に足を運んだ者は現場を知っている。現場にいれば、石庭に投票する気分は人として理解できる。相手を罵倒して得た票は、身に付かない。応援団は慎重に選ぶべきだ。この応援団がクレームを受けた時点で静かにしていれば、女性初高壱総理の誕生が見られたかも知れない。
衝動的に党友・党員を脱退する者が出て大幅に減ることも考えられるが軽率な行動は今後の高壱氏のためにはならない。1票は1票だ。その一票が今回明暗を分けた。 内情・実情を知らない国民は、自民党批判に熱を上げ、総選挙になれば自民党は、高壱氏が獲得している党員・党友の都市圏で大幅に議席を減らし、責任問題が勃発するのは避けられない。また、高壱氏降ろしに岸部が大きな役割を果たしたとしてネットのみならず、マスゴミも報じ、高齢者にも自民党の不甲斐なさや闇が知らされた。党内基盤のない石庭には重大な案件を決めることはできないのが現状だ。総選挙時期さへ自由にできない。舵取りが出来ない総理だ。週刊誌やメディアは、選挙が終わり、石庭が開いた飲食会を問題にし、自民党を追いやろうと躍起になる。中酷は反自民党に多額の広告料をない袖でもつぎ込んでメディアを今以上に牛耳りに掛かってきた。
立憲民臭党代表野駄氏は、いつものクレーマーになり、唾を飛ばした。自民党安部派の裏金問題に端を発した政治とカネ問題を争点に野党の結集を図る姿勢を示唆したが統一候補者とは頂けない。実現不可能な安直な考えだ。相変わらず、国政に関係のない問題が好物なようだ。総裁選で決戦投票で選ばれたのが高壱氏だった場合、立憲からすれば「戦いやすい相手」だったに違いない。高壱氏は安部元首相の後継を自任、裏金問題で役職停止処分を受けている安部派議員を推薦人に加えるなど「ケジメ」を付けるのが難しいとみられたからだ。自民党議員でさへ、石庭は総裁選の間に裏金問題に関与した議員について、「公認にふさわしいかの議論は徹底的に行われるべきだ」と発言、非公認をちらつかせていたのは、基盤の脆弱な議員には判断材料になっただろう。このため、裏金問題に関与した議員の多くが危機感を抱き、石庭に票が流れたと見られる。石庭が議員票で上回った背景には、立憲による「政治とカネ」の追及をかわせるという選挙向けの判断があったと考えられる。
争点は「経済」だ
では、その場合、何が総選挙の争点になるのか。
総裁就任の記者会見で石破氏は、日米地位協定の見直し問題など「安全保障」問題に熱弁をふるい、同氏のライフワークであることを示した。
だが、安全保障問題に関するスタンスでは、党としての立憲はともかく、野田代表との意見の違いは大きくないと見られ、安全保障問題が総選挙の争点になるとは考えにくい。国民の多くも重要なテーマだとは思いながらも、より生活に密着した課題に関心が高いに違いない。
そんな中で、何と言っても国民が大きな関心を抱いているのが「経済」だ。立憲の野田氏は企業経営者など中道保守層からも支持を得て政権交代につなげたい考えと見られるが、立憲の議員には「分配」中心の左派的経済政策を主張する議員が多い。
逆に自民党からすれば、経済政策を前面に出して日本経済の復活を訴える戦略に勝機を見出すことができると考えるに違いない。
2012年末、野に下っていた自民党の安倍総裁は「日本を、取り戻す。」と題した政権公約を掲げ、自説の「安全保障」などの主張を抑えて、「経済を、取り戻す。」を4つのアクションの最初に据えた。それで総選挙を戦い、政権を奪還した後も「アベノミクス」を掲げて経済再生を国民に訴え、高い支持率を維持した。
また安倍氏は「古い自民党には戻らない」と繰り返し述べて、まだまだ根強く残っていた自民党への「不信感」を払拭していった。
自民党がどん底の支持率に苦しんでいる今、石破総理が「経済」を争点に国民の支持を回復できるかどうか。
ただ、石破氏も安倍氏同様、「経済」には関心が薄いと見られてきた政治家だ。経済政策のブレーンとおぼしき人もまだ見えていない。そんな石破氏は総理になって、どんな経済政策を採るのか。総裁選で示した政策には体系だった経済政策はまだ見えない。
石破氏の総裁選出が決まると、外国為替市場では一気に円高に振れた。1回目の投票で高市氏がトップに立った時には大きく円安に振れていたので、一気に4円も動く乱高下になった。
筆者は今年5月に開かれた日本政治法律学会の研究大会で、石破氏の講演に対する「討論者」として登壇した。まだ総裁・総理になる可能性を石破氏本人も感じていなかっただろう段階だけに、その際のやり取りは本音が見えると思う。
私から「進んでいる円安にどう対処すべきだと思うか」と聞いたところ、石破氏は「要因は日米金利差なので、日本は金利を引き上げていくべきだ」という趣旨の発言をした。そこで「ここで金利を上げるといわゆるゾンビ企業などが経営破綻し地方銀行が危機に立つなど大きな痛みが出るのではないか」と質した。
これに対して石破氏の答えは、本来淘汰されるべきものが超低金利で生き残っているのだから仕方がない、という反応だった。日本経済の復活のためにはハードランディングも辞さない、という姿勢だと感じた。
実際に首相になって石破氏がどんな政策スタンスを取るかはわからないが、為替市場で大きく円高に動いたのは、石破氏が「利上げ容認派」であることを見越した反応だった。
為替が円高に振れると株価は大きく下がるのが昨今のパターンだ。岸田内閣が「円安容認」とも言える政策を打ち続けた結果、円の価値が劣化し、その分円建ての資産価格が上がるという状況が続いてきた。株式市場の参加者の多くが外国人投資家であることも要因だ。
この「円安・株高」政策を転換した場合、石破首相は当面、「円高・株安」に見舞われることになるだろう。総裁選の最中に「金融所得課税の強化」や「法人税増税」などに言及したことも、目先の株式市場にはマイナスに働く。
岸田首相は、物価高対策として、ガソリンや電力・ガス、小麦粉などに補助金を投入したが、これが財政悪化につながるとの見方から円安に拍車をかけるという悪循環に陥っていた。
石破首相が、経済力を高める抜本的な対策を取ろうとすれば、円高には進むものの、改革の痛みとしての株安が襲うことになるに違いない。岸田首相も就任直後には「金融所得課税の強化」を掲げたが、株価の大幅な下落に見舞われ、方針を撤回している。
石破首相が「円高・株安」という目先の「痛み」に耐え、超低金利時代の負の遺産を整理し、日本企業の収益性を高めることで日本の経済力を高めていくことができるかどうか。本来の「円高・株高」に戻すには、世界の投資家に向かって「日本が変わる」ことを示す日本経済のグランドデザインを首相自身が示す必要がある。
。村上さんは安倍さんの国葬に反対して、安倍さんを『国賊』と呼んで、党紀委員会が1年の役職停止の処分を下した」と指摘。「その人をなぜ総務大臣に、閣僚にするのかと怒っている」と、高市氏陣営内の声を解説した。
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