一分で終わる赤いきつねと緑のたぬきのおはなし

貫咲 賢希

 赤いきつねと緑のたぬきは昔からのともだち。


 きつねさんの方が少し年上で、二匹はいつも騙し合いながら仲良くしてましてました。


 けど、いつの頃からかお互い騙されることがなくなりました。

 

 このままだと友達でなくなる。


 ある日そう考えた、たぬきさんは必死で騙そうとします。


 しかし、ちっとも騙されてくれません。


「ほら、きつねさん。うどんができたよ」


 今日もたぬきさんはきつねさんを騙そうとします。


「ありがとうたぬきさん。って、まだできてないじゃないか?」


 湯が注がれたカップうどん。

 蓋も開けてないのにきつねさんは一目で嘘だと見抜きます。


「おや、もうバレたかい?

 残念だ。もうずっときつねさんを騙すことできていないや」

「当たり前さ。何年友達と思ってるんだ。

 今更、お互いを騙すことなんてできないさ」

「そっか。そうだね」


 少し悲しそうにするたぬきさん。

 すると、側にいたきつねさんは言いました。


「嘘なんて簡単にばれるくらい、僕らは友達だということだね。これから先もずっとそうなんだから、いい加減下手な嘘はやめなよ」

「!? そっか。そうだね」


 たぬきさんはさっきと同じ言葉を言いました。

 けれど、さっきとは違って、たぬきさんは元気そうでした。


「ほら。うどんとそばが本当にできた頃合いだ。一緒に食べよう」

「うん」


 二匹ら互いに違うものを食べながら、昔から変わらない暖かくて、美味しいものを食べましたとさ。

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一分で終わる赤いきつねと緑のたぬきのおはなし 貫咲 賢希 @kanzaiki100

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