第3話 訳

私は初めて会ったその日まで

彼の存在さえ知らなかったのに

どうして

お付き合いすることを

受け入れたのだろう


私を見つめる真っ直ぐな目と

笑うとできるえくぼ

少し交わした会話が新鮮で

何だかドキドキして

もしかしたら既に

心は

掴まれていたのかもしれない


彼のことは

何ひとつ知らなかったけど

これから少しずつ

お互いのことを分かり合えれば

それでいいかなと

だから

お付き合いすることにしたの、と

一緒にいた友達に

必死に話す私だった


「友達から始めればいいじゃない」

彼女は笑いながら

私の背中をポンと押した


そうだよね

友達から始めればいいよね

私の中で

暖かな感情が満ちていく

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