名に反して幸が遠いヒロイン・近田幸子。ある事件をきっかけに、彼女の周囲を取り巻いていた狂気と愛憎が浮き彫りにされていく――
導入で「ん!?」となり、そのまま一気にラストまで駆け抜けてしまった作品。作者様の、物語に惹きこんでいく筆力が圧倒的です。
サブタイトルからして衝撃的な第1章は始まりに過ぎず、謎が謎を呼ぶストーリー、背景が明かされるごとに全ての登場人物に疑心暗鬼となり恐怖と不安が増していき……
錯綜を極めていく人間関係がどうなるのか気になりすぎて、もう止められない。
トラウマを抉ってくる描写は多いですが、ハマる人は確実にハマる。パンドラの箱を開けていく心境とはこういうものかも知れません。
上質な現代サイコホラー映画を満喫した気分でした。