第6話 海

それからの私たちは

お互いの都合や

時間が合う時をみつけて

逢うようになった

毎週週末に逢える時もあれば

2、3ヵ月は逢えない時もある

それでも

メールや電話で

連絡を取っていたので

不思議と不安はなかった


逢えた時は

私のリクエストで海へ行った

お天気の良い日は

海岸沿いの道をずっと歩いたり

砂浜に出れば

大きな流木に腰掛けて

ただ海を見つめてる

そんな時間が嬉しかった

何も話さなくても

大好きな海を前に

大好きな人の隣にいる

それだけで

幸せだったから


初めて手を繋いだのも海で

初めてキスをしたのも

海辺の公園のベンチで

泣いたり

笑ったりの

恋にど真ん中の私がいた

海で重ねた想いはたくさんあって

今でも海に行くと

心がほっこり温かくなる

そしてちょっぴり

キユッと

胸の奥が切なくなったりする


いつからか私は

海へ行っても

彼の横顔を見つめることが

増えていく

心の中は

彼への想いが止めどなく溢れて

それが

苦しい、と思うようになっていた

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