第16話 真実


彼が

東京にいたいんだと言ったとき

私は思い切って話した


ねえ

怒らないで聞いてくれる

私が思うこと聞いてね

あなたが東京に行って

私も変わったけど

あなたも確実に変わった

今のあなたから感じるのは

あなたの心に私はいない

そんな風に感じるの


彼は何も言わずに

黙って聞いていた


離れ離れになったから

色々思うことはあったと思うの

私も

あなたを気遣い

思いやることを忘れた時もあったから

私の知らないあなたが

そこにいて

どんなことが起きていても

それは全然不思議じゃない


黙って聞いていた彼は

ふうーっとため息を吐くと

覚悟を決めたように

話し始めた


幼なじみなんだ

小中高ずっと同じ学校で

僕のことを思い続けてくれていた

だからと言って

お付き合いした訳じゃないよ

僕にはただの幼なじみでしかなかった


彼女は

僕が東京に移動になった時

仕事を辞めて東京まで来たんだ

彼女が僕を探して

僕の目の前に現れた時は

びっくりしたけど嬉しかった

見知らぬ土地で

必死だった僕に

彼女の存在が癒しになっていったんだ


そっか

そうなんだ、、

初めて聞いた真実

頭の中が真っ白になるって

こういうことを言うんだね

何も考えられなかった

どうすればいいのかも

わからなかった

でも

心は冷静に

彼の幸せを願いたいって

思ったのも事実なんだ

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