≪第五話≫

自分1匹の時より2匹の旅は楽しかった。

それと同じにクーは年の功か、とてもためになる事をいろいろと教えてくれた。

それは飲み水の探し方だったり食べ物の在り処などだ。

飲み水は山を横に歩くのと、そして下がっていく方向に存在しやすい事が解った。

食べ物は食べられる草や鳥・小動物の捕り方を教わった。

最初は小動物が自分だけでは捕れず手伝ってもらってたが、日を追う毎に自分だけで見つけ、そして捕れるようになった。

生後3ヶ月ぐらいの時の旅とは雲泥の差だった。


歩き始めて3日後、山を越えたのか上り坂から下り坂に変わった。

あまりなかった食べ物も、山を下るにつれ植物は増え、小動物も多くなった。


下り始めて4日後、コンクリートの道路にぶつかった。

車通りが少しあった。

私は「横断して突っ切ろう。」と言った。

クーは「この道を使って進もう。」と言った。

「なぜだい?こんな気持ち悪い道を…。」

「この道を下っていけば町があるんだよ、多分。そこで休もう。」

「町が?でもこの道は南へ向いてない。南西向きだよ。」

「そんなに急ぐ事もないっしょ。道の向きも一応南っぽい向きだし。今までの旅は少し疲れたよ。たまには人が作った旨いもんでも食べてゆっくり寝たい。」

「…そうか。そうだよな。よし!わかった。この道沿いを進もう。」

「おい、さっき通っていった物体には気を付けろよ。」とクー。

「なに?そういえば何台か通っていったね。あれは何?」

「人が動くための道具さ。ぶつかったらただじゃ済まんぞ。」

「わかった。気を付けて歩こう。」

「少し高くなっている道を通れば少しは安全だよ。」

「ありがと。」

という事で道路沿いに歩き出した2匹。

しばらく歩いた頃、町が見えた。

意外と近くに町はあった。

私は『建物がいっぱい!』とわくわくしながら歩いた。

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