25
25
「キミ、どうかしたの? 体の具合でも悪いの?」
僕がしゃがみ込んでいると、不意に声をかけられた。
それはやや高音で、芯のある女性の声。顔を上げるとそこには僕より少し年上くらいのお姉さんがいて、眉を曇らせながらこちらを覗きこんでいた。
お姉さんは透き通った白い肌と整った顔立ちに翡翠のような色の瞳。月のような白銀の髪をショートボブにしている。服は黒を基調とした貴族っぽいデザインで、胸は握った拳を少し大きくしたくらいか。
また、雰囲気はハキハキとしていて、話しかけやすそうな印象がある。
「えっと……具合が悪いわけではないです。実は僕、おカネがなくて困ってて……」
「財布を落としちゃったとか?」
「あ……えーと……おカネを入れた袋が行方不明で……」
事情を詳しく話すわけにはいかないので、嘘をつかない範囲でうまく誤魔化しておいた。
――うん、財布を落としたことは肯定も否定もしていないし、おカネを入れた袋が行方不明なのは間違いない。僕にしては咄嗟にうまく答えられたと思う。
すると僕の言葉を聞いたお姉さんは人差し指を唇に当て、視線を少し上に向けながら考え込む。そして一拍の間が空いたあと、真顔で僕を見つめてくる。
「キミ、これから時間ある? 私の買い物に付き合ってくれないかな? 洋服屋さんとか小物屋さんとか、そのほか何軒か。そうしてくれたらお小遣いをあげる」
「えっ? それって荷物持ちということですか?」
「そんな感じかな。それにひとりで買い物をするのもちょっと寂しいなぁって思ってたんだ」
「そうだったんですか! はいっ、ぜひお供させてください!」
捨てる神あれば拾う神ありだ。僕は一も二もなくこの申し出を受け入れる。
だって買い物に付き合って荷物持ちをするだけでおカネがもらえるなんて、そんな好条件の話はなかなかないことだから。運が良かったなぁ。
僕が感激していると、お姉さんはクスクスと微笑みながら満足げに頷く。
「うんっ、決まりっ! 私はレーナ。キミの名前は?」
「アレスです!」
「じゃ、アレス。行きましょっ♪」
僕はレーナさんの差し出した手を握り、引っ張ってもらってその場から立ちあがる。その手はスベスベとしていて、お日様のように温かかった。
――ここでダイス判定。六面ダイスを二個振ろう。数値の合計は?
●5以上……→3へ
https://kakuyomu.jp/works/16816927859115438262/episodes/16816927859115803178
●4以下……→28へ
https://kakuyomu.jp/works/16816927859115438262/episodes/16816927859116789277
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます