≪第二話≫

これからどこへ行けば良いのだろう。

そういえば昔、三毛猫の母親が言っていた事を思い出した。

南の太陽がある方角にネコの楽園があるという事を…。

私は思った。

『南へ行こう!』と。

その当時、季節は春。

土の強い匂いが印象的だった。

太陽が出ている時だけ、それに向け山道を歩いた。

雨の日は体が濡れるし方角が解らなくなるので休んだ。

それから5日間、飲まず食わずで時には休んで歩いた。

どうやら私の生まれた所は田舎らしかった。


旅を始めて6日目の昼ごろ、変化が現れた。

コンクリートの道路がそこにはあった。

私はあまりそのコンクリートの道路が好きではなかった。

なぜならばそれは自然とは非なる物で、血が通ってないような感じを受けるからだ。

私はそれを使わず、横断して山を登っていった。


次の日、歩いていると聴きなれない音が聴こえた。

『ザー』っという音。なんだろう。

私は南に行くのをいったん止め、音の鳴る方向に歩いてった。

すると、そこには川があった。

「そうだ。のどが渇いてたんだった。」と思い出した。

川の水をいっぱいのみ、その日は川の近くで休んだ。


次の日からまた南へ行くのを再開した。

春の木漏れ日の中を歩くのはとても楽しかった。

ただ、何も食べてなく、おなかは空く一方だった。


どれくらい南に、何日歩いただろうか。

水以外は何も口にしていなかったので、意識はもうろうとしだした。

そして一軒の家に辿り着いた。

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