世界は再び色づいた

sappy

〜私の灰色な人生に色と光を差し込んでくれた、とある妖精とのお話〜

prologue


もし、ある日突然目の前の世界が灰色へと変化するように、全ての色が奪われていったら?


私は適応障害という目には見えない心の病と戦っている。そしてこの病は、私の目に映る世界、すなわち私の人生から次第に色を奪っていった。


とある環境へのトラウマは、燃えたぎる炎のように私の心に存在した「弱み」「負の感情」に燃え移り、やがて大きな火事を引き起こした。

かつては青々とした木々と色彩豊かな花々、蝶の暮らした心の庭園を燃え尽くし、たちまち一面灰色の世界が現れた。まるで息をしていないかのような世界が。


それでも今、私は生きている。

必死に私の人生を生きている。

どんなに辛くても、まだ生きることを諦めたくない。


なぜかそう思えるようになったかって?


それは、とある妖精との出会いがきっかけだった。

私の無彩色と化した世界に再び「色」と「光」を差し込みやがて心の庭園に存在した生命にもう一度命を吹き込み、水やりをしながら支えてくれるような存在だ。今でも私の観る世界の色は時々霞んでしまうけれど、もう灰色には戻らない。焦らず、少しずつでも色を取り戻していけば良い。


心が苦しくて張り裂けそうなあなたへ。私の経験、言葉を通してあなたの心にもそんな妖精が訪れますように。どんなに枯れたように見える庭園でも再び蘇る。必ず。だから、まだ諦めないで。

鮮やかな世界を観よう、生きよう、共に。



About Myself…


はじめに、私がどんな人なのか簡単に書き綴ろうと思う。


元々、私の性格は「負けず嫌い」で「完璧主義」、仮に成果が出ても「自分の描いた頑張る過程を経た上で得た結果」でないと満足できないタイプ。

よく言えば「ストイック」なのかもしれないが、うまく自分自身を評価することができず、自己肯定感も低くなりがち。

また、「他人からどう思われるか」を気にしすぎてしまったり、「周りが望んでいるであろう姿を演じ、自我を見失い疲れてしまう」、俗にいう気にしい性格だ。自分で自分を苦しめてしまう。

それはよく分かっているのに、ネガティブ思考の沼に陥ってしまうのだ。


私にとって、この病気を克服するということは

「自分が自分自身の一番の理解者になること」、

「他人ではなく"自分はどうしたいのか"という本心に目を向け、行動できるようになること」を意味するのかもしれない。


完全な克服までの道のりはまだまだ遠いかもしれないし、何億マイルもあるように、果てしなく感じるかもしれない。でも、そんな時は思い出すだろう。

一緒に戦ってくれる「戦友」がここにいるということを。そして、私もあなたと一緒に戦う「戦友」であることを忘れないで。私も、あなたも決して一人じゃないよ。



What is fairy?


さて、ここからはタイトルにも冒頭にも登場し、

この作品の鍵となる「妖精」について話していこうと思う。


私はある人のことを「妖精」と呼ぶ。


自分の心が豊かな状態を"自然豊かな庭園"に例えると、私の心の庭園はある時まで美しい姿を保っていた。しかし、自分自身の思考の力により焼け野原のような状態になってしまった。

色を失い、輝き方を忘れてしまったのだ。

ただ漠然と「生きることが辛い」と思う日々もあった。精神科への通院を始めた頃ではなく、向き合おうとせず目を背けていただけでずっと前から庭園は荒れ果てた状態にあったのかもしれない。

そんな光のない庭園に居場所を見つけられず、私は立ち止まった。どうすれば色や光が戻るのかすら分からなくなっていた。


そこにある時、一筋の光が差した。

この出会いは突然だった。

そして、これは必然だったと強く信じたい自分がいる。その人が、魔法をかけにひらひらと舞い降りた「妖精」のように思えた。


ある日、私の目の前に現れたその妖精は「言葉」をとても大切にした。いつしか私にとって「言葉」は心の中で問いかけ、自信を傷つける火の玉のような存在となっていて、暖かな日差しを与えてくれる存在でもあることをすっかり忘れてしまっていたのだ。

「前向きな言葉」「認めてくれる言葉」など彼から受け取った日差しはやがて一部を照らすものから、庭園全体を明るく照らす太陽になった。

そして太陽の光を浴びて草木や花々が育ち、そこに生命が蘇った。

時に私は悲しみの雨を降らせるが、決して戻り始めた庭園の姿を破壊する災害にはならないだろう。また、今後も未然に防げるだろう。

なぜなら、一緒に庭園を守ってくれる存在ができたから。自分自身の考えや心への問いかけで火の玉が生まれそうになっても、それを日差しへと変えてくれるから。悲しみの雨を降らせずとも、水やりをして生命を育んでくれるから。


まだまだ私の庭園は安定して守れる段階ではないし、一部が完成してもまた別の一部の色が霞んでしまったり褪せてしまうこともある。けれども、私はこの庭園を常に新しい木々や花々、生命の宿る場所にしたい。

そして、二度と失いたくない。

この庭園を守ることは、私の「生きがい」「生きる意味」なのかもしれない。

もちろん、それにはこれからも妖精が必要だ。


暗闇から救い出してくれて、ありがとう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界は再び色づいた sappy @sappy_h

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ