最奥に眠る宝を手に入れるために“過酷な”ダンジョンに挑む、可愛い3人の女冒険者達の話です。
丁寧な描写で、異世界ファンタジーらしい雰囲気、薄暗かったり、逆に美しかったりするダンジョンの様子がありありと浮かびます。
短編ながらそれぞれのキャラクターも可愛く、しっかりと立っていて、彼女達のほのぼのとしたやりとりは、挑戦しているあまりに過酷なダンジョンの厳しさを和らげ、同時に対比させてくれるものでした。
さて、この作品の魅力はやはり、各話にある違和感、あるいは伏線でしょう。
ダンジョンの概要、3つある試験それぞれの文言・数・描写に意味が込められていて、結末をきちんと期待、予感させてくます。
特に各試練でのキャラクター達の立ち回りはお見事と言う他ない気がします。ファンタジーを読み慣れた方であれば、そこに隠された意味に気づく事ができるのではないでしょうか?
一人称らしく主人公が見て、感じ取った物事しか描かれないわけですが、そこにもきちんと意味を持たせていて、終始「考えられているな」という印象でした。
苦労しながらも、和気藹々とした雰囲気で試練を乗り越えていく主人公たち。彼女たちは無事、ダンジョンの奥にたどり着く事が出来るのでしょうか? また、たどり着いたとして、そこに待ち受けているものとは?
短編ながら読み応えがあり、驚きも、謎解きもある。今まで読んでいなかった事が勿体無い、そう思えるほどに素晴らしい作品でした。
皆さんもダンジョン…というよりこの物語に隠された秘密を、主人公と一緒に明かしてみませんか?