≪第十話≫
次の日、外は晴れ。
朝食をもらった後、玄関で2匹して戸をガリガリ引っかき外へ出たいと言ってみる。
『おや?外に出たいのかい?じゃ、俺も付き合うよ。』と主。
2匹と一人で外に出てみる。
私にとっては数日ぶりの懐かしい外の風の匂い。
気分が浮き足立つのがわかる。
『そういえばハナは外に出るのが初めてだったね。』と主。
ハナはやっぱり恐いらしく、家の中に入りたがる。
私は「大丈夫だって。」となだめるが効果はない。
それを見た主は『やっぱりだめか…。』とハナを家の中に入れた。
『君はもう少し散歩するかい?僕が見ているから見えない所まで行くんじゃないぞ。』と言った。
私は玄関と反対側の花が咲いている庭に行った。
決して主の目の届かない所へは行かなかった。
いろんな花が咲いている花畑。久しぶりに外ではしゃいだ。
しばらくして主の所へ行き、一緒に家の中に入る。
ハナはまた2本足で外を見てる。
私の遊んでいる所も見ていたらしい。
「おかえり。」ハナは言った。
「ただいま。楽しかったよ♪」
「やっぱり恐い。俺は家ネコでいいよ。」とハナ。
「そうか。」
「でも君がここにいる間はもっと外のことを教えてほしい。」
「ああ。いいよ。」
それから私は毎日外で遊ぶようになった。
ハナにその日の外での出来事を話す事が毎日の日課になった。
何日か目に外へ出た時の話である。
主は相変わらず心配して外での私を見ている。
そして中に入る時、ぼそっと『…カラスがまたいたな。嫌だなー。』と言ってた。
どうやら主はカラスが嫌いらしかった。
それからまた何日かして、クーを引き取る日になった。
私はワクワクしながら主と車で病院に向かっていた。
病院に行くとこの間の先生が『こら。走り回るな。』と困っている。
『何だ?』と見てみるとクーが床を走り回っている。
『こんにちはー。おー!こんなに元気になって。』と主。
「クー!大丈夫?ごめんよー。」と私。
「あー。俺なら心配すんな。そんなヤワじゃねー。」と照れながらクー。
2匹じゃれあった。
『いやはや、毎日暴れて大変でしたよ。』と先生。
『すいません。それでお代はいくらになりますか?』と草汰。
『ああ、タダで良いですよ。あなたが見捨てられずに拾った猫じゃあないですか。』
『えー!?それは悪いです。こんなに迷惑かけたのに…。』
『それにいつもハナちゃんで私もお世話になっているからね。』と先生。
『それは私がお世話になっているんじゃないですか。』
『お互い様だよ。私は誰かが元気に、そして喜んでくれれば本当はそれだけで十分なんだよ。』
『いつもいつもすいません。』草汰さんは何度も何度もおじぎをした。
「クー、覚えてる?この人だよ助けてくれた人。」と主を見る。
「あー、なんとなく。お礼しないとな。」とクー。
『それじゃあ僕の家に行こうかい?』
『ニャーニャー。』と2匹。
そして2匹は草汰さんの家へ行くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます