第6話
翌朝、美月は周平が出発したことを確認すると、彼の部屋の前に立った。
普段は、絶対に入らないように言われているので、ここ数年、彼の部屋へは足を踏み入れていない。
たしかにこれまでも部屋の中を見たいと思うことはあったが、知りたくないことを知ってしまうのではないかという恐怖から、結局入ることはなかった。
しかし、周平との心の距離は、美月が無視できないほどに広がり始めている。
もしかしたら、彼の不倫に関する手がかりが見つかるかもしれない。
どんな結果であるにせよ、真実を知りたい。
美月は、ドアを勢いよく開けた。
しかし、久しぶりに入ったその部屋は、拍子抜けするくらい以前と変わっていなかった。
強いて言えば、数年前とは違い、見たこともない観葉植物を何種類か栽培しているようだ。
特に変わった様子はなさそうだと感じながらも、念のためデスクの引き出しを開けると、中に書類の束が入っていた。
投資関係の書類だろうか。英文で書かれているので、美月にはさっぱり内容が分からない。
そのまま引き出しを閉めようとしたが、一枚の紙が奥に引っ掛かっていることに気付く。
「なにかしら」
腕を奥まで突っ込み、なんとか指先で引っ張り出す。
そして、丸まっていたその紙を、ゆっくりと広げた。
診断結果という見出しから、最初は周平が健康診断でも受けたのかと思った。
しかし、その下に書かれていた内容は、美月にはとうてい理解できないものだった。
「殺し屋」適合率99.9%
人生が変わる適職診断 あいうら @Aiura30
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