読了しました。
ドキドキハラハラさせられ、最後まで楽しく拝読させていただきました。
主人公は意識はハッキリしているのに全身麻痺。そのような状態でも、なんとか娘を守ろうとする。着眼点が面白いと思いました。
全く動けないのに、耳は聞こえ意識があるのはかなり辛いですね。佐伯はさぞもどかしかったことでしょう。彼の心の声はとても悲壮で、こちらも冷や冷やしました。
黒幕が佐伯だという犯人グループの勘違いから事がどんどんと大きくなっていくところや、政治的思想犯の劇場型犯罪を演出しながらも病院内部では金森も加わってすったもんだし始めるところとか、この先どうなるんだとどんどんと読み進んでいきました。
大抵の場合、私は感想コメントを書くとき上記のように、この作品を私は面白いと思いましたよと伝えることをメインにしています。気軽に、面白かったです続きが楽しみです、とか。
岡さんが望んでいる感想は、上記のようなものだけではないような気がしましたので、もう少し書かこうかと思います。
あえて難点を言うなら、正直時々、都合がいいなあと感じたことでしょうか。
例えば掃除のおばさんです。反撃の手法が先にあって、その為に必要だから作られたキャラという感じで。在日で勇敢で行動力があって犯人の行動を推理する能力があって化学知識もある掃除のおばさん、なんか都合よく設定がもりもりな感じがしました。
高木の最期、死んだと思ってたらまだ生きていたのも、サオリを始末させるためにそういうことにしたのかなと感じました。
なんというか、時々作者の思惑が垣間見えてしまっているような感じがしてしまったのです。ストーリー先行で、登場人物たちが記号的になっているような。うまくいきすぎているような。
偉そうなことを申し上げてすみません。あくまでも個人的な意見です。
作者からの返信
なるほど、予選止まりだった理由が理解できました。
加藤氏への返信にも書いたのですが、
『この作品、「このミステリーがすごい大賞」の予選を通過していますが、ノミネートされなかった際の講評に「転がりが良すぎる」という指摘がありました。おそらく加藤さんの視点と類似の〝難点〟を見出したのでしょう。〝転がりのいい物語〟を目指したことが弱点になりました。』
ということでしょうね。
確かに、プロットを練って盛り上がりそうなイベントを付け足しているうちに、キャラに都合のいい行動を起こさせた傾向はあります。それを不自然に感じさせないようにするには、もう一捻りが必要だったのかもしれません。今後の創作の基準になります。
とはいえ、掃除のおばさんは気に入っている脇役ではあるんですがね。案外、最後まで印象に残るキャラかもしれないと思っています。この人物を導入するきっかけは、ラジオか何かのニュースで「洗剤をアルミ缶に入れて事故が起きた」と聞いたからだったと記憶しています。
この辺りは、本当に難しいです。自分ではバランスをとったつもりでも、読者によっては受け取り方が千差万別です。特に公募では、センスの合う予選委員に当たらないと次に進めないし、進めたとしても審査員が変わればまた視点が違います。これで何度叩きのめされたことか……。
一人でできるから小説を書くことを選んだのですが、独りよがりになりかねない危険とも隣り合わせだということですね。
他人の作品の欠陥を指摘するのはむずかしかったと思いますが、とても有益でした。具体的なコメントをありがとうございました。感謝しています。
終盤駆け足気味だったような気もしますが
緊張感と意外な展開の連続で凄く面白かったです😆😆