私見ですが男性の美しさは破滅的、退廃的な自己破壊性に現れると思っています。作者様の意図を読み取れていれば幸いなのですが、破滅的な渇きと、生物的な生々しい湿り気が混ざり合った、『じっとりと乾いている』という矛盾した印象を作品から受けました。性描写が具体的すぎないお陰でグロテスクではありません。そこに現実世界と、主人公の思考とも幻とも取れる描写の交錯が物語に俯瞰的な感覚を与え、高所から身を乗り出すような破滅的美しさに気づかされます。語り手の乾いた切り口と、丁寧な描写が至る所で光っています。