第四十二話
夜が明けて僅かな頭の痛みと気怠さに悩みながら電車に乗って学校へと向かったんだけれどいつもなら改札の前で待ってくれているはずのウチダ君がいなくて何かあったんじゃないかいやでも昨日は「大丈夫」って返信くれたんだからと払いのけた不安はホームルームになって余計に増した。
「二年生で、被害に遭った生徒がいるそうです。我々の方も厳戒態勢を敷きますがだからと言って何かできるわけでもありませんし、実際にサデュザーグが出没すれば警備に回してる分意識不明者が増えるだけです。建物の中にいらっしゃった方にも被害が出ているようで……シャッターなど閉めることができれば閉めておいてください。学校自体も、明後日からは閉鎖となります」
放課後になって迎えに行くと「カズミは今日休みです」なんて言うものだから「何で休んだか分かる?」と訊いてみても「いや、なんか、昨日から行方不明らしくて」と返ってきた答えにいてもたってもいられなくなって急いで学校を出て電話を掛ける。
代わりにすること不義を働くことに対する罪悪感やら物足りなさにまとわりつかれた愛情ではあったけれどウチダ君のことは嫌いではなかったしいっそ好ましく思っている。また失ってしまったら僕はどうすればいいんだろうと早鐘を打つ心臓とは裏腹に呼び出し音は止み、静かな声が聞こえた。
「すみません、先輩。今朝何の連絡もできなくて」
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