どこまで純粋になったら君みたいになれるの?
千本松由季/YouTuber
どこまで純粋になったら君みたいになれるの?
一 映画の中の死んでる人達
大学も夏休みで、バイトも休みで、だから空(そら)は昨日バイトから帰って来た五時くらいから泣き始めて、明け方まで休憩もなく涙を流していた。鼻をかんだティッシュがゴミ箱に積まれて、バベルの塔みたいに成長していた。
やっと、ちゃんとした朝になって、隣にある母の仕事場から、僅かな音がし始めた。
ドアがノックされて、彼は母の声を聞いた。
「空、朝ご飯食べちゃいなさい」
食卓には父の食べた形跡があった。彼は時計を見た。
母は息子の涙で腫れ上がった目を見ても、何も言わなかった。空の母は映画評論家だ。小難しい文芸誌や映画専門紙に書いている。
「今日、お休みでしょ? 映画でも観る?」
食べて、顔を洗ったら、空は母の部屋へ行った。膨大なコレクションから選んで空に一つ渡した。
「僕もうそれ観たよ」
「それでもいいから観なさい。覚えてないでしょ、どうせ」
地味な映画だし。ついこの間観たばかりなのに、確かにほとんど覚えてない。
空はネットで母の書いたレヴューを見付けた。彼女がずっとシリーズで映画雑誌に書いてるもの。きっとこの映画もあると思った。どれどれ……。「長い映画の歴史の中でこの映画だけが人類に希望を与えてくれる」。空には希望なんてどこにもあったように思えなくて、じゃあどうせもう一度観るなら、今度はその人類に希望を与えてくれるシーンをちゃんと見付けてやろうと思った。母にもそう言った。
『ストーカー』一九七九年、ソ連のSF映画。監督はアンドレイ・タルコフスキー。三時間近い映画だから、これを真剣に観てれば、翔(しょう)のことを暫く考えなくて済む。そう思ったらまた彼女のことを思い出した。……あの人の上唇で下唇をちょっと噛む仕草とか。ほとんど色の付かないリップスティックを上下の唇で馴染ませる仕草や。今まで気が付かなかった。空は翔の唇を見ていた。いつも。
また涙腺が危なくなった頃、映画が始まった。空のコンピューターで観た。リビングの大きなスクリーンで観る気分じゃなかった。まだ目が痛いし。空はアイスパッドを右目と左目と交互に当てながら観た。
湿っぽい映画。って、メロドラマの湿っぽいじゃなくて、そこここに水溜まりがあって、川があって、海があって、雨が降って、雨でもないのに謎の水が降って来る。男が三人、噂される神聖な場所を探して……冒険して……そこに行って……帰って来て。この監督の作品にはいつも沢山の水と、火と、犬と、時々馬と、鏡と、宙に浮いてる人間が出て来る。モノクロームになったりカラーになったり。
映画が終わって、母に返しに行った。
「分かった。こないだのレヴューの意味。人類を救うとか、希望がどうとか。三時間も観てて、一番最後のとこなんだもん。時間損した」
母は微笑んだ。この母の側で育ったから、女性はインテリジェントな人が好き。自然に。翔みたいな人……。
「一番最後のとこね、どう思った?」
母は大学で映画理論を教えているから、時々、口調が先生みたいになる。
「あれでしょ? 人間の能力みたいなもんでしょ? 進化する、スーパーナチュラルみたいな、超能力みたいな」
可愛い女の子が出て来て、手を使わずにコップを動かして、テーブルの下に落とすシーンがある。
母は空がずっと泣いてたの知ってて、だから希望を与えたかったのかな? 初恋の痛手? 初恋っていつでも、あんな風に辛く終わるの?
「……あれ? でもお母さん、あの映画、何十年も前に創られたけど、僕達、別に進化とかしてないけど」
「だってあれSFでしょ? 未来の話なの。まだ起こってないの」
まだ起こってないのか……。でもあの映画、着てる物とか、みんな古臭かった。納得できないな、と空は思った。
それより彼はいつも古い映画を観た後に考える。この映画の中の人達はほとんど死んでる。子供以外。多分……。怖くなる。でも映画って凄いな、とも思う。死んだ人達がこんなに生き生きと。
二 鏡
失敗したな。だけどあの子はそんなタイプじゃないと思ったから……。翔が男のことをシリアスに考えなくなって随分経つ。今は若いのを食い散らかしてるだけ。
大型ブティックの試着室。彼女の仕事。客が置いて行った服を綺麗にハンガーに掛けてボタンを留める。ファスナーを上げる。やっと全部終わったと思ったら、また一人、客が試着室から山のような服を持って出て来る。……ただのバイトだし、服、好きだし。翔は深く考えないようにして手を動かす。この大型店の試着室は女性用が十個で、男性用が五個で、子供用が三個ある。
可愛い子だからそれはないと思ったら初めてだし。お母さんに買ってもらったみたいなブリーフ。身体はガチガチで、何処にキスしていいのかも分かんなくて……。それって私のせい?
でもあれだな、「空って変な名まえでしょ。イヌやネコみたい。お母さんが映画評論家で変わった名前にしたかったみたいで……」そういう喋り方がやや子供っぽかったというか。お母さんが映画評論家ね。しくじった。今、思えば。先に手を出したのは私だから、責任を取る? どうやって? あの子、きっと私より七つくらい年下。傷付けたくはないんだな。翔にしては珍しく反省した。
昨日、翔が歩いてて、空が試着室の中に隠れてて、そこで腕を掴まれて、カーテンを引かれて、中に閉じ込められた。深刻な顔をされて鏡に押し付けられてキスされた。空は目を閉じていて、翔は目を開けていた。背中の開いたワンピースを着てて、鏡がヒヤッてした。
「翔、この後、お茶しましょ。二人共三時まででしょ?」
空は翔の顔を見て、翔は鏡の中の空を見ていた。……ほら、やっぱりこの子、育ちがいいんだ。話し方が柔らかい。なんで気付かなかったの? いい子だし。いつもみたいに無下に捨てられない。
翔は三時になるまで、客あしらいは二の次で、作戦を練った。嘘と演技の涙と……それから? 「元カレが戻って来た。もう何処へも行かないと約束した。私は信じて付いて行く」。いいかも。男いたんじゃしょうがないし。翔は、空に手を出してから男が帰って来たんじゃ、時間的に自分のせいじゃないし、と自分の嘘に納得した。
二人で店を出ようとしたら、周りの男性スタッフが口笛を吹く。翔が齧って捨てた奴等。皆、この度の翔の失敗に気付いてる。彼女は振り向いてそいつ等を順番に睨む。
平日なのにカフェは混んでて、なぜか音が大きく響いて皆、声を張り上げて喋っている。こんな大声で別れ話をするなんて。
「翔、こないだテンペラ画を描いてるって言ってたでしょう? 僕、あれから調べましたよ。絵の具に卵を入れるんでしょう? そうすると色が何百年も持つんだって。でも今はあんまりやってる人がいないって。翔はどうしてそれやってるの?」
「フィレンツェでボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を観て」
「僕、それも調べましたよ。テンペラ画で一番有名だって。翔はどんな絵を描いているんですか?」
若い男のヌード。大きくなった性器丸出しの。とか、ほんとのこと言えないし。カフェの喧騒の中で誤魔化した。
「ほら、その貴女の爪に絵の具があるの、いいですね」
翔はなんでか知らないけど恥ずかしくなって、手をテーブルの下に隠した。この子のストレートに翔を見る、その純情に比べたら、世の中なんて皆、汚れてる。
隣に丸テーブルを囲んでいる女性グループがいる。全員、身なりはいい。四十代だな。女子大の同窓会のあとかな? なんとなく耳を澄ます。澄まさなくても聞こえるけど。
男って時々、アレ出さないといけないんでしょう? 私とはさっぱりなのに、私に隠れていつ、何処で出してるのかって考えると腹立ってくるのよね、と言ってる。翔は空には聞かせたくないことだな、って思って、やっぱり聞こえてるよな、あんな話を大声でするなんて、って思って、自分が姉だか母親だかの気持ちになってる、って思って、やっぱり結局、よく分かんないけど、罪の意識は消えなかった。
しょうがない。翔はあの馬鹿みたいな元カレ話をした。空は頭の良い子だから、彼とこの先付き合う気はないと、理解したみたいだった。空は暫く黙った後、立ち上がって翔に握手をして、それから彼女の耳元で、友達でいましょうね、と優しく言った。
嘘をついた翔の心に何本も針がチクチク刺さった。予想したよりずっと沢山でもっと痛い。でも、後悔だったら今までだって沢山ある。
だけど、どこまで純真になったらあの子みたいになれるの?
三 展覧会の絵
青山通りにあるギャラリーを目指す。今日もバイトで立ちっぱなしだった。赤信号に気付かなくて、クラクションを鳴らされる。翔は不貞腐れた顔でのろのろ動く。……空のことで反省して若い男を暫く食ってない。インスピレーションは大事。男の若い身体が必要。アーティストだからさ。
街灯の灯る瞬間を見た。これっていいこと? 悪いこと? 占いとか信じてないけど。まだ薄明るい時間だから、気が付かない人だっているくらいだった。翔は、どうせなら、いいことだ、って信じることにした。
翔の個展まであと一月だった。ギャラリーのオーナー、千景(ちかげ)とは、美大からの長い付き合い。彼女はいつも翔のファンだった。千景はやり手で年はまだ二十代なのに立派に成功している。胸の開いたフリフリのドレスで髪は茶髪のカーリーで、爪もアレで、どう見てもキャバクラにお勤めにしか見えない。
「千景、ほんとにあたしにそれやらせんの?」
招待状に翔のサイン。二百人分の。今時、紙の招待状をしかも封筒に入れて出すなんて。招待状は、なんだか薄気味の悪い紫色をしている。
「サインするばっかにしてあげたんだから」
確かに。切手まで貼ってある。翔はまだごねていた。スタンプ買ってそれ押せばいいのに。なんで二百人も。
ギャラリーは小さい。翔の絵は大抵、幅が二メートルで、工夫すれば、一階と二階で、三十点は飾れる。
千景は翔にペンを渡す。
「二百送ったら大体その三分の一は来るし、メールより効果ある。手書きのサインがあったら最高! 初日はパーティーだから招待状がないと入れない。同行者は一名まで」
なるほどね。
「いつもやってるじゃない?」
そんなの忘れた。
翔はサインを始めて、招待状の宛名を見てる余裕はなくて、仕事はなかなかはかどらない。遂に手が止まる。
「ほら、ちゃちゃっとやって、ご飯食べに行こ。私が今に翔がビッグになってバイト辞めていいくらいにしてあげる」
それって、いつ?
ギャラリーに御客が入って、千景は挨拶に行く。今、展示されているのは、甘ったるい色の不気味に微笑んだネコのアクリル画だった。
四 招待状
探しあぐねて、やっとそこを見付けた。携帯を見る。なんだ。時間はまだまだある。パーティーが始まるまであと三十分も。なぜか先客がいて、鍵が開けられ、男がどかどか入って行く。海(かい)もそれに付いて中に入る。後ろで鍵の閉まる音がする。
先客。男が四人。三人は警官で、もう一人、黒いスーツを着た目付きの悪いのが多分、刑事。ギャラリーのオープニングになんで警察? キャバ嬢みたいなのが刑事に、いつもお疲れ様です、と言って盛大に微笑む。海はなんとなく、お絞りを持って来るのを待ってしまう。いつまでも出て来なくて無意識に不思議に思う。
翔は休みをもらえず、バイト先からここへ来た。肉体疲労に不機嫌な顔。ギャラリーの入り口にある、受付の椅子に座ったまま動かない。翔の目の前に、図体のでかい派手なハーフ顔の男がやって来る。
「なんで警察が来るの?」
翔は手をスピンさせながら、会場を示す。
「わいせつ物頒布」
媚を売った。若い男達の。勃起した。エロい姿態の。
海は絵に近付いてみる。克明に描かれたペニス。先の所が綺麗なピンク色をしていて、透き通った雫が垂れる。なんだか泣いてるみたいだ。警察が写真を撮っている。展示が中止になったら、俺が来た意味がなくなる。
「いつも来るのよ。あっちも仕事だからさ。捕まりはしないから」
女の態度はやさぐれているけど、美人の類だ。こないだこの顔で「やさぐれてる」って言ったら笑われたよな、別にいいじゃないか。俺、この言葉好きだし……。
「俺も世界中で色んな絵、見たけど、結構きてんな、これ」
「どうもありがとう」
「君が翔さん?」
「あ、着替えるの忘れてた!」
翔はギャラリーの奥に、ばたばた消えた。……翔、なんて中性的な名まえだし、海は今夜の画家のことをなんとなく男性だと思っていた。ゲイの。
一通り写真を撮ると、警察は出て行った。キャバ嬢はお疲れ様、と言ってまた盛大に微笑む。
海は絵を観に行く時は、努めて先入観無しにする。招待状にあった男の裸像。しなを作って。中性的でエロくて。ブグローの描くキューピッドに似てる。十九世紀のフランスの画家。しかし今時、なぜこんな古典的な絵を描くのだろう? ……それでもアイディアは新しい。泣いてるペニスか……。それになにか華やかで、惹き付けるものがある。
表を見ると既に人が並んでいる。さっきのキャバ嬢がやって来る。
「あの外で並んでくださってる方々ね、他のギャラリーから買いに来て、値段吊り上げて売る人達。お買い上げになられるのは、おゲイの方々が多いんですけど。貴方もお買いになりたいならお早めに。……そんなことより招待状はお持ちですか?」
キャバクラスマイル。まあ、あれも日本の偉大な文化だな、そうだ、お絞りだって偉大な文化だ、と思いながら、海はジャケットのポケットに捻じ込んだ、角の折れた、紫の招待状を見せる。
「あー、パーカーさんね!」
「クーパーです。カイ・クーパー」
「ニューヨークのアートディーラーさん。初めまして、オーナーの千景です」
握手する時にマリー・アントワネットみたいな、真珠の付いた、赤い爪を見た。海はこの女がパーティーのコンパニオンじゃないのを知って驚いた。……だから、お絞りを持って来ないんだ。
時間の経つのが凄く速い。興味深い絵だから? こんな経験は久し振りだ、と海は驚いていた。画廊のパーティーにしては、正装している人が多い。日本では珍しいな。それに同伴者がちゃんといるというのも、日本では珍しい。海は自分もタキシードを着てくればよかったと残念がった。日本にいる時タキシード着る機会なんてないもんな。ニューヨークなら小さなコンサートホールだってタキシードだよな。東京ならたまに女を落とす時に着るくらいだ。
それにしてもこんな絵を描く女の気が知れない。狂ってんな。絵の中の男は皆、男臭い男ではない。細身で若くて美形で物が強調されて、やけにでかい。絵のテクニックはプロだ。日本で流行りのBLって奴かな? でもあれは、女に媚を売ってる顔だ。微妙だけどな。俺、派手な顔してるから、ゲイが寄って来るから、詳しいんだ。
海がそこまで考えていたら、奥の方から歓声が上がる。人影の合間から、タンゴダンサーみたいな、アシンメトリーな、やけに真っ赤なドレスを着た女が見える。若い女達が、翔さーん! って黄色い声で呼んで、握手して、写真を一緒に撮って。翔は髪も化粧もちゃんとして、ちょっと前とは別人だった。海は、女ってやっぱり化け物だよな、と納得した。ファンって女ばっかなんだな。海は余計、翔の事が分からなくなってきた。
五 色の流れた招待状
青山通りを母と歩く。今、街灯が点いた! 道に沿ってずーっと向こうまで。見えなくなる程遠くまで。一斉に。空はあんまりそんな瞬間って見ないから、凄いなって思ったけど、母は気付いていなくて、もう、時間だわ、ってバッグの中をかき回して、紫色の招待状を出す。お気に入りのギャラリーだって。いつも行ってるんだって。
母がバッグを閉める時、ちょっと持ってて、って空に頼んで、招待状を渡されて、彼はその招待状に、知ってる人の名前を見た……。
昨日、母がブティックに来て、店長も一緒になって決めてくれて、買ってもらったスーツ。空だから、空色なんだけど、複雑に色が絡んだ生地だから、お洒落なだけで派手でも地味でもない。ネクタイだけちょっと派手。紺色にラベンダーが滲んだ。
空は、お母さんのために硝子の重たいドアを開けてあげる。……あの人はいなかった。人だけ沢山いた。空は絵を観たけど、嫌な感じはしなくて、その絵の大胆さに、やっぱり、あの人の絵だな、って思った。
母のハンドバッグが開いて、中身が床に散らばった。ピカピカで光の反射するフローリング。白人と日本人のハーフみたいな男の人が、一生懸命拾ってくれた。
「Thank you so much.(ごめんなさいね)」
「No problem.(全然謝ることじゃないですよ)」
空の母は英語の映画を沢山観てるから、英語が上手い。
「Where are you from? If you don't mind me asking.(貴方は何処のお方なの? 差し支えなければ)」
「I live half a year in New York and the other half in Tokyo.(ニューヨークと東京と半分半分に住んでます)」
「まあ、じゃあ日本語お上手ね。お仕事、何してらっしゃるの?」
「アートディーラーです。日本の物をあっちで売ったり、その反対も。僕の兄弟達は外資系のコンサルタントで、僕だけわざわざ金にならないことをやってる」
母は知り合いを見付けてそっちの方に行っちゃって、空はそのハーフの人と二人で残された。
「君、あっちにある絵に似てる。ほら」
空は、人々の流れに逆らって、その人に付いて行く。空はこの人いいな、どこか共感できるものがあると思う。会ったばっかだけど。
……あれ、ほんとに似てる。巻き毛の感じとか。顔は空の顔をちょっと彫りを深くして、外人ぽっくしたみたいな感じ。ペニスはちょっと恥ずかしいけど見たら、なんとなく自分のに似てるかもしれない。
空の目の縁に、赤い物が横切る。赤いドレスを着た人。あの服はカットが大胆過ぎて、うちの店で全然売れなくて、最後に凄く安くなったんだよな、って空が思い出していると、それは翔だった。隠れなくったっていいんだけど、空はその背の高いハーフの人の陰に隠れた。
翔ってどんなにドレスアップしても、……品が無い訳じゃないんだけど、どっかやさぐれた部分があるんだよな、空はそう考えた。でもそれって、どういう意味の言葉かいまいちなんだ。空は携帯を出した。やさぐれる、とは……「投げやりになる」「不貞腐れる」。……そうそう、確かにそう。それが翔。空は携帯をしまった。
ハーフの人はまだ一緒にいる。
「あの、お名前聞いていいですか?」
「海。Kai。うみって書いて」
「僕は空。おそらのそら」
空と海なんだ。僕達。
「君はなにしてるの?」
「僕、高校の三年です。夏休みだからバイト中。ファッションの勉強したいから、ブティックで働いてるんです。そうだ、英語の勉強もした方がいいですよね?」
「ま、君まだ若いから」
空と海は、まだその絵の前にいた。空に似た、その絵。空の高校は校則が厳しくて、彼の巻き毛がいつも問題になる。そうすると、たった一人いる幼稚園から一緒の友達が証言してくれる。空の母も巻き毛で、巻き毛が家に二人いると、絡まって、お風呂の排水溝が詰まって大変だって文句言ってるけど、生んだのあっちだし。
空の手を後ろから、冷房で少し冷たくなった手で握る人がいる。空は見なくてもそれが誰だか分かる。暫く握られて、何秒? 数秒。涙が出る直前に、その人は手を離してくれた。
海が躊躇いながら聞く。
「知ってるの?」
「職場の人」
翔がいつものネックレスをしてる。遠くから見て、丁度光が反射して。こんな時でもしてるんだ。こんな時だからしてるのかな? いつか空が聞いた時、翔はそれを見せてくれて、それはロケットで、開くようになってて、開けて見せてくれたら、それは猫の小さな写真で、純白の猫で、一緒に育ったの、って彼女は微笑んだ。
海はその後もずっと一緒にいてくれて、翔の短いスピーチがあったり、飲み物や簡単なオードブルがあったり、二階に行ったら母がいて、そろそろ帰るわよ、って。
六 どこまで純真になったら君みたいになれるの?
さっきの空という若者は行ってしまった。海はアートディーラーとして、翔の絵をもう一度最初から見た。ニューヨークでも売れるだろう。買うのはゲイだな。だったら持ち込むギャラリーも決まって来る。キャバ嬢に、っていうか、またほんとの名前忘れたけど、許可を貰って、早速ニューヨークのそのギャラリーに画像をいくつか送ってみた。泣いているペニスのアップも送った。直ぐ返事が来た。感触は良かった。もしかしたら商売になるかも知れない。
灯りが半分消された。人々が硝子のドアを擦り抜けて、その人それぞれの日常に帰って行く。キャバ嬢が鍵をかける。海だけまだそこにいる。オープンする前からいて、クローズしてもまだいる。海は苦笑して、入り口に置いてある椅子に座っている翔の方を見た。疲れたのかな、流石に。機嫌が悪そう。やっぱりこいつはやさぐれている。
海はあのあとも、ずっと内心キャバ嬢と呼んでいて、ほんとの名前をほんとに忘れてしまったから、ポケットの中の名刺をチラっと見る。千景、それがキャバ嬢のほんとの名前。海は千景を呼んだ。
「あ、パーカーさん」
「クーパーです。カイ・クーパー」
海は千景と商談した。お金のことを色々と。ギャラリーのマージンが高くて、直ぐには動けない。こういう時は、アーティストを落とすこと。それが一番早い。
千景がいなくなった隙に、海は翔に声を掛ける。ストレートに。ここは一発勝負!
「お疲れ様」
翔は瞬きを二回してそれに答える。そして履いていたハイヒールを脱いで蹴飛ばす。またやさぐれている。海がそれを床に綺麗に並べてやる。赤の反対色の青緑の。パーティーが終わったあとで、翔の口から初めて出た言葉。
「雨……」
大粒の雨が、ガラスのドアを叩いて落下する。翔はそれを目で追っている。アーティストの目で、なにか他の人達には見えないものを見ている。海は翔の画家の部分をまだ知らなかったことに気付いた。
「君は今、何をしたい?」
「……眠りたい。明日も仕事で、夜またここに来て」
「君の職場はどこ?」
「この近く」
「住んでる所は?」
「遠い」
「早くバイト辞めさせないとな」
翔は皮肉な笑い方をする。君の絵をニューヨークに送る。俺が君をシンデレラにしてあげる。翔はもっと皮肉を込めて笑う。
「当てにしないで待ってる!」
「この近くで寝るとこ探そう」
海はそう言って、雨に出て行った。激しいにわか雨でタクシーは捕まらなくて、びしょ濡れになってる海を翔は見ていた。
タクシーが捕まって、翔は小さなキャリーケースを持って、靴を手に持って、土砂降りの中を裸足で走った。これがいつかガラスの靴になるのかな? 海は日本のラブホテルはしゃらくさくて嫌いだ。まあ、いきなりそんなとこに連れ込むつもりもないが。タクシーの運転手に聞いて、ビジネスホテルを教えてもらった。直ぐ近くだった。海のチップをあげてしまう癖がなかなか抜けない。御釣りはいらない、と言うと、若い運転手は喜こびながら走り去った。
翔は半分目を閉じたまま、ドレスを脱いで、その他も全部脱いで、全部床に投げ捨てて、海なんてまるでいないみたいに、ベッドに入ると寝てしまった。
明るくなって、シャワーの音が聞こえる。翔はまた真っ裸のままで、海の前に現れる。彼はまだベッドの中にいる。この女はやっぱりどうかしている。女らしいカーブがあんまりない。だけど悪くはない。なんていうか、難しいんだけど、性的な対象としてのエロい存在感がある。
「君、仕事、何時?」
「ここから歩いて直ぐだから」
女はベッドに腰掛ける。海に背を向けて。乾かし切らない髪が、背中を濡らす。尻の割れ目まで丸見えだ。
「君なあ、俺のこと男だと思ってないだろ?」
「年下としかやらないし」
「そういうの、クーガーって言うんだぞ」
アメリカのスラングで、年下をハントする女性のこと。
「クーガーっていうのはな、バーのカウンターの椅子にじっと座って見張ってて、若い男が来たらアタックするんだ」
「知ってる。誰かに聞いた」
「そういうけど俺、ミックスだから老けて見えるぞ」
「いくつ?」
「二十五」
「月は?」
「五月」
「日は?」
「三日」
翔は裸で振り向いて、ベッドに横になった。海には彼女の全部が見える。
「俺、年下?」
「二日違いでね」
海はベッドから出て、掛けておいたジャケットのポケットに、紳士の嗜みを探した。招待状が出て来た。雨で。絵も。サインも。切手も。宛名も。色が混じって。もうほとんど乾いてるからそんな訳ないんだけど、海にはそれがアニメーションになって、ゆっくり色達が混じり合って流れて行くのが見えた。幾筋にもなって。
海は女も色々知ってるけど、翔みたいなのは知らない。彼の身体を見て、執拗に触って、男のカーブに沿って舐めて、あの危ない先端の所も触った。やっぱり違うわね、日本人と。色が違う。乳首ピンクっぽいし。海は笑った。今時ハーフなんて珍しくないけどな。
「でもなあ、これじゃあ……。君が俺を抱いてるんだ」
「クーガーだから」
「セックスはいつも自分の絵のため、それだけなんだろ?」
翔はキスで海を黙らせた。キャリーバッグを開けてスケッチブックを出して、ベッドの上に胡坐をかくと、海の勃起した物を描いた。
「もうちょっと上の方に持ち上げてみて……」
注文もうるさい。猫でもあやすような甘い声で。
「あーあ、動いちゃだめってば」
「これは、酷だろう。いくらなんでも……」
「なんで?」
「裸の女が側にいて……」
海を物質としか見てない。海の先端から涙のような雫が垂れた。翔は性器に接近して、それを描いた。描いたら彼女はそれを舐めて味わった。猫みたいに。舌を左右に動かして。
海はいつか自分も彼女の絵のコレクションの一つになるのかな、と考えた。キャンバスに取り込まれる。そんなホラー映画を何処かで観た。
「写真撮るから」
命令口調で。断ることは許されない。彼女は憑かれたようにシャッターを切った。
「あ、そろそろ行かないと。ホテルのお金出してくれてありがとう」
「それって、払えって言ってるんだろう?」
「だから、どうもありがとう」
翔は慌てて服を着た。
「俺をこのままここに置いて行くの?」
「だって仕事だもん」
海は勃起したままの自分の物に触れた。
「酷い女だな! いくらアーティストだからって……どこまで純真になったら君みたいになれるの?」
七 純白の猫
お父さんが珍しく早く帰って来て、ビールを飲みながら晩御飯を食べている。空のお父さんは、母と違って工学系で、電気自動車の開発をしている。電気自動車って聞いた時、空は冗談だと思ったけど、もうそれが実現しようとしてる。
SF映画みたいだ。SFって、いつもほんとに実現するものなのかな? お母さんの言ってた、あの映画の、何だっけ? 人類の希望? そういうのってほんとになるのかな?
「お父さん、初恋ってどうしても実らないものなの?」
空のいきなりの質問に、彼の手酌が宙で止まった。
「そんなことばっかりじゃないだろ?」
父はそれ言ったまま、食事に戻り、空はその続きを勝手に考えた。そんなことばっかりじゃないんだ。当たり前だよな……。世の中には色んな人がいる。でも翔みたいなやさぐれた大人の女とどうすれば付き合えるのかな?
「その人ね、年上でやさぐれてんの」
父は笑った。
「やさぐれてんだ」
「アーティストだから。いつも死んだ猫の写真が入ったロケットをしてて」
「ふーん。じゃあ空がその猫になって、そのロケットがいらなくなるまで」
それって、超難しそう。
その日はバイトのお休みだったので、近所の同級生、田端の家に行った。猫を飼っているというので、イメージトレーニング。それは茶髪でトラで、どう見ても可愛いとは言えない。田端がそれを抱き上げて、空はそいつと握手をした。冷たい廊下でも歩いたのか、その肉球が少し冷たかった。翔の猫は真っ白で品がいい。田端は白い猫は大抵、目がとても綺麗だよ、と言った。さすが猫に詳しいみたいだった。目が綺麗。ふーん、そうか。イメージトレーニング。目の綺麗な白い猫。
翔は毎日仕事の帰りにギャラリーに行ってるようだった。空はできるだけ彼女の仕事を手伝ってあげた。
そのお休みの日、空は翔の仕事が終わるくらいの時間に、ギャラリーに行った。翔はまた派手過ぎて誰も買わなかったから、凄く安くなったワンピースを着ていた。大きな赤い花の絵が入った。なんだか着物みたいな形。横の所で蝶結びになってる。後ろ手を組んで自分の絵を観ている。空が入って来たのに気付いて、とても嬉しそうで、意外なほど嬉しそうだったから、空は驚いた。
ギャラリーの奥の方で、こないだも見た、空は行ったことがないけど、キャバクラにいるみたいな感じの人と、あの時会った、ハーフの海さんという人が一緒にいた。空は小声で聞いた。
「翔の言ってた元カレってあの海っていう人?」
翔は全然それには答えなかった。
「ほら、こうやってお客さんの振りしてると、人が入って来やすいからさ」
空も一緒になって、後ろ手を組んで順番に絵を観る。昼間観ると余計そのいかがわしさが増す。反対周りに絵を観てた翔と、丁度ぶつかった。
「これから週刊誌の取材が一本あるけど、そしたら食事に行こう」
そう言ってくれた。翔とはもう終ってるの知ってるのに、空はドキドキだった。「友達でいましょうね」とは言ったんだけど。
スキャンダラスな画家がいると聞いて、その週刊誌はやって来たのだった。取材するのは石川という記者で、その大手週刊誌でもう五年も働いているベテランだ。画家はまだ若いのに、随分やさぐれた感じの美人だ。一通り絵を観て回った。一緒に連れて来たカメラマンのシャッター音がいつもより激しく感じられる。これは絵になる、石川は経験上そう思った。携帯を録音モードにして画家に近付く。
「君は彼氏さんですか?」
石川は、いきなり側にいた空に携帯を向ける。空はさっきから、人相のよろしくない二人から、翔の肩に手を置いて、守るように立っていた。空は彼等に強い違和感を感じた。なんて言っていいのか分からないけど、その石川という男には、動物のメスを追うオスみたいな怪しい感じがある。
空が何かいう前に、翔が答える。
「そうです。若い男性が好みなので」
翔がすましてそう答えた。石川はまたなぜか空に質問する。
「君はいくつ?」
また空が何か言う前に翔が答える。
「十八です。ずっと家庭教師をしてて、十八になったので手を出しました」
「何を教えてたんですか?」
「色々です」
空は、翔がすらすら嘘を言えるのにびっくりした。
経験豊富な石川は、翔の言ってることが皆、嘘だと知っていた。女なんて信用するものか。自分がやっと手に入れた若い妻は、彼の金を使ってホスト遊びをしている。
空はずっとまだ彼女の側を離れない。彼は気が付かないうちに写真を撮られたような気がした。僕の写真も週刊誌に出ちゃうのかな? 彼氏とか言って。でも空は翔の側を離れたくなかった。
キャバ嬢が来て挨拶され、翔のプロフィールを石川に渡す。石川はなんとなくお絞りが出て来るんじゃないかと錯覚して、手を差し伸べようとした。見てくれのいいハーフみたいな男がいる。横から見る。流石にいい盛り上がった尻をしている。ガタイもいい。あいつはただものじゃない、と彼の第六感が言っているが、今夜の取材はこの嘘つき女だ。どうして年下が好きなのか聞いてみた。
「理由なんて単純ですよ。貴方だって若い女が好きでしょう? フレッシュで元気な子種。子孫繁栄のためですわ」
そう言ってケラケラ笑う。石川は妻のことを思い出して不快になる。
「この絵はどう描かれるのですか? モデルさんがいらっしゃるのですか?」
「はい。脱がせて自分も脱いであそこをたたせてスケッチして写真も撮ります」
「へー、そのあとは?」
「そこまですると、時間がなくなっちゃうから」
「置き去りですか? それは可哀そうだな」
なぜかそこでハーフみたいな男が皆を振り返る。
長い取材が終わった。空は翔と歩いていた。青山通りの街灯が一斉に灯った。空はこれを偶然、翔と一緒に見たことがロマンティックな出来事と思わないように努力した。
翔も街灯を見た筈なのに黙っている。空達は少し歩き回って、結局コンビニで、お弁当を買ってギャラリーで食べることにした。空はトンカツ弁当で、翔はなんだかお洒落な野菜沢山のパスタを買っていた。
「週刊誌にあんな嘘ばっか言って」
「あいつらどうせろくな事書かないんだから、なに言ったって同じよ。欲しがることを言ってやるの。適当に。宣伝になればそれでいい」
「翔ってあんなに嘘が上手いんだ……。あれ、だったらもしかして……」
翔はなんとなく嫌な予感がして、一生懸命食べている振りをした。
「だったらもしかして……」
空は話題を逸らさない。若いカップルが入って来た。彼女が彼のペニスはこれに似てるとか、あれにそっくりとか、騒いで楽しんでいる。二人は笑いながら出て行った。翔は嬉しかった。自分の絵をあんな風に楽しんでくれる人がいて。
空が同じことを繰り返した。
「だったらもしかして……あの時の話も嘘だったんですか?」
その「だったらもしかして」は三回目の「だったらもしかして」だった。翔は空の言いたいことはよく分かってて、もうこうなったら逃げられないのも分かってた。
「翔が、あの時、元カレが帰って来たとかなんとか言ってたの……」
「ゴメン」
翔は、自分が窮地に立たされたことに気付いていた割には、あの時隣に主婦のグループがいて、変な話をしていたのを思い出した。
「男の人ってさ、何日かに一回出さないといけないらしいじゃない? 空は何処でどうやって出すの?」
「僕、そういう質問には答えられません。あそこにいる人に聞いてください」
空は携帯をいじってる海を指差した。
翔は最後までパスタを食べて、それから海の所へ行って、同じ質問をした。
「なんでそんなこと知りたいの?」
「こないだ主婦の人達がさ、自分とはさっぱりなのに、夫が何処でどうやって出しているのか考えると腹が立ってくるって」
「そういうことは君の専門だろ?」
翔は誰も教えてくれないのにがっかりした。どんな奴なら答えてくれるか考えたら、さっきの石川っていう記者がいいと気が付いた。
「さっきの週刊誌に聞いてみる」
「なんて?」
「さっき質問するの忘れたんですけど、最近よく考えてることがあって、男の人って何日かに一回か出さないと駄目らしいですが、貴方は、いつ、どんな所で、どうやって出すんですか?」
翔はほんとに石川にテキストを送っている。海が覗いている。
「変な事聞いたら、週刊誌に書かれるぞ」
「いいわよ。答えが分かるなら」
空の頬に、一筋の涙が。翔は、これは非常にまずいと、戸惑う。
「僕、あの後、一晩真剣に泣いて、目が凄く腫れて、アイスパッド使って、そしたらお母さんが映画でも観ろって言ってくれて、それ観てまあちょっと良くなったけど、でもその後もその元カレのことを考えたら、苦しくて……それ、皆、嘘だったんですね?」
「ゴメン」
「僕ね、あの時は潔く引き下がりましたけど、今回はそういう訳にはいかないです」
気が付くと、海が近くで聞いている。
「何があったの?」
翔が俯き加減で、海に説明を始める。
「だからさ、この子が私のこと好きだって言うからさ、元カレが帰って来たからって嘘ついて……」
「君、よくそんな嘘つけるな!」
海は空の味方みたいだった。空はさっきよりもっと泣いている。
「僕、翔のこと、もう絶対諦めないです!」
海が、泣いてる空の顔を、哀れに思いながら覗き込む。空の巻き毛を大きな手で撫でてくれて、髪がクシャクシャになる。
「でもさ、君さ、こんなやさぐれた女のどこがいいの?」
翔はハーフ顔の海が、やさぐれた、と言ったので、ちょっと笑う。空は、ここって笑う場面じゃないよなって、思って、涙越しに翔を睨む。
「翔は綺麗だし、インテリだし、アーティストで素敵です。確かに若い男に手癖の悪いとこは噂で知ってましたけど……」
翔は遂に、年貢の納め時かな、って覚悟を決める。
「分かった。降参した……。君とちゃんと向き合うから」
空は号泣状態になった。キャバクラの人が冷たいお絞りをくれた。海は、ほんとにお絞りあったんだな、と驚いた。翔はお絞りを取って、空の涙を拭いてあげた。でも涙はとめどなく流れた。翔と、キャバクラの人と、海と、三人一緒に叫んだ。
「どこまで純真になったら君みたいになれるの?」
(了)
どこまで純粋になったら君みたいになれるの? 千本松由季/YouTuber @Brid
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