第23話 エピローグ 

「あああああ疲れたああああああ」

転送呪文の巻物で帰還の神殿へと帰ってきたのは

冒険者ウーノと呪術師メイリン、剣聖マリエラであった。


装備はボロボロ、武器もなし。

だが、そんなことはどうでもいい、なぜなら・・・


「ああああああ、スマホ取り戻したぞおおおおおおお!!」


ウーノの手にはちゃんとスマホが握られており、傍らにはメイリンとマリエラが座り込んでいた。


「ああよかった・・・かえってこれた」

「はぁー・・・マジでしんど・・・早く傷を治したいんだけど?」


3人が帰還を果たしたことで、神殿に務める神官と、商人がやってきた。


「おやおや、ウーノ様ではありませんか?この前もダンジョンに潜り、またダンジョンに潜ってきたのですか?」


「やあ商人さん、まあ今回はちょっとした野暮用でね、特に換金するようなアイテムはないけど。」


商人と会話するウーノとは別に、マリエラは神官に話しかける。

「悪いんだけど、神官さん・・・あたしの傷を治していただけない?」


「おや、随分とこっ酷くやられましたね?では早速回復をさせていただきます。」


神官は祈りを捧げるように回復の呪文を唱えると、マリエラの身体からは傷と、骨折などの症状がすぐに治っていった。


「あああ~楽になったわ、ありがとう」

「いえいえ、お安い御用です。では回復をしましたので、お支払いについてですが・・・」


神官の回復はメイリンや薬草缶のジュースをも凌駕する効能だが、それ故に代金がちと高い。

大半の冒険者は、自分で治すという選択肢を取るが、あまりにも傷がひどい場合は神官に頼るしかないのだ。


「じゃあ支払いはレインpayでいいかしら?」

「はい、かしこまりました。ではコードを読み込みますので・・・」


マリエラはスマホを取り出し電子マネーの支払い口座を見せようと思った矢先。


「あれ?ちょっとまってね、たしかスマホは・・・」


マリエラは自分のスマホを探そうと普段しまってある場所を手でポンポンと叩く。

「あれ~?おかしいわね、ちょっとまってね」


だんだんとマリエラの声に焦りが見える。


「えっ、嘘でしょ?えっえっ!?」


その様子を見てウーノは

「おいおいマジかよ・・・今度はお前が・・・」


「違う!!私はそんなことしない!!コレはなにかの間違いよ!!」


「あのー・・・治療費のお支払いは・・・」

「払います!払いますからもう少し待ってください、いまスマホ出すんで!」


見かねてウーノは自分のスマホを差し出す

「いいですよ、俺が払いますんで」

「そうですか、ではお支払いはウーノ様ということで」


「いやあああああ!なんで、なんでないのよ!!あたしのスマホ!!」




こうして、ウーノ達3人の旅は終わった。

もうダンジョンの最下層に行くことはないだろう、しかし、ダンジョンは今もたくさんの冒険者が訪れる。


きっと、誰かがマリエラのスマホを拾ってくれる日も、そう遠くはないはず。


「ちょっとウーノ!!今すぐ取りに行くわよ!!このままじゃコンビニで薬草ジュースすら買えないんだから!!」


「・・・・・・すまん、今日は疲れたからパス」

「ごめん・・・マリエラ、私も今日は疲れた・・・」


「薄情者~~~~!!」

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【第一章完結】ダンジョンの最下層にスマホを落としてしまった! バビーラ @omitukoutaro

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