第129話 悪の枢軸

 北朝鮮の金鄭云総書記が缶酷について「最も有害な第一の敵対国家で有事にはその領土を占領すると決定したことは極めて妥当な処置だ」と強調した。その背後には自国の貧困さと餓死の恐怖が国民の忍耐の限界を超え、内乱が予想されたからだ。今北朝鮮では非公式だが金一族による世襲に不満と憤りが半数を超えたとの報告がある。同族で隣国の缶酷への憧れが一般人に地下で広がりを見せ、金鄭云総書記は北朝鮮の現状を知られることを恐れ、缶酷DVDを見た、知らしめたと言うだけで十年以上の強制労働の罪に問われるのも珍しくない。

 北朝鮮の国民が思い込まされている北朝鮮は世界で最も楽園であると言う触れ込みは、よど号乗っ取り犯人が錯覚した時代と何ら変わりがない。その羨む生活を憎み奪おうとしているのが米国だと触れ込みも変わらない。しかし、食糧供給量不足や金一族の贅沢な生活が漏れることと缶酷への憧れを懸念し、敵対国に米国に加え、缶酷を加えることで現実逃避を図ったに過ぎない。

 北朝鮮も中酷も国を支配する組織の実態を支配する国民に知られることはその存続に大きな支障をきたすからだ。窮鼠猫を嚙む。独裁政権と言えど国民が己の命を顧みずの反乱は恐怖でしかない。独裁政権の共通項は、己が不利になる事態が発生すると目線を逸らせるように敵を作り上げ、事実から国民の目を晒せる。そのために外部の情報統制をとるか、缶酷のように反日教育を幼い時から植え付け、正常な情報収集や考え方を行えない人格を形成する。缶酷の受験戦争は有名だが、そこで勝ち抜いても世界では通用しない。それは、PIAAC(国際成人力調査)で明らかになったように漢字を捨てた表音文字での表現が思考力の幅を狭め、思慮深さが余りにも低いことが露呈した。更に学ぶ教育が世界基準を無視した妄想の教育であるから適応性を大きく欠くことから国際社会では活躍できない状態にある。SNSなどで自国の立場を把握したとしても自国での発言は命がけと言うヒステリックな洗脳された国民には誤った情報、裏切り者の汚名を掛けられるのが関の山。

 ヒステリックに束縛・洗脳されている北朝鮮・缶酷・中酷が新たな紛争のトライアングルを形成。迷惑なのは日本と米国だ。中酷は北朝鮮を使い、台湾有事を優位に進めたい。北朝鮮の缶酷への挑発は、中酷による中酷の属国であるはずの缶酷への警告も含まれている。従来なら半導体の輸入や製造を人質に蹂躙できるはずが中酷経済は光のない沼に踏み込んでいる。信用できない相手でもないよりまし。缶酷の確実な蹂躙は北朝鮮による統率だ。


琳鄭 「主席、台湾を内部から腐らせるプロパガンダは継続中です」


 琳鄭は孤独な秀欣平が唯一胸襟を開いて話せる血縁関係であり、秀欣平の肝いりで秘書的要職に就けた者だった。


秀欣平「米国はに二正面攻撃に耐えても三正面では無理だ。露西亜プチンはウクライ

    ナに侵攻。米軍のウクライナ支援に苦戦するとプチンはイランを巻き込みハ

    マスを煽りイスラエルの紛争を、周辺海峡には海賊を支援し、米軍・日本を

    巻き込んだ。後ひとつで奴らは対応できなくなる」

琳鄭 「あとひとつとは」

秀欣平「北朝鮮だ。金の奴、我が国を甘くみてプチンに擦り寄りよって。懲らしめて

    やったわ」

琳鄭 「どのように」

秀欣平「金が搾取していた裏金を暴露したのよ。食い詰めた労働者の暴挙は金にとっ

    てミサイルより良薬だろ、うふふ」

琳鄭 「主席、金がないのになぜ金はミサイルを無駄打ちするのですか」

秀欣平「世界の注目を浴びたいのだ。核・小型核の技術に執着するのもそのせいだ。

    そうすれば国際的制裁が解除されると思い込んでいる愚かなことだ」

琳鄭 「逆走してるしか思えませんが」

秀欣平「奴は盲目だ。ミサイルが命だ。技術で缶酷を抜き存在感を示す。足りなかっ

    た推進力を手に入れ奴の缶酷への思いは隷属国となった。あとは国内不安に

    火を点ければ暴発する段階だ」

琳鄭 「金の資金源は我が国との貿易と組み立て、サイバー攻撃と違法薬物。国民を

    餓死させてもミサイルを放つ。それが国を守る事と…愚かな」

秀欣平「我が国も不動産神話崩壊、外資流出、災害、EVシフトの崩壊、半導体は先

    細り。公務員のみならず軍へも支払いが滞る始末。飛ぶ鳥を落とす勢いはも

    う昔の話となった。このままでは世界の神にはなれない。再び中酷

    ここにありを知らしめるには台湾企業を傘下に引き込むこと…。やはり、台

    湾武力侵攻しかないか」

琳鄭 「猛沢蕩先生が仕掛けた南水北調が完成しましたが申し上げにくいですが水の

    供給どころか水質汚染、地盤沈下・砂漠化が進行し、人民の不評を買ってい

    るようです。工場用水に取られ農業用水が枯渇し、主席が目指される自給自

    足が遠のく事態に。水難民が…。もう時間がありません」

秀欣平「水不足か…工場の稼働に悪影響か…。我が国の再建は主要地を他国に移すこ

    としかないのか。政府への不満は私に向く、それは避けなければならない」

琳鄭 「人件費の安さで工場誘致してきたのが人口流出では困難かと」

秀欣平「やはり、台湾侵攻しかないのか…」

琳鄭 「再び申し上げ難いですが軍の設備が起動できるか。空母は実戦に向かない。

    十日は持たない。兵の士気も同様かと。現状で戦禍に突入すれば難民を増殖

    させ世界からの中酷終焉を告知することに成り兼ねません」

秀欣平「進も地獄、戻るも地獄か。終わったのか。プチンがいっていたな露西亜のな

    い地球はないと。その気持ちが今は身に染みるわ」


 秀欣平は窓から見える曇天を濁った眼差しで見つめていた。

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