第2話 気持ち
あれはもう10年以上前のこと。
「別れてほしい」
家が隣同士で誕生日も2ヶ月違い、つまり双子同然に生きてきた私達。
小学生の時にはお互いに結婚を約束していた。
中学生になってからスカウトがあり芸能人の道に向かった彼。
確かに容姿も性格も才能も全てを生まれながら持っている人だった。
スポーツも少し教えてもらっただけで出来たし、音楽も聴いただけですぐ演奏できてしまっていた。
案の定芸能界デビューしたらたちまち大人気になり高校生の時にはほとんど会えず連絡も少なくなっていた。
彼が久しぶりに1日休みがあり、帰省した際に家に案内してもらった。
「別れてほしい」
最初は信じがたい言葉だった。
しかし彼なりに理由があった。
芸能人になってファンが増えてこれ以上私に迷惑をかけたくないのと自分と一緒だと私が幸せにならないから他の人と結婚してほしいと。
最初は受け入れがたい言葉だったけど彼が本気で仕事をしている姿を見ていたからこれ以上何も言えず、
「わかった、別れよう。でもたまには会いに来てね」
彼に心配させたくないから涙を流さないように必死で自分の部屋に戻って泣いた。
そんな私ももう30歳。
これから、会社で出会った方と結婚式をします。
もちろん芸能界で第一線を走っているあなたも招待しました。
あなたが望んでいたように私幸せになります。
だからどうかあなたも沢山幸せになってください__
時間が空いた時にサクッと読める短編集 ぽてと @oegg3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。時間が空いた時にサクッと読める短編集の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます