第15話 愛の形

あの日を境に

私たちの気持ちは

すれ違うようになっていった

ううん、すれ違いじゃない

彼の中で

そして

私の中でも

何かが

変わってしまったのかも知れない


彼から届くメールの最後には

いつも

愛してるよの言葉があったのに

その言葉は見られなくなり

メールの内容も

ただおはようとおやすみを

伝えるだけのメールになっていた

私は

愛してるよの言葉も残して

日常の出来事を綴って

今まで通り

何も変えてはいなかったけど

そのメールの温度差が

少しずつ真実に

近づいているのを教えてくれた


お盆休みも近づいたある日

お盆休みには帰らないと

彼は言う

またお友達が来るの?と聞くと


違う

僕が東京で過ごしたいだけなんだ

東京でゆっくり過ごすよ


そうなんだ


それ以上は

何も聞かなかった

どのような過ごすかは

彼の自由

誰と過ごすかも

彼の自由

そんな風に思いながら

彼の心の中に私はいない

その事実を突きつけられたような

気持ちになったのは


あの時

あのゴールデンウィークの日

友達が見たのは彼一人じゃなかった


誰か女の人と歩いていたよ

そう言っていたから


その言葉は信じられなくて

私は認めたくなかった

嘘だって

ずっとずっと嘘だって

その言葉から逃げていたんだ

彼から本当のこと聞くまでは

それは嘘

そんな風に思い込もうとしていた



もう

いいかな

もう

認めなくちゃ


私の中で

また違った形の

愛が生まれようとしていた


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