第14話 寝る皇子、街の今後を話し合う

まえがき

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フランメを迎えた3日後、この日はネルスの屋敷に街の主だった者が集まっていた。


「じゃあ今後のネールスロースの発展についての話し合いをはじめるぞ」


集まった皆が頷く。

この場にいるのは、領主ネルス、領主夫人フランメ、護衛フレデリック、司会リューク、隊長ギリー、隊長ヒョウガ、獣人まとめ役鼠人族チュータロウ、料理組代表兎人族エミリー、鹿人族ヤックル、栗鼠人族リッキー、犬人族ワンダの11名


すっとヒョウガが手を挙げて発言する。


「この際聞いておきたいんだが自由で強い街を目指すって具体的にどういう街か聞いていいか?」


「おれは知っての通り何にも縛られたくない。そしておれはお前たちを縛りたいとも思わない。しかし、外から俺たちの自由を阻害しようとする勢力が現れることもあるだろう。その際に対抗できる強さが要る。

それに自由に過ごすにはまだ足りない物ばかりだ。現状服や調味料、武器などといった物は他所の街から買い入れるしかないが、いずれは全てこの町で賄えるようにしたい。でないと本当の自由とは言えないからな。」


「でも大将は帝国の皇子なんだろ?大丈夫なのか?」


「あぁ皇子だからこそ大丈夫だ。普通の貴族が言ったら反逆に問われるかもしれんが、俺は覇王帝の孫でユニーク持ち。今はまだ帝国の奴らには明かせんがな。どちらにせよ俺は今以上にアンタッチャブルな存在になるし、親父や兄貴も火種となる俺が帝都にいるより辺境で王様面してふんぞりかえってる方が都合がいいだろう。」


「安心したぜ。つまりさっき言ってた事が出来る様な種族に声かけりゃいいってわけだな。どこにも干渉されない街か。おもしれぇじゃねえか。」


「そうゆうことだ。普通に町民の数も欲しいから種族問わずにどんどん勧誘してきてくれ。」


「ンモ!おいも知り合いに声をかけとくンモ!」


「我々はもう伝はありませんが、ネルス様の手足となり街の運営にご協力させて頂きます。」


「ギリーも頼むな。チュータロウたち獣人の皆も含めてこれまでその場で与えていた役割を再確認したいと思う。

狩りと警備兵は今のままギリーとヒョウガの20名ずつ二部隊で交代でいいだろう。

チュータロウには獣人のまとめ役をやりながら街の運営補佐を手伝って欲しい。まぁ町民からなにか要望があったら動いたりおれに報告してくれたらいいってだけだ。

食事は現時点で各家庭に分けるほどもないし、このまま全員が街の食堂を利用するってのでどうだ?自然と顔を合わせることにもなるしいいと思ってるんだが。」


「フォッフォッフォ。帝国では考えられませんな。」


「貨幣経済は導入するつもりがないってことだな?」


「あぁ。ここには金に不慣れな種族や魔物が多いからな。無理に押し付ける必要はないだろう。外とやりとりする間は外に物を売って得た金で物資を買う必要はあるだろうがな。」


「それもそうだな。食堂に関してはおれも賛成だぜ。みんなで食うとうめえしな。」


「なら食堂は今後もエミリーたちに任せる。必要なものがあったら言ってくれ。」


「わかりました。今はネルス様がくださった調味料が残ってるんで大丈夫です。」


「今後は狩りだけでは厳しくなってくるだろうから野菜や果物を育てられないかと思ってるんだが誰か出来そうな奴はいないか?」


「それなら野菜の栽培は私たち鹿人族にお任せ下さい。」


「僕たち栗鼠人族は果物の栽培を頑張ります。」


「ですが畑はどこに作るんですか?このまま人口が増えると街の中では手狭になってきますよ?」


「あぁ今あるのは内壁にして、もう一重外に大きな外壁を作ろうかと思ってる。

その中で果物や野菜の栽培やゆくゆくは動物や魔物の飼育もしたいな。」


「フォッフォッフォ。また老人を働らかせるつもりですな。」


「でもそれなら5千人ぐらいまでなら内壁でなんとかなりそうだな。」


「じゃあ大人しい動物の飼育は我々犬人族が担当させてもらいますワン。

流石に魔物の飼育は怖いですワン。


「じゃあ魔物は今後増えた種族に頼もうか。フレデリックとフランはおれの護衛という名目で好きにしてくれ。リュークには5人の小隊を預けるから好きに使ってくれ。」


「じゃあブームとレーブの門番コンビとこの前のコクガたち3人を配下として貰っとくぜ。」


「その5人には当面はガルガロッソのところとの交易を担当してもらうけど、それも含めてリュークに任せる。」


「あちゃー。上手いこと丸投げされちまった感じか。欲かかなきゃよかったぜ。

アッハッハ。」


「当たり前だろう。おれはこの町でぐうたら過ごすんだ。そのためにめんどくせえ交易なんざせんでも生きてける街を作るんだ。わかったな?」


「おいおいさっきまでカッコいいこと言ってたのに台無しだぜ…まぁわかったよ。」


ネルスはどんな時でもネルスだった。

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