10.瀬奈からの誘い。








「えー! ずるい、ずるいずるいずるい!!」

「朝から騒がしいな、お前は……」



 ――翌週。

 通学時、なんとなくスマホをいじった際のこと。

 隣を歩いていた瀬奈に、プリクラの存在がバレたのだった。そんなわけで冒頭の彼女の発言に至るのだが、早朝から幼馴染の金切り声は勘弁してほしい。

 そう思っていると、頬を膨らした彼女はこう言うのだった。



「アタシを抜きにしてデートなんて、ずるいもん!」――と。



 俺はそれに対して、脊髄反射的にこうツッコんでいた。




「いや! 家族で遊びに行っただけだからな!? だよな、絵麻!!」




 そして、反対側にいる義妹に同意を求める。

 すると絵麻は――。



「……あー、うん。そだね」

「え、何故に不機嫌?」

「別に……?」



 どういうわけか。

 ほんの少しだけ唇を尖らせて、そっぽを向いてしまった。

 どうやら肯定はするものの、援護はしてくれない模様。なので俺は苦笑いをしつつ、瀬奈の方を見た。すると幼馴染はこう言う。



「たっくん、アタシともデート! 今週末デートしよ!!」

「デートって、お前は部活だろ!?」



 まるで、駄々をこねる子供、そのものだった。

 俺がツッコミを入れると瀬奈は、またも頬を膨らして黙り込む。



「部活ぅ……。そうだけどぉ……!」

「お前、キャプテンなんだから。遊んではいられないだろ?」

「うぅぅ……!」



 キャプテンが部活をサボって遊ぶなど、前代未聞だろうと思えた。

 そう考えて、必死に諭していると――。



「あ、そうだ!!」

「え……?」



 なにやら唐突に、瀬奈は名案閃いたといった感じに手を叩いた。

 そして、俺たちをビシッと指さして言うのだ。




「二人とも、練習試合の応援にきてよ! 歓迎するから!!」――と。






 俺と絵麻は、目を丸くして互いを見る。

 かくして、今週末の予定は決定したのだった。



 






――――

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