前世がおれを放っておかない！

第1話

ヒューリ・ウェルネス／初島かなで

本作の主人公。黒髪黒目、中肉中背。前世の記憶がごくうっすらとある一般人。ファウスト村で生まれ育った平平凡凡な農民A。

手先が器用でお人好し。エレアからの猛烈な「結婚しよう！」コールをひたすら躱す胆力の持ち主。

前世の記憶をごくうっすらとしか持たないので、エレアやカイルの話す前世を聞いても自分事ではなく絵物語の中の出来事のようにとらえている。

エレアのことは見た目は可愛らしい女性だと思っている。

前世の性別は女性。高校時代はエレアの前世である継木と相思相愛の恋人同士だった。しかし、高校卒業間近というところで交通事故に遭い死亡。

エレア・ツェリントン／継木暁瑠

本作のヒロイン。金髪緑眼、スタイル抜群の美人。前世の性別は男性。防壁都市ラウスト出身。前世時代では、ヒューリの前世である初島と恋人同士だった。

しかし、初島が高校卒業間近というときに交通事故に遭い帰らぬ人となり、その後の人生すべて投げ槍な生き方をする位にやさぐれてしまう。最終的にブラック企業勤めの過労が祟り、心不全で呆気なく死亡。享年三十歳。

その後、前世の記憶を持ったまま転生を果たす。

前世の記憶があるということは、初島もこの世界の何処かにいると強く信じ、今日まで剣術を磨き研鑽に励んできた。

魔物討伐の旅の道中、ファウスト村で出会ったヒューリを一目で初島だと見抜き、積年の想いが溢れて求婚を申し込む。つれない態度のヒューリを目の前にしても、諦めないド根性精神の持ち主。普段の一人称は私だが、ヒューリを前にすると前世につられて俺になる。

ヒューリと絶対に結婚すると信じて疑わない人。

カイル・ラクサス／継木夕夜

ヒューリの幼馴染でファウスト村村長の息子。銀髪碧眼、長身の美形。

十数年前王都の学校で勉学に励んでいたが、就学後有名な大工に師事。つい最近村に戻ってきた。

ヒューリとは離れていても手紙でやり取りするくらい仲が良い友人関係。しかし、ヒューリに猛烈なアタックをするエレアを目の前にして、これまで無かった前世の記憶が蘇る。

前世の性別は男性。エレアの前世である継木の弟。初島の死後、死んだように生きる兄を心配していたが、当人から放っておいてほしいときつく言われ、関係が希薄になってしまう。

兄の死後、拒絶されてもいいから沢山話しておけば良かったと後悔し続けながら天命を全うする。享年九十七歳。

クルシュ・ウェルネス／初島ふわこ

ヒューリの義妹。前世は初島かなでの飼犬であるトイプードルのふわこ。ヒューリの事を愛しており、幸せになってもらいたいと思っている。

カイルの事が異性として気になっている。

ヴィルフリート・ファンベルト／魔王ヴァンデルム

防衛都市ラウストの領主。前世は初島の前前前世時代の宿敵であった魔王ヴァンデルム。ヴァンデルム時代に初島に一目惚れし、何がなんでも自分の物にしようとしていた初恋拗らせ野郎。

白銀髪蒼眼長身のイケメン。初島の生まれ変わりであるヒューリを囲い込もうと画作する奴。領主のくせに行動家でファウスト村に一月の半分は滞在している人。

ヒューリも初島の影響でヴァンデルムを嫌っておらず、「アンタと結婚すれば楽かもな」と言うこともある。

初島かなで／大罪の娘メリューニオ／聖女ティオニシア

ヒューリの精神空間にいる魂の一部。三度の転生を経て、ヒューリになる。ヒューリに夢の中で色々アドバイスしてくれる人。黒髪ロングセーラー服の美少女。

一度目は完全無欠の聖女として世界を救い、二度目は国家転覆の大罪を背負わされ処刑されたので、三度目の人生は普通に過ごしたいと願い、短命の呪い付で願いを叶えた。

四度目は自身の記憶を消去し、何の力も無く普通に過ごしたいと願った為に、ヒューリは初島時代の記憶もなく前前前世の関係から振り回される事になった。

ヒューリの事を可愛い弟のように思っている。ヴァンデルムを「あの人はしつこいからねぇ。地の果てまで追ってくるよ」と言いつつも、嫌ってはいない。

逆にザッカーバーグには「エルプスには近づかない方が良い」と忠言するくらいには毛嫌いしている。

ロベルト・ザッカーバーグ／賢王ノルドローク・エルプス

メリューニオ時代の初島を処刑させるまでに至らしめた悪漢。前世の記憶はあるが、ヒューリが初島である事は知らない。メリューニオを今でも憎悪し、殺したいと思っている。

初島はザッカーバーグを毛嫌いしているが、ヒューリはザッカーバーグを良い人だと思っている為、彼を前にすると感情と身体が乖離し思うように動けなくなる。

メリューニオが自身の求愛を断ったから処刑した。その事に対して罪悪感は微塵も持っていない。むしろ自身の行動に誇りさえ感じている。

エレアの旅の仲間兼剣術家門での兄弟弟子。ヒューリに対してのエレアの奇行を疑問視している。