第8話 発見
パラッツォ一等兵と名乗っていたこの兵士は、僕を担いでさっきまでいた広い駐車場のような場所を抜け、一瞬屋外を通ったあとにレンガ造りの、頑丈そうな、温かい建物に入る。あいにく僕は後ろ側しか見ることができないのでこの建物の外観がどれほど立派なものかは見えなかったが、中にある調度品からして、かなり位の高い人がいるに違いないと直観する。
一等兵は階段を登って二階に上がり、近くの扉を開けて部屋の中に入る。そこで僕はドサリと床に置かれ、立ち上がると、記憶にはないが既視感のある茶色っぽい金髪の男が、仁王立ちをして僕の目の前に立っていた。
「よくやった、パラッツォ一等兵。ここに連れてきたということは、この子はこの国の敵に違いないのだな。」
そう声をかけられたパラッツォ一等兵は頷き、言う。
「どじな
「どの徴兵人だ。」
「紫色の目をした男です。」
「あいつか。あいつは目がいいから敵を連れてくるなんてことはにわかに信じがたいが、分かった。下がって通常業務に戻れ。」
そう言葉を交わし、一等兵は部屋を出ていく。直後に茶金髪の男が屈んで僕と目を合わせ、声をかけてくる。既視感。シチュエーションからこの男の顔まで、どこかで見たことがありそうだが、全く思い出せない。
「この国の言葉は話せるか?」
「話せます。」
男は僕の顔をじろじろと睨みつけて、何かを探すように髪をかきあげたりする。
「よし。お前は敵ではない。」
男は何かを判断したようで、男は一瞬頭を傾けるが、すぐにうなずいて立ち上がる。僕は危機一髪、敵ではないことになったらしい。もし敵とみなされていたらどうなっていたか、おそらく殺されてしまっていたのではなかろうかと思う。
男は僕に名を名乗る。ゴウ中佐と言うらしい。僕が素直に自分の名前がわからないと言うと、いずれ分かると返された。
中佐は僕にいくつか質問をしたあと、人を呼んで、僕はまたどこかに連れて行かれる。
レンガの建物を出て、屋外は鉄格子とレンガの塀で外と区切られた軍事基地であることがわかる。
きれいに整列した、現実では見たことない翼の生えた
気球や、サイのような大きな生物も見える。そんなファンタジックな世界観の中に、不釣り合いなほど近代的な、濃い緑色に塗られた高さ二メートル半の人形のロボットを見つける。僕は何台もきれいに整列したそのロボットを凝視し、気づかぬうちに足も止まる。止まるなと後ろから、兵士が僕の頭を突く。
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