第三十七話
名前も知らない先生方や保護者の方々、そして何より初対面の生徒に話しかけることに物怖じしない生徒たちから「劇の人だよね」と言われつつなぜかやたらと僕の方にばかり来るお客さんの対応をしつづけて一時間ほど。
「そろそろ交代していいよ」と言われたので屋台めぐりでもしようかと引換券を握りつつ歩いているとウチダ君とその友達たちに出くわした。
「シュント先輩ひとりですか?」
「まあ、うん」
「じゃあ一緒に巡りません?」
「他の子たちはいいの?」
「いいんですいいんです、応援してくれてますから」
「うん?」
焼き鳥やほくほくじゃがいも、ラムネ、クリームブリュレを頬張りながら懐かしいタピオカミルクティー、輪投げ、男子生徒によるメイド喫茶、ゲテモノ専門店を冷やかし、美術部展示、写真部、有志演奏を通り過ぎていくうちに時間も忘れて楽しくなってしまう。
「次はあれ行こうよ」
「何ですか、あれ」
「僕にも分からない」
「MIEKO's SHOPって」
「カワカミ先生かな」
「ごめんなさい、その先生分かりません」
「うち教師多いから仕方ないよ。僕も把握しきれてないし」
「そうなんですか」
「カワカミ先生はね、三年六組の担任。数学担当。決めゼリフは『人として言語道断ですよ』。お酒と煙草とパチンコに月十数万円溶かすせいで家に居場所がない」
「……キャラ濃いですね」
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