第5話 変わらない僕たち

        ―———時は現在高校1年生の僕に戻る————


              🐟🐟🐟🐟🐟



「ねぇ、どうだったかな、僕とハルくんの感動の出会いのお話。」

「・・・これは感動といっていいものなのか?」

「だって僕とハルくんの出会いだよ。感動でしょう。」

「ってか、怖がりってなんだよ、怖がりって。俺別に怖がりじゃねぇし!?」


と、ハルくんが言うので、僕はちょうど再放送で放送している心霊番組をかけてあげる。さて、どうなるのでしょうか。


「どう、ハルくん。怖い?」


僕、これ見たことあるんですよ。多分このあと髪の長い女の人がテレビから飛び出してくる勢いで突っ込んでくるんだっけ。


「別にこ、怖くなんてないしぃ!?しかも、これ見たことあるしっ!」


あっ、これ、ハルくんも見たことありましたね、そういえば。と話しているうちに例のシーンが。


「まぁ、この後の展開はわかってるんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ぎゃあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


僕は言うと思ってたよ。さすがにこう何年も一緒に暮らしてたらさ、ハルくんが急に叫びだすぐらい、もう慣れっこです。


「ふふっ、僕はそのリアクションをするって思ってたよ。」

「あ、あぁ?なんだよ、そのリアクションって。」

「怖がるハルくんのリアクションだよ。」

「お、お前ってさ、昔より性格悪くなったよな。ほんと。最初はあんなへなへなしてたのに。」


僕的には、そんなへなへなしてた覚えはないんですけどね。でも、


「僕が少し強気になれたのは君のおかげだよ、ハルくん。」

「・・・・・・なんだよ、俺のおかげって。」

「いや、君のせいで少し言葉使いが悪くなったのかもしれない。だから強気に見えるのかな?」

「・・・お前は、俺をけなしてんの?ほめてんの?どっちなんだよ、タケ。」

「うーん、どっちもかな。」

「意味わかんねぇな、タケは。そういうところは昔から変わんねぇな。」

「おほめいただき感謝するよ。」

「別にほめてんじゃねぇ!!!」


               🐟🐟🐟🐟🐟


「ハルくん、次は何の話が聞きたい?ハルくんが猫に食べられそうになった話?ハルくんに好きなお魚さんができた話?それとも・・・」

「別に今はもういいよ。ていうか、俺の黒歴史の話しかねぇじゃん。タケの黒歴史の話を俺がしてあげようか?」

「あっ、テスト前だから猛勉強しないとぉ!!!」

「ったく、逃げやがったぜ、タケのやつ。今度は俺がタケの話をしてやるぜ!」


               🐟🐟🐟🐟🐟


「ふぅ、なんとか逃げてきたよ、ハルくんから。」


僕ははハルくんの話がしたいだけで、自分の話を聞きたいわけじゃないんですよ。テストが終わったら、またハルくんと思い出を語ろうかな。ハルくんの話が中心で。  


     ―――僕とハルくんの、出会いのお話。これにて終幕です―――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お魚と僕 ー出会いー りんご丸 @nanarinngomaru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ