≪第六話≫

そして町に着いた。

「さて、これからどうする?」と私。

「まずは飯だな。ゴミ箱をあさろうか。」

「ゴミ箱って何?」

「人がいらなくなったものを捨てるとこだよ。」

「えー?そんなところに食べれる物があるの?」

「まあ探してみようよ。」

ゴミ箱をいくつか探して歩いてようやく魚の頭が捨てられている所があった。

「なんかくさいよ。こんなくさいもの、食べれるの?」と私。

「うまいって。食ってみ。」とクー。

そして恐る恐る食べる私。

「お?意外とうまいな。」

「だろ?」


食事も終え、腹ごなしに街中を探索した。

町の端から端まで歩いても時間はそんなにかからない小さな町だ。

歩いていると一匹の赤茶色のしま模様のネコが歩いてきた。

「こんちは。」私は挨拶をした。

「こんにちは。見慣れないネコだね。」

「僕達は北の方角から歩いてきたんだ。で、今日この町に辿り着いたんだ。」

「ほー。北の方から。」

「この町はどんな町だい?」クーが聞いた。

「あまり住んでいるネコはいないよ。私も最近になってこの町に住み始めたんだけど、冬は寒すぎて大変だったよ。」とそのネコ。

「どんな人が住んでいるの?」

「基本的に良い人ばかりだよ。私はここから近くの家に住んでいるんだけど。」

「僕達をその家に連れてってくれないか?」と私。

「いや、それはだめだ。」

「なんで?」

「私が見つけた場所なのに何で教えなければならないの?」

「そうか。すみません。」

「いや、いいよ。言い過ぎた。」

「他に住めそうな家はあるかい?」とクー。

「うーん。そこ以外はあまり歩かないからね。自分で探す方が早いよ。」

「わかった。探してみる。」

と、寝場所を探す2匹だった。

次の日、一軒の家の庭を探索していた。

庭に小さな小屋があり、その隣に美味しそうなエサが置いてあった。

それを2匹で食べている時だった。

『何食べてるんだ。』

突然ネコではない大きな声がした。

「うわ!!逃げろ!」とクー。

僕は冷静だった。

聞いた声と言葉がそんなに怒った感じではないと感じた。

だから次の時クーに「大丈夫だよ。」と言っていた。

クーは私が食べられるのではないかと思い、木の陰に隠れて心配そうにこっちを見ていた。

私はネコ語でその犬に「ネコの言葉、解りますか?」と聞いた。

「ああ、解るよ。」と、その犬は答えた。

クーはその犬の言葉が解らないらしく、また驚いていた。

私はまずエサを食べた事を謝った。

するとその犬は「気にしてないよ♪」と気さくに答えたのだった。


しばらくその犬も含めて3匹で話をした。

その犬は自分を『マメ』と名のった。

クーは犬語が解らないので、私が時に訳して話をした。

その家の主は3年前に遠くから引っ越してきたらしかった。

マメは引越ししてきてから3度目の春とのことだった。

主は良い人で、日に一度マメを散歩させるらしい。

いつも朝食後に散歩するらしく、明日のその時一緒に遊ぼうと約束した。

3匹で話をすると話は尽きなかった。

マメがそんな雰囲気を作り出している様だった。

私は不思議な犬だなと思った。

話は尽きる事がなかったが、日が落ちる頃、散会になった。

休む場所はマメが教えてくれた隣の家の車庫で寝ることになった。

寝場所を見つけて2匹は話し疲れたせいかすぐ眠りに落ちていった。

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