第138話 戦争はカードゲームじゃない

 2026年、いや瀬戸際に追い込まれた中酷が早めるかもしれない台湾侵攻。たらればで軍事評論家たちが挙ってシミュレーションを行い動画を投稿し賑わせている。どれもカードゲームの域を出ていないと感じられる。

 評論家たちは武器・兵器の数を重視するが安物買いの銭失いや売りっぱなしの民度が考慮されているのかが疑問だ。中酷の兵は一人っ子政策の小皇帝で成り立っている。嘘に染まった知能が現実で吹き飛ばされ現実を知れば敵前逃亡で話にならなくなる。親も当然、馬鹿な政府のために子を犠牲にできないと騒ぐ。露西亜が自国民を戦前に送れないのも婦人会の反乱を恐れての事。中酷が露西亜同様囚人を戦地に送ればその多くが政治犯や身勝手な奴らでこれ幸いに逃げ出す。そうでなければ略奪・凌辱を侵す悪態を尽き戦力にはならない。そもそも上陸戦など台湾侵攻では無理な戦略。

 国が指導した電気自動車は故障すれば修理費が部品不足からや工員不足、その難関さから購入時の倍以上掛かるのが問題視されている。これは中酷に限った事ではないが中古車としての下取り価格は最早ゴミでしかないのも事実。政府の大号令で推進した事業も需要と供給バランスを考えず生産し、インフラ整備など全くしないのが中酷だ。中酷の武器は輸入品。自国生産はコピー商品。それに負荷を掛ける改造でオリジナルより性能を劣化させている。

 今時の兵器は半導体の良し悪しが性能を左右する。その半導体が民主主義国との貿易摩擦で手に入らない。「自国で賄える」と豪語しても張りぼてで上辺だけの内容が伴っていないモノであることは、日本がレールガンを実用化に成功した直後に発表されたレールガンは日本のコピー商品のようで実射映像はないのが物語っている。見栄が成果より優先されるお国柄だ。

 露西亜侵攻より世界が注目しているのは半導体の中心にあるTMSCを抱える台湾侵攻だ。欧米諸国はそれを阻止するために中酷を兵糧攻めの餌食としている。露西亜がこの期に及んでも核を使えないのは、脅しの道具としては使えるが使えば自給自足が出来ない国は破滅・崩壊、国民は世界の強烈な差別を受ける可能性は否めないので使えない。輸出入に頼る中酷も例外ではない。広大な国土と豊富な資源・国民を抱えていてもその実態は他国頼りが実情であり、仲間もどきの国は経済・技術、食糧面で頼りになる存在ではない。指導者が狂って核を使用すれば、容赦なく核実験施設や諜報員が調査した核保管庫を攻撃されるだけでなく、政治を司る都市は破壊される。何より中酷には三峡ダムがあり、そこを攻撃されれば機能は一気に停滞する地雷を抱えている。当然、米国・西側諸国による中酷国内のインフルエンサーを抱え込みプロパガンダを仕掛け反政府意識を高められるのも必至だ。唯でさへ賃金未払、失業で人民の強酸党への不満が高まっている中、中酷が置かれている現状を人民が真実をしれば、その鬱憤は人民による富裕層や強酸党員狩りに向かうのは歴史が物語っている。南京事件のように軍は動かない。寧ろ、政府に牙を剝く可能性もある。軍は米国や西側諸国と戦えないことを熟知しているからだ。武器・兵器の数は米国を抜く勢いだろうがそれは強酸党の発表する数値と同じで参考にはならない。軍関係者が語るように冷遇されている中、横流し横領が頻繁に繰り返され、武器・兵器がどれほど正常に機能するか分からないのが事実。潜水艦も数は要しているが裸の王様だ。

 米国・西側諸国は台湾侵攻のシミュレーションに余念はない。戦わずして勝を包囲網の強化が進められて。軍艦百隻で防御壁を築き、中酷の海上封鎖を目指す計画が実行されようとしている。中酷による真正面からの台湾侵攻は無理であることは確実だ。台湾に人民兵を上陸させるのは不可能。人員を運ぶ大型水陸両用艦を保有していない。個別に向かっても逃げられない標的になるだけだ。中酷は海上封鎖を行い台湾を秤量攻めするのが現実的だ。

 台湾侵攻を見据えた場合、周辺の島を占領するのが譲渡手段だが攻撃した時点で戦争を意味し、欧米諸国に中酷攻撃の大義名分を与えてしまうので出来ない。中酷の頼りは六十隻程の潜水艦だ。米軍は敵を発見し、その情報や命令を素早く伝えて指揮統制するC4ISR能力を中酷が保持していれば、サイバー攻撃や衛星攻撃で麻痺させる計画だが米国の思惑は自称中酷にも可能になるので幾多の餌をばら撒き確かめるだろう。それに間違いなく中酷は掛かる。自国の罠に嵌る位だから。C4ISR能力を機能不能にすれば中酷潜水艦六十隻撃沈に米軍は艦艇十二隻程度。実際には実行力が伴わない無駄打ちしかできない潜水艦相手では発見も早く、もっと少ない被害で済む。

 劣勢に陥った中酷は沖縄、グアム、台湾を地上配備型ミサイルで攻撃するしかない。その中心のロケット軍が燃料を水に交換し、転売している事実は氷山の一角で実際にはもっと酷い状況にあるのも確実だ。秀欣平肝いりのロケット軍は腐敗で上層部が粛清され、未経験者がトップに立つ現状で配下の者の士気は下がり、実戦不足の痛手は否めない。核を撃ちたくても撃てない。台湾侵攻を諦めたくても諦められない。国内の貧困対策はなく、人民元すら外貨がなく紙屑に成り兼ねない現状では、打つ手がない。秀欣平に残される道は、病気を理由に退陣することしかない。

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