第8話 寝る皇子、ミノタウロス族と交渉する
まえがき
ご覧頂きありがとうございます。
本日は第7話も更新しておりますのでそちらからお読み下さい!
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ミノタウロスたちは力こそすべて。
話をしたければまずは勝ってみせろと非常にわかりやすい主張をする。
「なら勝てば俺たちの言う事を聞いてもらうぞ?」
「もちろんだンモ」
ここでネルスは必殺技のカードを切る。
「よし、じゃあ爺頼んだ!」
ズルッと大きな音を立てながらリュークが転げる
「今の流れだとてっきりネルスが戦うのかと思ったぜ」
「いや、ミノタウロスはパワータイプっぽいからな。それなら爺に任せた方が奴らも納得しやすいだろ。」
「で、本音は?」
リュークのジト目がネルスに突き刺さる
「めんどくさい」
「はぁー。相変わらずで安心したぜ」
「ンモ?相手はあいつじゃないのかンモ?」
「フォッフォッフォ。儂で十分ということじゃよ。」
周囲には多くのミノタウロスが詰めかけていてネルスたちを囲む様に様子を見守っている
「じゃあはじめるンモ」
ギリーはいつの間にか身長の半分くらいはありそうな棍棒を手にしており準備万端といった様相である
「ではまずは儂が受けよう。攻撃してくるが良いぞ」
「ンッモー!」
ギリーがフレデリックに走り出し棍棒を振りかぶる。
しかしフレデリックはことも無さげにその様子を見ている。
そしてギリーがフレデリックを叩き潰そうと振り下ろす。
「ンモッ?」
自慢の棍棒が事もなさげに受け止められたことで困惑の表情を浮かべるギリー
「族長の攻撃が受け止められたモ」
「あれ人間じゃないモ」
「どうやったモ!」
周囲のミノタウロスからも困惑の声が広がっている
「いつ見ても凄まじいな爺の権能は。」
「あぁあれでよく殴られたぜ」
フレデリックが使ったのは【矛盾の才】の中の鉄壁という権能。
自らの身体を鋼鉄に包まれた難攻不落の要塞と化すことが出来る権能だ。
また、このスキルは守備だけでなく攻撃も…
「フォッフォッフォ。つぎは儂の番じゃのぅ?」
鋼鉄に包まれた腕を振り被りギリーの鳩尾を殴りつける。
「グハッ」
その重い一撃はギリーに膝をつかせるには十分だった
「「うぉぉー」」
「族長が負けたモ」
「やっぱりアレは人間じゃないモ」
人間じゃない判定を受けていたフレデリックだったが、本人は至って気にせずネルスの元へ戻っていた。
過去、周辺国から恐れられた【矛盾の将】にとってこれぐらいは日常茶飯だからだ。
「うっっ負けたンモ…」
「おい、爺さんの一撃をまともに受けて意識保ってるなんて化け物かよ。」
リュークはリュークでギリーを化け物扱いしていた。
「手なぞ抜いておらんぞ」
「わかってるぜ。爺さんがそんな男じゃないってのは身体で覚えさせられたからな。」
遠い目をして答えるリューク。
これまで余程殴られてきたのだろうことは察するに余りある。
「でもそっちの奴らが強いかはわからねぇモ」
ここで若いミノタウルスから物言いが入った。
フリードリヒが強いのはわかったがネルスたちが強いかどうかはまだわからないので従えないということだった。
「お、おい、やめろンモ。もう一人はともかく前にいる奴は本当の…」
慌てて門番のブームが止めようとするがそれはもう遅い。
「ん?なんだ?力を見せれば納得するのか?いいだろう。」
『お前たち頭が高いぞ。誰が頭を上げていいと言った?』
ズンッ
ネルスが言葉を発した瞬間、周囲の空気が一際重くなる
「「なっ!」」
「身体が、重い、ンモ」
周囲にいたミノタウロスは一人の例外もなくネルスの重力魔法によって跪かされていた
「これで満足か?」
若いミノタウルスは答えようともがくが、あまりにもの圧でうまく口を動かせないでいた。
「ん?あぁ喋れんのか。今解除しよう。」
ネルスが解除した瞬間にミノタウロスたちがその場に崩れ落ちる
「よ、よくわかりましたモ」
「只者じゃないと思ってはいたがここまでとは思ってなかったンモ」
若いミノタウルスを庇う様にギリーがネルスを賞賛する
「で?どうだ?おれたちが新しく作る街へ来てくれるか?」
「文句はないンモ。むしろこんな強い奴らの街なら退屈しない事間違いなしだンモ」
「みんな!おいたちは今日からこの…えーっと」
「ネルスだ」
「ネルス様の配下に入るンモ!文句がある奴はいるかンモ?」
「「うぉー」」
一斉に歓声が沸く。
強さに正直なミノタウロスたちにとって全員が一瞬で跪かされたことは、ネルスを受け入れるには十分だった。
「これから頼んだぞ。」
こうしてネルスたちの元にミノタウロス族63名という強力な戦力が加わった
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