第2話 導かれた出会い

 片岡 美鈴が目を覚ますとそこは見覚えのない森にいた。

「えっと……、ここはどこ?」

 突然の出来事に美鈴は困惑した。

 辺りを見回すと木はそそり立つ壁の如く生い茂っており、周りは光が葉っぱが光を遮っているせいか、先が真っ暗で何も見えない。


 美鈴はまだ小学生ということもあり、この異常な事態をきちんと把握できていなかった。


「あれ…、わたし…、ベットでねてたはずなのに、なんでこんなところにいるの?」

 美鈴がそう呟くが辺りには人の気配がなく返事をする者がいなかった。

 美鈴は急激に寂しくなり、誰かいないか辺りを見回した。

 しかし、それでも人の気配はない。


 美鈴の目から涙が溢れ始めた。

「うぅ...、ひっぐ...、えっぐ...、お母さん…どこ…?」

 美鈴は遂にすすり泣き始めた。

 無理もない。目が覚めると突然見知らぬものがいてにいて母親がいない状況で薄暗い森の中にただ1人いるのだから。

 しかし、そんな美鈴に追い打ちをかけるような事態がおこる。


 草むらが揺れて出てきたのは額に角の生えたひと際大きな灰色の狼だった。


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「ひっ!?」

 草の向こうから何かが出できた。おっきなお犬さんで頭におっきな角がついてあった。よかった…、お犬さんがいたんだね。わたしはさびしさをまぎらわそうとお犬さんに近づこうとすると、


「グルルル…………!」

「な、何⁉ こ、こわくないよ?こっちにおいで?」

 お犬さんに声をかけてみたけどぜんぜんなついてくれない…。それどころか、心なしかおこっているような感じがする。

 で、でもあきらめないもん!せっかく初めて生き物に出会えたんだから。

「い、今そっちに行くね。」

 そう言ってお犬さんに近づいたときだった。


















「ワオォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!」













 お犬さんは大きくほえた。














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 角の生えた灰色の狼は天に向って高く吠えると辺りの草むらから灰色の狼よりは一回り小さいがそれでも十分に大きい白色の狼は4匹ほど出てきた。狼たちは美鈴を取り囲こむように並び逃がさないようにしていた。美鈴は仲良くなろうとしていたが、この狼たちはごちそうを見つけたといわんばかりに美鈴えものを見ていた。

 美鈴は尋常ならざる状況に恐怖を抱いた。そして、理解した。この狼たちは自分を食べる気だということを。


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 お、お犬さんが増えてきた。なんだかわたしを食べようとしていない?

「わ、わたしを食べてもおいしくないよ!」

 わたしは思わずそうさけんだが、お犬さんたちはそんなのかんけいないという感じにわたしのことをみていた。わたしは思わずその場にうずくまってしまった。


 わたし食べられちゃうのかな。かみさま、わたしなにかわるいことでもしたかな。お父さんに会いたいってねがっちゃったから?こんなことになるのなら何もねがわなければ良かった。おうちに帰りたいよぅ……。


「バウ!バウ!バウ!!!!!!」


 一番おっきなお犬さんがほえるとわたしに向かってかけてきた。いやだ…、私まだ死にたくない!!!

 だけど体はんたいにわたしの足は動かなくって、こわくなって思わずおしっこが流れ出てきた。それでも何とかしようと土をつかんで犬に向かってなげた。


「ガウ⁉」

 土をかけられた犬はちょっとびっくりしていたけどすぐにおこってとびかかってきた。


「い、いやああああああああああああああああ!!!!!」


 わたしがもうだめだと思ったときだった。


















「はあっ!!!!!!!!!」


「ギャイン!!!!!!!?」

















「大丈夫か?」

 わたしがいつまでもこないと思って顔をあげるとお面をつけた男の人が立っていた。


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 俺は知人から依頼調査を受けて妖原の森へと入った。この森はここ、ラダガート地方周辺付近の中でもひと際危険度の高い場所だ。特にこの辺り周辺を縄張りとしている

 ウォーグウルフというモンスターは1匹のリーダー狼を中心に数匹で行動して、獲物を襲うという厄介な性質を持っている。今回、そのウォーグウルフが異様に発見されているという報告があって、その際に怪しい存在を見かけたという話を聞き俺が調査に向かったのだが、


「なるほどな、確かに多いな…。」


 俺は、先ほどから襲ってくるウォーグウルフを倒しながら調査しているのだが、が多い。こんな多く発生することは本来有り得ない。


「これほどまでに発生するとなるとスタンピードの可能性も考えられるが、それにしたっては、そのが異常だ。」


 本来、ウォーグウルフは群れをなして襲ってくるモンスターだ。しかし、俺が倒してきているウォーグウルフ達は1行動しているということだ。これはもしかすると…、考えているときだった。




「ワオォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!」

「!?」


 ウォーグウルフの遠吠えが聞こえてくる。まずい、遠吠えということは仲間を呼ぶ合図だ。人が襲われている可能性がある。急いで行かなくては!


 俺は、ウォーグウルフの遠吠えが聞こえるほうに急いで向かった。


「わ、わたしを食べてもおいしくないよ!」

 やはり人が襲われている。少女のようだが、こんな森にどうして子供が…?

 と頭によぎったが今は少女を助けることを優先した。


「グワアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

「い、いやああああああああああああああああ!!!!!」


 少女が襲われる寸前だった。しかし、この距離なら…!


「はあっ!!!!!!!!!」

「ギャイン!!!!!!!?」


 俺は、ウォーグウルフの口に向かって剣を振りかざし、少女を守るように立った。

「大丈夫か?」

 少女に向かってそう呼びかけるが、少女の顔は涙で溢れており、恐怖に染まった顔をしていた。しかし、その顔に俺はどこか見覚えを抱いていた。


 と浸っている場合ではなく、今は戦闘に集中しなければ…

 状況をみるとウォーグウルフが4匹に加えて、ウォーグウルフの進化体である灰色のウォーグウルフであるハウンドウルフがいる本来ならばこの森ではばずなのだが、今は倒すことが優先だ。


「グルルルルルルル…!」

「悪いがて手っ取り早く倒させてもらうぞ」


 そういうと俺は




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 未怜は今起こったことに呆然としていた。仮面の男が剣を構えた途端に周りの狼の首が全て切られており、男は静かに剣を収め、未怜に向かって声をかけた。

「どうしてこの森に一人でいるかは分からないが、ここは危ない。ひとまず安全な所まで移動しよう。」

「あっ…。」

「?どうした?」

「立ち上がれない…。」

「…そうか、なら俺が抱えよう。」

「ま、待って…!」

「何か問題が…?」

「わ、わたし、い、今…///」

「……問題ない。このままいくぞ。」

 そう仮面の男がいうと未怜をした。


「!!!!!!!!!?////////」

 突然お姫様抱っこされた未怜は困惑と羞恥心でいっぱいになる。

「い、いいから汚れちゃう…ますよ…!///」

「気にする必要はないそれに軽いしな。」

「そ、そうことじゃなくって…///」

「それにここにずっとここに留まっておくとかえって危ない早めに移動したほうがいい。」

「う、うぅ…///」

 未怜はそう言われて仮面の男に抱えられながら移動した。

 この仮面の男との出会いこそ未怜の師匠となる男との出会いであった。








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