≪第十二話≫

「あ゛ぢぃー。」

夏の日差しが照りつける中、山道を歩いていた。

私にとっては初めての夏だ。

「なんだ、このぐらいの暑さで。」とクー。

「暑いものは暑いんだ。」と私。

木漏れ日の中、空には入道雲、どこまでも青い空。

何もかもが私にとって初めての経験だった。

「さすがに暑いな…。おい、飲み水だ。川を探すぞ。」

クーの指示でなるべく低い所を探す。

しばらくして川があった。

その川は南の方角にのびていたので、その川沿いを進む事にした。


そして、数時間過ぎ、空では黒い雲がこっちに流れてくる。

「おい。隠れる場所を探すぞ。」とクー。

「なんで?何かあるの?」

「雲行きがあやしい。雨が降るぞ。」とクー。

「わかった。」

南に少し下ったらプレハブ小屋があった。

その中に入れるところがあり、中に入った。

と同時にすごい雨と風、そして雷。

「恐いよー。」私は言った。

そして次の瞬間、小屋が揺れた。

と同時に窓ガラスが全て割れ、飛び散った。


雨はそんなに長く続かなかった。

どうやら通り雨らしい。

私は外に出てみる。

何事もなかった様なぬけるような青空と通り過ぎてった雲。

クーも小屋から出てきた。

なぜかびっこをひいていた。

「どうしたの?」私は聞いた。

「割れたガラスで足を切ったみたいだ。」とクー。

「大丈夫?」と私。

「ああ。問題無い。」


それからまた川沿いを下って行った。

クーが怪我をしているので歩くスピードはゆっくりだ。

しかし夜になり、クーは歩けなくなった。

そして足がパンパンに腫れてきたのだった。


次の日、症状は悪くなるばかり。

クーが動けないので私が食べるものを持ってくる。

飲み水は自分で飲みに行く事すらできなくなっていた。

クーは「…もういいよ…。俺は生きたい放題生きた。」と。

「何言ってるのさ!楽園まで一緒に行こうよ!」

「その夢はお前に託す。お前は俺の希望だ。」

僕は泣いた。涙も出なくなるくらい出した。


…その日の夜、クーは死んだ…。


次の日の朝、僕は前へ進もうと決心した。

クーに報いるためにも頑張って生きると約束した。

「お前の事、絶対忘れないからな!」そう言い、旅立つのだった。

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